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公開日 2025/07/21 07:00
<連載>オーディオを、遊ぼう! “ザ・良音計画”第3回

真空管アンプ×ロックライブ盤でアッチッチ“おうちフェス”を楽しもう!

前田賢紀

ストリーミングサービスでロックのライブ盤を攻めろ!


楽しく、真面目に、そしてどっぷりとオーディオの楽しさに誘惑しちゃうぞ、というコンセプトで皆さんに提案していく連載「オーディオを、遊ぼう! “ザ・良音計画”」。第3回のテーマは「暑い夏、アッツイ真空管アンプ、熱いロックライブ盤でおうちフェス!」。共通ワードは「あつい!」である。



熱々真空管アンプと熱々ロックで、もっともっと熱くなっちゃいましょう!


ロックのライブ盤と言えば熱くてなんぼ、盛り上がって当然だが、それでもいまこの2025年夏に聴き込みたい選ばれるべき名盤はある。今回はAmazon Musicを活用し、70〜80年代の定番をトライオードの真空管アンプ「TRK-3488」とクラフトスピーカー、BLUESOUND(ブルーサウンド)のミュージックストリーマー「NODE ICON」でしゃぶり尽くそうというわけだ。



BLUESOUNDの多機能ストリーマー「NODE ICON」ならいろんなライブ盤が楽しめる!(価格:オープン、市場想定価格は22万円前後・税込)


ストリーミングで聴くならスマホやPC直結でもいいのだけど、今回はブルーサウンドのミュージックストリーマー「NODE ICON」を準備。様々なストリーミングサービスのほか、アナログ/光/USB-C/HDMIなど多彩な入力に対応する音楽のハブである。


専用のアプリ「BluOS」を用いれば、Amazon MusicやQobuzなどなど、使い慣れたサービスを自在に操ることができる。今回は熱いライブということでタイトル決め打ちで楽しんだが、ネットラジオもかなりイケる。



NODE ICONを操るアプリ「BluOS」で使える音楽サービスは多彩。今回はAmazon Musicで楽しむことに


 


70〜80年代ライブ盤を浴びよう!


暑い夏に熱い真空管アンプで熱いロックを聴いておうちフェスを楽しむ趣向だから、ビールやお好きなドリンクを片手に楽しんでもらえたら最高だ。セレクトしたライブ盤はいずれもドのつく定番ばかりだから、「もう一度!」の人も「聴くのは初めて」という人もナウ・オン・プレイ!



「いまどきフェスったらクラフトビールでしょ」なんて言わないように。日本の夏と言えばドライドライなのだ!


ではターボかけて聴き始めよう。まずは男魂全開&汗まみれが魅力の男性ヴォーカルものライブ盤3連発!


クイーン『Live At Wembley Stadium』(1986)



フレディはダンディというかセクシーというか、あつい男……でしたよね。多くのCMに用いられ、日本でもっとも知られたハードロックバンドと言っていいだろうクイーン絶頂期のライブ盤がこれ。「ボヘミアン・ラプソディ」「伝説のチャンピオン」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「輝ける7つの海」「地獄へ道づれ」「レディオ・ガ・ガ」「カインド・オブ・マジック」など等、彼らだけ(あとはビートルズと松任谷由実くらい?)ができる大ヒット曲の連発連打で全32曲、約1時間50分収録。サポートメンバーなしの4人による演奏で、ライブだからとホーン隊を加えるようなこともない。初期作品にはわざわざ「No Synthesizer」とクレジットしていた程だから、4人でのサウンドにこだわりがあったのだ。結果的にバンドにとって最後となった本ツアーにおけるフレディの絶唱が胸にしみる。


BOØWY『LAST GIGS』(1988)





これ入れなきゃダメ! バンドブームという追い風があったにしろ、あの頃、あまたいたバンドの中で頂点に立ったBOØWYの正真正銘ラストステージをパッケージした日本のロックライブ盤の金字塔。個人的にはカルメン・マキ&OZの「ラスト・ライブ」とか四人囃子の「フルハウスマチネ」、ミカバンドの「ライブ・イン・ロンドン」なんかも加えたいところですがリスナーを限定してしまう。本作は1988年の4月4日〜5日に東京ドームで開催された最終公演の録音盤で、CDリリースはなんと翌5月! 当初CD1枚で12曲収録だったが、現在では両日の全曲版もリリースされており、アマゾンでもこのバージョンで楽しめる。満員御礼5万人を引き寄せるメンバーの力と音楽に脱帽し、アツく燃え、終曲「NO.NEW YORK」で涙しようじゃないか!


矢沢永吉『LIVE 後楽園スタジアム』(1978)





代表曲「時間よ止まれ」で地位を確立した1978年の後楽園スタジアムライブをパッケージ。永ちゃんにとってソロ3枚目となるライブ盤だ。おなじみNOBODY組を始めブラスも入ったキラびやかな演奏で全21曲を一気に聴かせる。「チャイナタウン」「ゴールドラッシュ」「時間よ止まれ」「黒く塗りつぶせ」「アイ・ラブ・ユー, OK」などファンの「聴きたい!」に応える矢沢永吉、29歳の記録だ。後楽園スタジアムといえばドーム以前の大規模会場としてコンサートによく使われ、グランドファンクレイルロードの暴風雨コンサートや、キャンディーズのファイナルコンサートなど伝説を残した。今年11月の東京ドーム2DAYSチケットを完売させた永ちゃんの若き日のエネルギーが詰まったご機嫌すぎるライブ盤だ。君もE.YAZAWAタオルを手に入れて自宅でヤザワすべし!


 


DIYオーディオシステムで、全力疾走フルマラソン!


ここで機材紹介といこう。真空管アンプは本連載第1回で組み立てたトライオードのキット「TRK-3488」。出力管はEL34(キットに付属)だが、面倒な調整不要でKT88と差し替えられるのが大きな特長。なおTRK-3488はEL34装着時、6W+6Wとホームオーディオとしては充分な出力をもつ。



作る喜びと使う楽しさ、利便性を兼ね備えるトライオードの良心⁉「TRK-3488」。写真にないがボンネットが付属する


スピーカーもまたDIYモノだ。ユニットはフォステクスの「FE203Σ-RE」で、バックロードエンクロージャーはこのユニット用に開発されたワンダーピュアの「WP-ENFE20」である。能率のいいユニットと箱であるため、タマアンプでもパワフルに鳴らせる。 



ユニットはフォステクスの「FE203Σ-RE」、エンクロージャーはワンダーピュアの「WP-ENFE20」


紙コーンのパーンと張ったフォステクスサウンドと、バックロードホーンらしい中低域の量感とが相まって、たとえるなら濃い鉛筆で描くデッサンのように音楽を奏でてくれる。その大らかな鳴りっぷりは、ライブ会場の熱狂まで味わわせてくれそうだ。


続くテーマは “全力疾走でフルマラソン!” ロック史にその名を刻むベテランバンドの音盤記録を紹介しよう。


ディープ・パープル『メイド・イン・ジャパン』(1972)





日本公演の実況録音であり黄金期メンバーでの来日、演奏内容、2枚組というボリューム、当初は『ライブ・イン・ジャパン』として日本限定で発売された要素込みで日本発ライブの代表作だろう。「スモーク・オン・ザ・ウォーター」の手拍子の表裏をリッチー・ブラックモアが修正するなどライブならではの瞬間も楽しい。「ハイウェイ・スター」「スピード・キング」に、UCC缶コーヒーCMでも使われた「ブラックナイト」など収録。レコード時代は全7曲だったが後年3曲が追加され10曲、約100分の大ボリュームに。アマゾンで聴けるのもこのバージョンだ。


キング・クリムゾン『USA』(1975)





