HOME > インタビュー > 記事

インタビュー

「マルチルームはSONOSが発明した」

なぜいま日本に? SONOS 最高営業責任者に聞く日本進出のねらい。「オープン」で差別化を

編集部:風間雄介
2018年10月04日
米SONOSが、10月から日本で本格的に販売を開始した(関連ニュース)。記者発表会のため来日した、同社最高営業責任者のマシュー・シーゲル氏、サウンドエクスペリエンスリーダーのジャイルズ・マーティン氏に、SONOSブランドの特徴、国内展開のねらい、今後の展開などについてインタビューした。

米SONOS 最高営業責任者のマシュー・シーゲル氏(左) サウンドエクスペリエンスリーダーのジャイルズ・マーティン氏(右)

SONOSがいま日本進出を決めた理由

ーーまずは素朴な疑問なのですが、なぜいま、日本に進出することを決めたのでしょうか?

シーゲル氏:サウンドバー型で、映画だけでなく音楽も高音質で楽しめるスピーカー「SONOS BEAM」ができあがったとき、世界で2番目に大きい音楽市場である日本に進出する準備ができた、と考えました。

これまで北米や欧州、オーストラリア、最近では中国など、約20カ国で我々の商品を販売してきましたが、いよいよ日本で展開できるラインナップが揃った。そう感じて、今回進出を決めたのです。

「世界で2番目に大きい音楽市場である日本に進出する準備ができた」とシーゲル氏

ーーSONOSは世界的な企業です。規模も非常に大きいことを考え合わせると、今回のローンチのやり方は少々意外でした。量販店なども巻き込んで垂直立ち上げし、大々的に立ち上げる方法もありますよね。それに対して今回は、ビームスや蔦屋家電、Amazonなど、販路が限定されています。スモールスタートと言ってよいと思います。

シーゲル氏:これは全く意図的なもので、こういう方法を取ろうと最初から考えていました。

つまるところ、我々がビジネスを大きく拡大する前に、お客様に我々の商品の特徴、そして「やり方」を理解して頂く必要があると考えたのです。

そのためには、我々の「ストーリー」をしっかりご理解いただかなくてはならない。そうすると、まずは規模を抑えながら、じっくりとお客様に向かい合う必要があります。こういった考え方から、ビームスさんとのコラボといった方法も決まっていきました。

余談ですが、たとえば中国の例を挙げますと、現地の音声アシスタント、ストリーミングサービスは、欧米のそれとは全く異なります。ですので約2年ほどかけて、じっくりと環境を整備していきました。

「SONOSがマルチルームオーディオを発明した」

ーーSONOSはマルチルーム対応が一つの売りですが、日本では住環境の問題もあってか、マルチルームオーディオがあまり根付いていません。これについてはどう見ていますか?

シーゲル氏:これまで我々が商品を展開してきたどの国でも、同じ順番を辿っています。

つまり、まずストリーミング音楽サービスの人気が高まり、その後音声アシスタントの便利さが伝わります。それから、その利便性を家中で楽しむ方法として、スピーカー同士をネットワークでつなげるマルチルームオーディオに気づいて頂く…という流れです。日本でもそうなると思います。

マーティン氏:SONOSはスピーカーからサウンドバーまで、いろいろな商品を揃えています。私は、SONOS製品が日本市場に適していると確信しています。

「SONOS製品が日本市場に適している」とマーティン氏

シーゲル氏:デザインはとてもエレガントで、細部まで念入りに仕上げています。形状もコンパクトなので、日本の住環境にも適していると思います。

マーティン氏:SONOSが世界で初めてマルチルームオーディオを作った、つまり発明したのです。そして、それが世界中で受け入れられました。ですから、これまで日本でマルチルームが根付かなかったからといって、これからもそうとは限りません。これまではSONOS製品がなかったわけですから。

ーー発表会では「音楽の楽しみ方を変える」というテーマが掲げられました。これはかなり難しいことではないでしょうか?

シーゲル氏:先ほどのプレゼンテーションでも申し上げましたが、どの国でも、SONOSを家庭に導入すると、あまりにかんたんに音楽を楽しめるので、音楽を聴く時間が大幅に増えるというデータがあります。具体的には、SONOSを導入した家庭では、音楽を聴く時間が80%増えたのです。時間にすると毎月70時間増えたことになります。

SONOSは多くのストリーミングサービスに対応しているので、世界中の音楽を楽しめます。また部屋ごとに違う音楽を聴け、それを使いやすいアプリでかんたんに操作できます。

そのため、まずはリビング用に1台ご購入頂いたとして、それを気に入っていたただき、続いてキッチン、寝室、書斎…といった具合に、次々と買い足して頂くケースが多いのです。

エントリーモデルのSONOS ONE

ーーよくわかりました。続いて、これはジャイルズさんに伺いたいのですが、ジャイルズさんはアビー・ロードスタジオで、ハイレゾ音源も作られています。SONOS製品のハイレゾ対応についてはどうお考えですか?

