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インタビュー

「DP-400/450USB」開発者に聞く

デノン10年ぶりのレコードプレーヤーは、父娘ほど離れた開発者が「デザインと音」の両立を目指した

聞き手・構成:土方 久明

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2018年09月12日

加工精度やチューニングにも、高級機を意識したこだわりが

岡芹 ほかにもこだわったところが沢山あります。まずトーンアームの針圧ですが、目盛りどおりの針圧が実際に出るように、誤差は0.1グラムという精度を実現しています。

ーー この手の目盛りはだいたい皆さん信用せず、針圧計で計ってますよね。僕も0.01グラムまで計れるデジタル針圧計を持っていて、必ず計り直してます。よくレコード売り場で検聴するのですが、その時のプレーヤーの針圧表示が適当で、自分の聴感と一致せず痛い目にあったこともあります。

針圧や精度について語る土方氏

ーー そういえば、デノン製品は耳の良さに定評のあるサウンドマネージャーの山内さんが音質評価をされているということですが、本製品もそうなんですか?

岡芹 もちろんそうです。彼がOKしないと市場には出せません。彼は“マジシャン”ですね。

ーー マジシャン……ですか?

岡芹 彼は製品をチェックするとき、最初は音を出さないのです。まず繋いだだけの無音状態で、「ちょっと岡芹さん、ノイズが……」と始めます。

サウンドチューニングの背景を語る岡芹氏

ーー 残留ノイズをチェックするのですね。

岡芹 はい。そこまで上げないだろう、というところまでボリュームを上げる。私が「聴こえないけどなあ……」と言うと、山内は「いや、聴こえるんですよ」と。高級なプレーヤーなどは確かに静かですよね。それが理想だと思いますけど、山内はその確認から入ります。

ーー 先ほど聴いたとき、ボリューム上げても静かでびっくりしましたが、開発段階でそれだけの音質チューニングを行っているということなのですね。

開発者が勧める、レコードプレーヤーの設置とカスタマイズ

ーー さて、DP-400/450USBを購入される方に、「ここは最低限こだわってほしい」というところはありますか?特にセッティングについて。

岡芹 一般論ですが、プレーヤーとスピーカーは離して設置してほしいですね。この点は、デジタル機器とは勝手が違います。そして、なるべく堅牢な台の上に設置してほしいです。

ーー 外部振動や騒音から離してハウリングを防止するのがレコードプレーヤー設置のコツですよね。

設置場所には気をつけてほしい、と岡芹氏

岡芹 ターンテーブルのマットを社外品に交換する場合も、柔らかすぎるものは避けてほしいです。レコードが振動を起こしてしまうので、ある程度の硬度があった方が良いかなと。マットの硬さも色々試したのですが、あるスタッフは硬いほうがきっちり音に輪郭が出ると言っていました。

ーー 付属カートリッジはDP-300Fと同じMMカートリッジですけれども、カートリッジシェルは脱着式のものがついていますよね。ですので、カートリッジを交換したいというユーザーもいると思います。例えばデノンブランドのカートリッジでおすすめはありますか?

岡芹 やはり、「DL-103」が定番ですね。もちろん、弊社デノンブランドのカートリッジなら全て装着できるよう想定しています。その他にも、アームの高さ調整はできませんが、一般的な高さのカートリッジなら問題なく付けられるはずです。ちなみに付属カートリッジ単体の重さは5gくらいで、シェルも汎用的なものが使えます。

デノン、ひいてはカートリッジ全体における定番モデルとも言うべき「DL-103」

ちなみに弊社のカートリッジを装着する際は、MCタイプなのでPHONO OUTで昇圧トランスかヘッドアンプを介して使用してください。

ーー 付属カートリッジはMMですが、たとえばスティングのアルバム『57TH&9TH』では、まず低域を構成するドラムに立体感があり、ギターも明瞭かつビートが効いていて気持ち良かったです。MMカートリッジでありつつ、想像以上に情報量もあり、プレーヤーの潜在的な能力の高さも感じられました。ぜひカートリッジを変えても聴いてみたいと思います。

さらに、内蔵されているフォノイコライザーの音質にもこだわったとのことですが、実際どのようなイコライザーが搭載されているのでしょうか?


岡芹 エントリークラスのアンプはフォノイコライザーを搭載していないケースが多いですし、また、デザインシリーズ同士で組み合わせることも考慮して、フォノイコライザーに気を遣ったというかたちです。

弊社のプレーヤーに搭載されるイコライザー回路は+5Vの単電源で動作していましたが、今回は±8Vにあげて、初段にローノイズのFETを使うなどしています。ダイナミックレンジを広げ、音に余裕を持たせるための工夫です。

デザインシリーズとしての外観へのこだわり

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