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<山本敦のAV進化論 第62回>

「新しい音楽文化をつくりたい」。「LINE MUSIC」担当者インタビュー

公開日 2015/07/17 12:38 山本 敦
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「目に見えるかたちで楽曲が続々と増えて、ユーザーが利用できる機能が改善・強化されるという体験を、スピーディーに提供したいと考えています。今までの音楽まわりのサービスはどちらかと言えば“Static(静的)”だったように感じていますが、これからはアプリと音楽、ITテクノロジーと音楽のコラボレーションによって、短期間で進化するワクワク感が提供できるようになります。これが実現できたら、LINE MUSICに毎月お金を払う価値を多くの方々に感じていただけるのではないでしょうか」(高橋氏)。

高橋氏が語るところのスピーディーな進化として、先週からAndroidアプリに、今週からiOS版にも「オフライン再生」の機能が追加された。実際にApple Music機能との比較ではLINE MUSICの弱点として指摘されることの多かった部分にメスを入れて、サービスインから約1ヶ月でキャッチアップした格好だ。

「LINE MUSICをスタートしてから、多くのユーザーにリクエストをいただいていた機能がオフライン再生でした。ストリーミング型定額制音楽配信は便利ですが、長く使うと通信容量が肥大して、毎月利用できる通信容量にすぐ到達してしまいます。オフライン再生ではあらかじめWi-Fiで聴きたい楽曲を落としておけば、外出先でも通信の発生を気にせず再生できるようになります」(高橋氏)。

音楽ファイルをデバイスに保存して聴けるオフライン再生にも対応した

オフライン再生は最高音質の320kbpsの音源がダウンロードできるようだ。通信に負担がかからないぶん、反対にダウンロードしたファイルがスマホのストレージを食ってしまうため、当初はダウンロードできる楽曲数が最大500曲までに制限される。今後は落とせる楽曲数を増やしたり、Android版の場合はダウンロード先を外部SDカードに指定できるよう、さらなる機能拡張も検討されているそうだ。

LINE MUSICのストリーミング音質は最高品質の320kbpsから、中・192kbps、低・64kbpsより選べる

“速攻”を掲げるLINE MUSICが、次の機能アップデートとして宣言しているのは「PC対応」だ。ブラウザで対応するため、Win/Macのどちらでも使えるようになる。

PC版のLINE MUSICは、本家のLINEアプリと同様にユーザー固有のLINEアカウントに紐付けられるため、Apple Musicと同様に2つ以上のデバイスで同時に再生することはできない。またPCにはオフライン再生機能は組み込まれない。この辺りからうかがえる、LINE MUSICのコンテンツの著作権に対する基本姿勢については、高橋氏は次のようにコメントしている。

「サービスをマルチデバイス対応にすると、1つのアカウントを複数のユーザーが使えることになって、サービスの整合性が保たれなくなります。私たちの立場としては著作権を尊重しながら、モラルを持ってしっかりと運営していくことが大事だと考えています。そのため、LINE MUSICの場合はLINEアカウントと音楽ファイルのキャッシュは“1対1”でのみ紐付けるかたちとして、もし新しいデバイスが加わってきたら、元のデバイスのキャッシュは消える仕組みを採用します」(高橋氏)。

■音質に対する取り組みは?

以前にLINE MUSICの音源をApple MusicやAWAと聴き比べてみた際に、LINE MUSICの音質が取り分け良かったことが印象に残った。その後も使い込むほど、LINE MUSICで聴く楽曲は中低域の情報量が充実していて、ボーカルのメリハリやベースラインの力強さに特徴があると感じている。音づくりの面で、何か特別な工夫は行っているのだろうか。高橋氏はこう答える。

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