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<山本敦のAV進化論 第154回>

まるで耳に着けるスマートスピーカー! “賢い完全ワイヤレス”「Xperia Ear Duo」開発者インタビュー

公開日 2018/03/07 08:00 山本 敦
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独自の下から耳掛けスタイルの安定感は?

耳の下から掛けるイヤーハンガータイプという、独特な装着スタイルはどのような理由でデザインされたのだろうか。近藤氏は、理由を次のように説明している。

「開放型イヤホンとするため、音道管を使ってイヤーハンガータイプのデザインにすることが決まってから、人間の耳の形について深く研究を進めました。その結果、人の耳の形は上側よりも下側の方が個人差が少ないということがわかりました。ワンサイズでユニバーサルフィットが得られやすい形状が、 “耳の下から掛けるハンガータイプのイヤホン” だったのです」(近藤氏)

音道管を通ってきた音がノズルから耳穴へ直接届けられる。リング状のシリコンイヤーピースは装着を安定させる役割を担っていて、耳穴を完全に塞がない構造になっている。サイズはS/M/Lの3種類を同梱する予定

設計を担当した森西氏によれば、音響的な観点からもメリットが大きいのだという。「下から回した方が音道管の長さを短くできるので、ダクトによるロスが少なく抑えられます。Future Lab Programで以前発表した試作機は樹脂製のパイプを使っていましたが、Xperia Ear Duoではパイプの素材に音響特性に優れる金属を使っています。装着感も考慮してパイプ自体は細くしながら、音質も考慮して内径を太くしました。高い強度も保っています」

ソニーモバイルは、昨年秋に開催されたIFA2017に、現在のデザインに近いプロトタイプを初めて出展した。当時取材をしたとき、本機をうまく装着できず戸惑ったものだが、あれから今年のCESでのデモ体験を経て、今回のMWCではすぐに装着できた。見た目には不安定そうに見えるが、実際に身に着けてみると、耳穴のリングサポーターによる確かなフィットとあいまって、頭を激しく縦横に振っても外れそうな感じはまったくない。

装着方法のガイダンスはコンパニオンアプリ「Xperia Ear Duo」にも紹介されている

片側の質量は10.6gと軽く、しかも開放型なので、しばらく着けているとイヤホンが耳にあることを忘れてしまうほど。ハンガーを兼ねた音道管は耳の下から回すので、メガネのリムと重ならない。ループ型のイヤホンも時折苦戦するメガネユーザーの筆者にはとてもありがたい。

ソニーのオーディオ部門では約500件を超える耳型を採取してデータを蓄積している。平氏は、本機のデザインが様々なユーザーの耳にフィットするよう、蓄積したデータから得た情報を元に設計の細部をチューニングしてきたと振り返る。

なお本体はIPX2相当の防滴仕様。スポーツシーンで使うことは推奨されていないが、小雨の降る屋外でも傘をさして雨をよけながら使う分には故障の心配はなさそうだ。

スムーズなコミュニケーションをサポートする機能を満載

完全ワイヤレスイヤホンの中には、せっかくケーブルレスなのに、イヤホン本体のサイズが大きいので装着していると目立ってしまうものもある。イヤホンやヘッドホンを装着している人には話しかけづらいものだが、本機は周りから見て “いかにもイヤホンを装着している” ように見えないデザインなので、コミュニケーションを妨げない。

装着するとこのようなスタイルになる。あまりイヤホンを着けている感じに見えないので、気軽に声をかけられそう

音質についてはにぎやかな展示会場で取材したので、オーディオ機器としてのインプレッションはまた機会をあらためて報告したいと思うが、コミュニケーション用途のデバイスとしては、音量を上げて音楽を聴きながらでも、周囲の会話が普通に聞こえてくる。ambieに続く新鮮なリスニング体験だった。

本機には「アダプティブボリュームコントロール」という、開放型イヤホンによる音楽リスニングをサポートするための機能が付いている。「本体に搭載するマイクで周囲の環境音を拾いながら、騒音の多い場所では自動的に音楽のボリュームを上げ、静かな場所に移動したらまた最適な値に変更してくれるという機能です」(石田氏)

こちらの機能は、コンパニオンアプリ「Xperia Ear Duo」からオン・オフを切り替えることもできる。

Xperia Ear Duoの本体には4基の高性能マイクが搭載されている。それぞれビームフォーミングのアルゴリズムと連動し、集音効果を高めている。マイクは両方のイヤホンに、耳の後ろ側と下側の位置に1基ずつ配置している。マイクのポジション設定については指向性が発話位置(口元)に向くように最適な配置とし、細心の注意を払って決めたと平氏が振り返る。発話位置を特定することによって、発話と周辺ノイズを分離して集音し、騒音がある中でも音声コマンドを正確にピックアップできるようにしている。

アダプティブ・ボリュームコントロールやクリアフェーズなど、音楽リスニングを快適にしてくれる機能も乗せた

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