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公開日 2026/06/30 07:00
【Shokz本社ツアーレポート#1】

骨伝導/オープンイヤーを牽引するShokzのオリジン。共同創業者が語るブランドヒストリー

ファイルウェブ編集部

骨伝導にはじまり、現在はオープンイヤー型イヤホンをリードしているといっても過言ではないブランド、Shokz(ショックス)。これまで幹部がブランドの方針を大々的に語ったり、製品開発/製造の現場を公開することはなかったが、今年はじめて、中国・深圳の拠点に各国のメディアを集め、ブランド活動の実態を見せるツアーが開催された。



中国・深圳にあるShokz本社オフィス


幅広い国々でShokzの製品が受け入れられ、ユーザー層が形成されるようになった今、幹部自らのプレゼンテーションや生産拠点の見学を通じて、ブランドの精神や哲学を、対面(Face-to-Face)で、より身近に伝えようという試みだ。


本稿ではツアーのさまざまなプログラムのうち、Shokzを立ち上げた3人の創業者のひとり Ken Chen(ケン・チェン)氏から語られたブランドヒストリーと今後のビジョンを、ショールームの展示を交えつつレポートしよう。



Shokz共同創業者のひとり、 Ken Chen(ケン・チェン)氏


地道な技術開発とマーケティングに支えられた、骨伝導のパイオニア


ケン氏をふくむ、Shokzの前身となる会社を立ち上げた3人の創業者は、みな同じ大学で学んだ同級生だ。


ケン氏は自分たちを「3頭の龍(ドラゴン)、ではなくドラゴンスレイヤー」と喩える。いまや骨伝導/オープンイヤー型イヤホンの一大ブランド、つまり “ドラゴン” になったかのように見えるかもしれないが、むしろその逆で、大企業や新事業に立ち向かう挑戦者だと位置づけているのだ。


2004年に事業を立ち上げた当初はブランド名を名乗っておらず、主に無線機用イヤホンのOEM事業を手がけていた。転機となったのは2007年ごろ。補聴器を通じて骨伝導技術と出会ったケン氏らは、耳を塞がず、それでいてハッキリと音が聞こえるこの技術に「革新性」を感じたといい、骨伝導製品の自社開発に本格的に取り組むことになった。



Shokz(AfterShokz)というブランドを立ち上げる以前、2009年に開発された有線接続の骨伝導イヤホン「WIRED」(国内未発売)。ブランドロゴはまだ無い


そうして2011年、米ニューヨーク州のシラキュースで「AfterShokz」ブランドを立ち上げる。中国ではなく米国ブランドとしてスタートしたのは、当時イヤホン/ヘッドホンの普及が限定的だった中国より、世界最大の市場規模を誇る米国のほうが成長が見込めたからだそう。またシラキュースは、ケン氏の母校の所在地でもあるとのこと。


2013年、ブランド初、および世界初を謳うBluetooth対応の骨伝導イヤホン「Bluez」を発表する。ケン氏いわく、決して理想的な仕上がりではなく、正直に言うと完成度に納得のいかない部分も残っていたとのことだが、現在販売している製品の基礎となるマイルストーン的なモデルとなっている。



初のBluetooth骨伝導イヤホンとなった「Bluez」。旧ブランド名の “AfterShokz” ロゴが付いている


ところが、市場からの反応は冷ややかなものだったという。発売から1週間、取り扱う1,000件の店舗で売れた製品はたったの18個。ユーザーからの評判も賛否両論で、「目の前でスピーカーが鳴っているかのようだ」と受け入れる声があるかと思えば、「この音質には耐えられない」という批判が聞こえるといった具合だ。取り扱いをキャンセルする販売店も多かったという。


これを受けてAfterShokzは、骨伝導技術そのものの改良に重点的に取り組んだ。低音の不足や音漏れ、装着感を損なう振動など、骨伝導イヤホンの課題と言われていた要素ひとつひとつを解消する技術を開発した。


骨伝導ドライバーの音のバランスを整え、不要な振動を抑える「Premium Pitch(プレミアムピッチ)」や、音漏れを抑制する「LeakSlayer(リークスレイヤー)」、チタン製フレームなど、最新製品にも搭載される独自技術が形となったのは、この頃だそうだ。



Shokzを象徴する独自の骨伝導技術の多くは2012年ごろから形作られたという


また家電量販店での販売に限定せず、“草の根” 的なマーケティングに取り組んだことも功を奏したとケン氏は語る。


空港のセレクトショップやスポーツ用品店に試聴機を提供し、店員にも実際に使ってもらう。また新しいモノ好きの “アーリーアダプター” に試聴機で魅力を体験してもらう。そういった地道な活動を経て、骨伝導イヤホンを心から “良い” と思った人から口コミを広めてもらうことで、徐々にAfterShokzの認知が広まっていったのだそうだ。


こうした技術改良と草の根マーケティングを経て、2015年にクラウドファンディングIndigogoで「Trekz(Trekz Titanium)」を発売するころには、Amazonのレビューでも好評価が目立つようになり、大手量販店/メディアからもあらためて注目されるようになった、とケン氏。


「それまで友人や親戚たちはアイデアや励ましの言葉をかけてくれましたが、Trekz以降は『サンプル無い?』とも尋ねてくるようになりました」と愉快そうに振り返った。



「Trekz Titanium」。現在もShokzの国内代理店を務めるフォーカルポイントが初めて取り扱ったモデルでもある


2021年に、ブランド名「AfterShokz」を現在の「Shokz」へと刷新。もともと骨伝導の振動のイメージから付けられた名前を、意味合いを残しながら短くすることで、より覚えやすくグローバルに展開しやすくするための施策だ。


そして現在、Shokzでは主にスポーツ/アウトドア向けモデルで骨伝導技術を引き続き採用しつつ、オープンイヤー技術に取り組んでいることは周知のとおり。ケン氏は、骨伝導は間違いなく素晴らしい技術であるとしながらも、オープンイヤーはより幅広いユーザーのニーズに応えられる可能性を秘めている、と位置づけた。


ケン氏はShokzというブランドの強みについて、長年にわたり開発と実証を重ねてきた骨伝導/オープンイヤーに関わる音響技術や、シリコン/チタンフレームなど素材のノウハウが大きな武器と語り、今後他のオーディオブランドがオープンイヤー市場に参入しても充分競うことができるだろう、と自信をのぞかせる。


また一方で、近年話題を集めている「難聴」や聴覚サポートに関わる製品、AIを活用したウェアラブル製品についても、検討や研究を進めているとコメント。“ながら聴き” の先駆者による新しい分野への挑戦は、まだまだ続きそうだ。



深圳市内にあるShokzのショールーム(エクスペリエンスセンター)。ブランドの歴史や歴代製品、技術がわかりやすく展示されている



国内未発売をふくむ歴代製品を並べた壁



Shokzが受賞したアワードの紹介コーナーでは、VGPの盾も展示されていた


 

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