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<山本敦のAV進化論 第154回>

まるで耳に着けるスマートスピーカー! “賢い完全ワイヤレス”「Xperia Ear Duo」開発者インタビュー

公開日 2018/03/07 08:00 山本 敦
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NFCを使わずにAndroidスマホと自動ペアリングができる

本機はソニーモバイルの製品なので、プロトタイプが発表された時点では、単体でインターネットにつなげられるか気になっていたが、やはりスマホとBluetoothでペアリングしてネットワークに接続するスタイルが基本になるようだ。もちろんスマホはXperiaシリーズ以外でもOK。コンパニオンアプリ「Xperia Ear Duo」は、Android/iOSに対応。iOS版では、できることに若干の制約がある。

スマホとの接続はBluetoothだが、左右のイヤホン間はNFMIでつながる。対応オーディオコーデックはAACとSBC。アプリから「音質優先」を選ぶとAAC、「接続優先」を選択するとSBCでつながる仕様だ。

Androidスマホの場合、先にXperia Ear Duoアプリを立ち上げておけば、イヤホンを専用ケースから取り出した時に自動でペアリングが完了する。アップルのW1チップを搭載する「AirPods」やビーツの「BeatsX」をiPhoneにつなぐ要領とよく似ている。今回の取材時には試せなかったので、日本で正式発売がアナウンスされた際、またハンドリングしてみたい。なお手動によるペアリングにも対応している。

ケースの充電用端子はUSB Type-C。Xperia XZ以降の端末と充電ケーブルが共有できる

なお本体左右の側面は感圧式のタッチコントローラーになっている。音楽再生に通話応答の操作、ペアリングしたスマホのGoogleアシスタント、Siriをイヤホンから呼び出すことも可能だ。3段階のタップ、ホールド、スワイプのコマンドは左右それぞれにユーザーが任意の応答をアプリから割り当てられるので、よく使うコマンドは覚えやすい操作方法に設定しておくのがよさそうだ。なお、Xperia Earも対応する「ヘッドジェスチャー」についても、うなずいたり首を横に振る動作に特定の操作がアプリから割り当てられる。

本体の側面が感圧式のタッチセンサーリモコンになっている

アプリからタッチ/ホールド/スワイプ操作の割り当てが任意に設定可能。いざ使いたい機能の操作を忘れることも少なくなりそう

ソニー独自のAIエンジンと機械学習センサーがユーザーの行動を認識

気になるAIプラットフォームについては、先に発売されているXperiaスマートプロダクトの3製品にも搭載されている独自の「ソニーエージェントテクノロジー」が、本機の使い方に最適化された形で搭載されるという。

「初代のXperia Earで実現できていた機能を踏襲しつつ、Xperia Ear Duoではより受動的なアシスタント体験を重視しています」という近藤氏。ここで注目したいポイントは、本機はソニーセミコンダクタソリューションズが開発したスマートセンシングプロセッサー“SPRITZER”「CXD5602」が初めて搭載されていることだ。

「CXD5602」にはGPSによる測位だけでなく、加速度・ジャイロ・近接センサーなど複数のセンシングデバイスから得たデータを統合的に処理する「センサーフュージョン」が搭載されている。なお、Xperia Ear Duoにおいては、GPSはスマートフォンに内蔵するセンサーを使用している。センサーから得られたデータに機械学習のアルゴリズムを組み合わせることにより、ユーザーの行動履歴や現在の体の動きがトラッキングできる。

このセンサーを搭載したことで実現する機能のひとつが、Androidスマホとのペアリング時に使える「デイリーアシスト」だ。アプリから機能のメニュー画面を確認してみたところ「通知を読み上げるタイミング」は「デバイスを装着したとき」、あるいは「シチュエーションに応じて」という項目が選べる。読み上げる内容も「時刻」「不在着信」「スケジュール」など任意のアイテムをユーザーが選択する仕様だ。製品を使い込むうちに場所や時間、行動の内容に応じて通知を賢くプッシュしてくれるようになると石田氏が説明する。使い勝手を実機で試すのが楽しみだ。

センサーの機能によってイヤホンがユーザーの行動履歴や行動状態を把握。最適なタイミングで通知を読み上げてくれる

なおAIアシスタントについては、以前からLINE「Clova」にも対応すると伝えられていた。今回のインタビューでもこの点について訊ねてみたが、八木氏は「今回のグローバルモデルの発表時点ではまだお伝えできないこともあります。日本国内での正式発表をお待ち下さい」とコメントしている。

耳に着けるスマートスピーカーのようなまったく新しいイヤホンだ

Xperia Earから搭載されている「Anytime Talk」はグループチャット機能だ。一度グループ登録を済ませたユーザーどうしであれば、遠く海外に住んでいてもインターネットとスマホを介してつながれるので、本格的なビジネス用途にも使い道は広がりそうだ。

グループチャット機能「Anytime Talk」はプライベートから仕事にまで幅広く使えそう

商品の企画を担当した八木氏は「ふだんからよくマルチタスクをこなしている方から、スマホで友だちや仕事仲間と常時つながっていたい方まで、なるべく多くの方々にXperia Ear Duoを使ってもらって、それぞれの楽しみ方を発見してほしいと考えています」と呼びかける。

筆者の場合、例えばキッチンで楽しく洗い物をこなすために音楽を聴いていたいのだが、ふつうのイヤホンでは、インターホンや家族からの呼びかけに応えられなくなってしまうので、最近はスマートスピーカーを利用していた。ところが洗い物の時には、シンクに水が叩きつけられる音で音楽が聴こえなくなるので、これを不便に感じていた。耳に最も近い位置で音楽を鳴らせる、スマートスピーカーのようなXperia Ear Duoならば、こういった問題も解決しそうだ。

ほかにもオフィスや作業の現場、グループでのサイクリングや旅行など、いろいろな場面で活躍の場が広がりそう。今までになかった新タイプの完全ワイヤレスイヤホンを、手元で心置きなく使える日が待ち遠しい。

(山本 敦)

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