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新製品「Babyface PRO」の開発背景も説明

RMEのポリシーは「データに対して正確な音」。開発者が設計思想を語り尽くす

公開日 2015/08/28 11:40 季刊ネットオーディオ編集部
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いち早く192kHz/24bit対応を果たした理由

― 今回登場するBabyface Proもさることながら、RMEというと高い動作安定性を持つ192kHz/24bit対応ドライバがトレードマークのようにもなっています。最初に192kHz/24bitに対応した製品は何という製品だったんですか?

カーステンズ 1997年に発売したDIGI96 Proという製品ですね。クリスタル・セミコンダクター(現シーラス・ロジック)が192kHz/24bitに対応したチップを作ったので、それを活用して開発したPCIカードです。

Firefaceシリーズの現行ラインナップ

― 1997年というと、かなり早い時期ですね。おそらく、当時はまだまだ必要とされることも少なかったと思うのですが、この時期に対応させたことに何か意味はあったのですか?

カーステンズ 192kHzに対応させることができて、なおかつ技術的にもクリアできる環境があったからです(笑)。当時、コンペティターはPCIバスを有効活用できていない状況で192kHzの信号は伝送できなかったのですが、私達は当時からFPGAを採用していたので192kHzも伝送することができました。つまり、他の会社ではできないことができる技術力を持っている、ということをアピールするという意味も含めて、192kHz対応のPCIカードを開発・発売したんです。

■FPGAの採用と他社に先駆けたUSBオーディオへの取り組み

― その技術力の高さは、現在オーディオファイルにもよく知られるところですが、そもそもなぜ汎用のチップではなくFPGAの採用を選択したのでしょうか?

カーステンズ この192kHzの伝送もそうですが、当時私達がPCIカードにおいてやりたいと思っていたことを実現できるチップがどこにもなかったんです。だから自分たちで組み上げるしかなかった。

ホルトマン FPGAであれば、自分たちが最も良いと思える方向でプログラミングすることが可能です。RMEにはたまたまプログラムが組める者がいたので、当時存在していたどのオーディオチップよりも優れた性能を持つFPGAを組み上げることができました。

カーステンズ ちなみに、FPGAについてはこんなエピソードがあります。以前、FireWireで起きた不具合のために製品が出せない時期がありました。当時は私達も汎用のFireWireチップを使用していたのですが、それがMacと上手く通信できなくなることがあったんです。一向に改善される気配がなかったので、私達はこの機能をFPGA内に組み込んで解決させました。いまでは、TCエレクトロニクスからDiceという優れたチップが登場しており多くのメーカーが採用していますが、それは私達がFPGA上に実装してずいぶん経ってからのことでした。

旧Babyfaceと新製品となるBabyface PRO

― オーディオの世界でUSBが注目された当時にラインアップされたFireface UCは、当時から現在も変わらず高い支持を獲得していますね。やはりこちらにもFPGAを採用したメリットは大きかったのでしょうか?

カーステンズ Fireface UCもFPGA内部にUSBドライバを組み込んでいます。それによって、2010年当時としては初めて登場した「まともな使い方ができる192kHz/24bit対応USBオーディオインターフェース」として高くご評価いただきました。Fireface UCは、いまなお制作者だけではなくオーディオファイルの方からも、根強い支持をいただいています。

― 日本ではオーディオファイルがUSBオーディオインターフェースを使うことも多く見受けられるのですが、他の国でもそうしたケースは多いのですか?

カーステンズ 最も私達の製品を受け入れていただけたオーディオマーケットは日本なのですが、同じような流れというのは世界的にみてもあります。先ほどのFireface UCもそうですし、ADI-2というハーフラックサイズの2ch AD/DAコンバーターを自宅のハイエンドシステムに接続して使用している、というケースを多くみることができます。ADI-2はアダプター駆動なので、直流のバッテリーを接続して使っているマニアックな方もいらっしゃいますね。

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