HOME > インタビュー > 「新しい音楽文化をつくりたい」。「LINE MUSIC」担当者インタビュー

<山本敦のAV進化論 第62回>

「新しい音楽文化をつくりたい」。「LINE MUSIC」担当者インタビュー

2015/07/17 山本 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
6月11日にサービスがスタートした「LINE MUSIC」は、LINEのコミュニケーションツールとのスムーズな連携を特徴として打ち出すストリーミング音楽配信サービスだ。今回はLINE MUSICの取締役である高橋明彦氏を訊ね、サービスの特徴や今後の展開についてお話をうかがった。スタンプ感覚で音楽をシェアする仕組み作りや料金プラン設定などの背景には、昨今の日本の音楽事情を鑑みた上で新しい音楽文化をつくっていきたい狙いがあるのだという。

LINE MUSIC 高橋氏

■次世代の音楽文化を担う若年層にリーチするための料金プラン

LINE MUSICのコンセプトが起案された時期は今から2〜3年前に遡る。当時国内でもLINEのコミュニケーションプラットフォームが活発化し始めていたことから、関係者の間には連携ツールの一つに「音楽」を加えたいという思いが常にあったと高橋氏は当時を振り返る。

LINE MUSICのトップ画面。最上段に新曲や新しく加わったアーティストのお知らせが表示され、本体には「ピックアップ」「ニューリリース」「おすすめプレイリスト」「アーティスト」などのメニューが並ぶ

「LINEには“スタンプ”という特徴的なコミュニケーションツールがあります。スタンプに人の感情を乗せてコミュニケーションをつなぐというカルチャーが育ち始める中で、そこに様々なコンテンツを加えながら新しい楽しみ方を提案したいという思いがありました。音楽を聴く頻度は人様々ですが、音楽が嫌いという人はいませんよね。エモーションも伝えられる共通言語として音楽が持つ可能性が、LINEのプラットフォームに乗ることで新しい可能性を生むはずだと考えました」。

LINE MUISCについて説明する高橋氏

LINE MUSICの原型は今から約1年には既に出来上がっていたそうだ。なぜスタートまでに1年の時間が必要だったのだろうか。高橋氏はこう説明する。

「1年前の時点ではLINE単独でのサービス提供を検討していましたが、そこからソニー・ミュージックとエイベックスの3社によるジョイント・ベンチャーとしてのビジネスに発展しました。結果として、各音楽レーベルとのコミュニケーションを円滑に進めることができたため、1年間のあいだにサービスやユーザー体験をより洗練させてからローンチできました。現在はユニバーサル ミュージックを加えた4社によって運営されています」。

LINE MUSICの無料トライアル期間は8月9日までとなっており、以降有料サービスとして提供されるわけだが、「学割」の導入など独自の料金体系も注目を集めている。若年層やライトユーザーを積極的に取り込もうという狙いもそこには垣間見える。その料金設定の背景にある狙いを高橋氏に訊ねた。

「現在国内の定額制音楽配信サービスの利用料金は概ね“1,000円”という平均値が慣習化されつつありますが、私たちはその価格ではユーザーにリーチして根付かせることが難しいと思っています。特に音楽文化の次世代を担う層である“10〜20代”の若年層、学生層にとっては月額1,000円という価格は結構な負担です。学生を応援するというメッセージも込めて、“学割”というコンセプトを立ち上げました。

LINE MUSICのフルサービスが500円で30日間20時間まで利用できる“ベーシックプラン”のコースも、世界で類を見ないチャレンジだと自負しています。インターネット動画などで音楽を“無料で聴く”ことに慣れてしまっている方にも、音楽コンテンツやサービスに正当なお金を払えば、音楽を聴くという体験がもっと楽しくなるということを知ってもらいたいという思いがあります」。

30日間1,000円(※iOS端末でアプリ内課金した場合は1,080円)のプレミアムプランのほか20時間まで使えるベーシックプラン、さらには学割も用意している

6月11日のサービスイン以降、LINE MUSICには期待通りのユーザー層が集まりつつあるようだ。高橋氏は正確なフィードバック検証はしていないと前置きしながら、「10〜20代」にボリュームゾーンができつつあり、これに30代以上が続く2階層のユーザー構成になっていると説明する。その理由にはやはりLINEのシェア機能と連携できる使い勝手の良さが支持を集めていることは明らかだ。アーティストのアカウントと友だちになっていれば、アーティストの新曲に関する情報が送られてきて、LINE MUSICで簡単に聴けるスムーズなサービス連携も実現される。

次ページ楽曲数「年内に500万曲」 − 以降も積極的に増やしていく

1 2 3 4 5 6 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE