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“ハイレゾには密閉型が有利”は本当か

クリプトン渡邉氏がスピーカー開発キャリアを総括。「密閉型」「2ウェイ」にこだわる理由とは?

聞き手・構成:編集部 小澤貴信

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2016年02月03日
感性を重視して「自然であること」を追求していく

渡邉氏が目指す“究極のスピーカー”とは?

ーー ハイレゾにおける分解能の話がでましたが、映像も同様の進化を辿っているように思えます。解像度を追求する一方で、最近はHDRや色域拡大など、オーディオにおけるダイナミックレンジにあたる要素を再現する技術や規格が多くなっています。

渡邉氏 感性領域になると階調表現がいかに重要かということは、オーディオもビジュアルも変わりません。私はビクター時代にプロジェクターも手がけましたので、そのことは実感としてあります。

ーー お話を伺っていて、スピーカー作りにおいては人間の感性を非常に大事にされていると感じました。

渡邉氏 人間の耳の鼓膜も眼球もアナログで、そこに至るまでの神経はデジタルです。目や耳といったアナログの器官が得た情報をA/D変換して、神経が差動増幅で伝達していくのです。そして神経にはメモリがあって、昔の記憶を保存しています。この記憶が、情報を伝達する際の振り分けを支配しています。要は記憶の蓄積によって良し悪しの判断が左右するわけです。

ですから10人いたら10人違った感想が出てくるのは当然なのです。本質的な“原音再生"は難しいですが、記憶に対してどれだけ忠実なものを再現できるかということは、しっかりと追求する必要があります。

渡邉氏は「人間の感性」を考慮したスピーカー作りの重要性を説いてくれた

ーー 渡邉さんのスピーカー開発において、理論と実践が両輪で回っていることもよくわかりました。オーディオ黄金期にスピーカー開発をされたことで蓄積されたノウハウや知識をもとに、感性領域を追求されていることに意味があるのではと感じました。さて最後に、今後はどんなスピーカーの開発を考えられているのか伺えればと思います。

渡邉氏 KSシリーズと同様のコンセプトで、フルサイズのピュアオーディオ用スピーカーを実現したいですね。じつは十数年前から考えていることなのです。

単品コンポを組み合わせるシステムでは、結線で音がロスしていますが、KSシリーズはDAC・アンプ・スピーカーの一体完結型なので、ケーブルもなく伝送距離も最短ですし、デジタルで直前まで伝送できます。スピーカーだけはアナログです - つまりこれは、さっき言った人間の目や耳のしくみと同じですね。

一体完結型システムではまだまだ単品コンポーネントを組み合わせたシステムに勝る音は作れていませんが、誰でも「なるほど」と言える音が実現できるようになったら、オーディオはかくあるべきなのではと思っています。私が生きているうちにできるかは分からないですが(笑)。

ーー これからの製品も楽しみにしています。本日はありがとうございました。

(聞き手・構成:編集部 小澤貴信)

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