マーティン氏:将来の製品計画については詳しく語れないのですが、サウンドクオリティを向上させるために、イノベーションを続けていくのは当然のことです。またハイレゾについても、私はビートルズのハイレゾ音源を作っていますので、よく理解しているつもりです。

ーー既存モデルのアップデートを頻繁に行っていることもSONOSの特徴と、説明会で語られていました。ソフトウェアアップデートでは、機能だけでなく音質を向上させることも行っているのでしょうか?

マーティン氏:はい、行っています。我々は常に学んでいますし、できるようになったことは他の製品、既存製品にも応用していきます。音についても、音響エンジニアが変えられると判断したものについては改良しています。

「パートナーになりたい」と言われる存在に

ーー続いて音声アシスタントやストリーミングサービスへの対応について伺います。グローバルでは100以上のストリーミングサービスに対応し、音声アシスタントについても、AlexaだけでなくGoogleにも対応する予定ですね。1台で複数サービスやプラットフォームに対応できるのは、とても便利だと思います。

シーゲル氏:我々はオープンプラットフォームを推進しており、それが大きな特徴です。たとえばアップルの「HomePod」はApple Musicしか使えませんし、Google HomeではAmazon Music Unlimitedを聴けません。逆も然りですね。SONOSであれば、1台でこれらのサービスのどれでも聴くことができます。

音声アシスタントもそうです。今年中にはAlexaだけでなく、Googleアシスタントも利用できるようになる予定です。

SONOS BEAMを中心としたシステム

ーーかんたんに仰っていますが、実はこのマルチ対応は、とても難しいことではないかと思います。ほかのメーカーさんが出来ていないことでもありますし。

シーゲル氏:我々は世界中のストリーミングサービスと強固なパートナーシップを持っていますし、それなりに投資も行っています。さらに大きいのは、世界で700万世帯、1,900万台のSONOS製品が使われているという事実です。

実のところ、最初はサービス提供するため、ディスカッションが必要なこともありました。ですが最近では、むしろ先方から「パートナーになりたい」と申し出て頂くケースの方が多いのです。

日本での取扱製品はどんどん増える。パートナーシップも推進

ーー国内市場では、まずはSONOS ONEやBEAMなどに注力されると思いますが、先日のCEDIAでは「SONOS AMP」の新モデルも発表されました。こういった、より本格的なサウンドを実現する、ホームシアターインストーラーが扱うような製品群を、日本で販売する予定はありますか?

シーゲル氏:もちろんです。日本で展開する商品はどんどん増やしていきたいと考えています。ちなみに新しいSONOS AMPは、北米などで来年2月に発売する予定です。とてもパワフルな製品ですよ。

ーー他社との提携についても教えてください。ほかのオーディオメーカーがSONOS製品と自社製品を接続したり、SONOSのアプリを活用することができますね。

シーゲル氏:「Works with SONOS」プログラムですね。日本メーカーでは、オンキヨーさんとも契約を行っています。SONOSアプリでオンキヨーのAVアンプを操作する、といったことが可能になります。

ーーほかのメーカーも、このプログラムに参加する可能性があるということですね。

マーティン氏:もちろんです。我々は様々な企業と、オープンに付き合っていきたいと思っています。

ーーところで、商品の価格を知ったとき、これだけの内容や機能を詰め込みながら、手頃な値段を実現していると感じました。

シーゲル氏:エントリーモデルは確かにお求めやすい価格かもしれませんが、我々はSONOSをプレミアムブランドだと考えています。この10年以上、スタイリッシュさとプレミアム性を突き詰めてきました。

マーティン氏:ふだんスタジオでは、この100倍の値段の機材も使っていますが、手頃な価格で優れた製品を提供したいというのが、SONOSの基本的な考え方なのです。

シーゲル氏:スーパーハイエンドのオーディオ製品にも、もちろん価値はあります。ただし我々は「良い音を楽しむために高価なスピーカーが絶対に必要なわけではない」と考えています。高価なスピーカーにも匹敵する、持っていて誇りに思える製品をお届けしていきたいと考えています。

ーー今後に期待しています。本日はありがとうございました。

関連リンク

関連記事