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コンサートで音にこだわる難しさとメリット

鳥山雄司インタヴュー 。世界的ヴァイオリニスト、葉加瀬太郎コンサートの舞台裏を聞く

季刊・ネットオーディオ編集部

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2019年02月15日
昨年50歳を迎え、初のオールタイムベストとなる『ALL TIME BEST』を引っさげて全国50カ所を回るツアーを行った葉加瀬太郎。大盛況のうちに幕を閉じた「葉加瀬太郎コンサート2018ツアー」だが、その注目すべきポイントのひとつに、徹底的にこだわり抜かれた音響があった。

このツアーで音響監督を勤めたのが、自身も同ツアーにギタリストとして参加した鳥山雄司。自身のバントPYRAMIDでも2月21日より東名阪でのライヴツアーを予定しているなど大活躍中の鳥山氏は、「音のクオリティ」という部分についても圧倒的なこだわりを持つギタリストとして知られている。本稿は、この葉加瀬太郎のコンサートツアーを振り返りながら、鳥山氏が考えるライヴパフォーマンスにおけるサウンド・クオリティを紐解いて行きたい。

「葉加瀬太郎コンサート2018」の音響監督を努めた鳥山雄司。同ツアーではギタリストとしても参加した。今回はそんな「音の要」である鳥山雄司に、音にこだわったコンサートの舞台裏を聞く

■それだけ音が変わるなら、コンサートに持ってきたらどうなるのか

そもそも、葉加瀬太郎コンサートの一公演として中野サンプラザで行われたライヴは、圧巻とも言うべきセットだった。コンサートのステージというだけあってもちろん華やかな作りなのだが、その要所要所にさまざまなオーディオアクセサリーが活用されていたのである。例えば、シンセサイザーを初めとしたデジタル系楽器の電源ケーブルやケーブルインシュレーター、そしてステージのデザインを邪魔しないようにセッティングされた吸音材の数々。こうした音質チューニングの要には、アコースティック・リヴァイブの製品が活用されていた。

そもそも、大規模なコンサートでオーディオアクセサリーやケーブルにまでこだわり抜いたセッティングをすること自体が異例である。鳥山氏自身も「ものすごいリスキーなことだった」と、このコンサートツアーを振り返る。

鳥山 アコースティック・リヴァイブとはエンジニアの鈴木智雄さんに紹介されたところから始まって、ルームアコースティックのこととか、電源周りのこととか、いろいろと話を伺ったんです。製品も豊富なので、それをうちの会社でいろいろと試したんですが、良くも悪くもだったんですけど「こんなに音が変わるんだな」って変化することを認識できたんです。それだけの音が変わるものがあるならば、コンサートに持ってきたらどうなるかな、って思ったんです。それで「やってみない?」って焚き付けたんです。それがいまから2年前でした。2年前のツアーは、僕はオンステージしないアコースティック編成で、チェロ、ヴァイオリン、ピアノ、ウッドベース、アコースティック・ギターという編成。そんな編成で「伝達率の速いケーブルを使ったらどうなるのかな」と、まずはそこから始めさせていただいたんです。

そもそもここで言う「伝達率の速いケーブル」というのは、どういうことなのだろうか?

鳥山 基本的にオーディオ的にスペックの高い高級ケーブルをステージで使用すると、音が固くなることが多いんです。ただ、単線のケーブルを使うと、基本的に下も上も同じ速度でズドンとくるようになります。葉加瀬くんの場合、ステージでもワイヤレスを使わないんですよ。これは彼のこだわりでもあるんですけど、どんなに長い引き回しが必要でも有線で演っているので、平気で30mとか引き回すんです。ここに普通のケーブルではなくて「伝達率の早いロスのないケーブル」を使うことで、良い方向へと結果が出たんです。スタジオとかとは違って、ステージというのは30m、40m引き回すのは当たり前の世界ですからね。ただ取り回しには苦労しました。

音にこだわることと、ステージならではのリスク

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