プログレ? との先入観抜きに聴いていただきたいインテリロックの最高峰ライブ盤。ドライアイスのように冷たすぎてアッツイ演奏だ。上記パープル同様最強と言われる4人での演奏記録であり、「毎日こんな演奏していては、もつわけない」とその後の解散もナットクのハイボルテージ。レコード時代は全6曲だったが現在ではボーナストラック追加の9曲で聴ける。キング・クリムゾンはフランク・ザッパ同様かなりのオフィシャルブートレッグが存在するのでハマってしまったら底なし沼。ともかく「21世紀のスキッツォイドマン」「スターレス」だけでもいいので、聴いてください。


ラウドネス『8186 NOW AND THEN』(1986/2017)





全米デビューアルバム『THUNDER IN THE EAST』発売40周年を迎え、2025年も精力的に活動するラウドネスにとって、2枚目にあたるライブアルバムが『8186 LIVE』。当時アメリカのアトランティックレコードと契約を結んで世界へ飛び出した彼らが20代にして残したエネルギッシュな記録である。一方『8186 NOW AND THEN』はその名の通り、1986年に代々木アリーナで収録し同年発売されたオリジナル『8186 LIVE』に、同じ曲順で展開された2017年の再現ライブ音源を加え、約3時間10分にわたって「あの頃」と「いま」(2017年当時)のラウドネスが楽しめる4枚組だ。世界のメタルキッズに衝撃を与えた『CRAZY NIGHTS』のリフで君もノックアウトされちゃえ!


 


ライブ盤というパッケージメディア


海外アーティストのライブ盤リリースが活発だったのは70〜80年代のこと。当時海外はまだ遠く、ライブ盤だけが旬をとらえた記録だったからだ。さらに日本が経済的に豊かになると、「円」を稼ぐために海外アーティストが立ち寄るようになり、その記念盤として国内限定で「LIVE IN JAPAN」等がリリースされるようになってきた。ライブ盤はステージだけのアレンジやゲストの参加といった意外性あるコンテンツとして貴重なのだが、時に、レコード会社とのリリース枚数契約を果たせない時の穴埋めに使われることもあったとか……。



おうちフェスならアナログ聴いてもいいね!


ではシメの3枚。テーマは「意外」である。


YMOでは契約上の問題からギターパートをカットし、スタジオでシンセをオーバーダブした曰く付き(?)ながらオリコン1位獲得という意外過ぎる成功作だし、レベッカは再始動シングル1曲に同年のライブ19曲をカップリングしたという「どっちがメインディッシュなの?」という意外。最後はドドドのつく定番だけど、あのクラプトンがアコギ? 枯れたねえ〜と意外に感じられたヒット作を取り上げる。


YELLOW MAGIC ORCHESTRA 『公的抑圧』(1980)





テクノだってアツいんです! YMOはフォロワーともチルドレンとも呼ばれる愛好者が多く、直近でもソニーからワールドツアー全公演を収めたボックスセットがリリースされている。だからライブ音源も豊富にあるが、その中で『公的抑圧』だけがもつ価値と言えば、渡辺香津美のギターパートを坂本龍一のシンセに差し替えることで、ある意味“テクノポップの典型”を知らしめたこと。何しろこのアルバム、オリコン1位を獲得するくらい売れに売れたのだ。かつて教授は「東風」「ジ・エンド・オブ・エイジア」における長尺のシンセソロについて「これを聴いてコピーするバンド少年たちのことも考慮し、比較的弾きやすくシンプルなフレーズとした」といった旨を残している。なおYMO活動全期のライブをコンパクトに楽しむなら、高橋幸宏監修の『ONE MORE YMO』がオススメだ。


レベッカ『恋に落ちたら(Live)』(2017)





2017年のシングル「恋に落ちたら」に、同年開催された〈REBECCA LIVE TOUR 2017 at 日本武道館〉ライブをパッケージした3枚組。女性ヴォーカル+男性プレイヤーというバンド編成を確立したレベッカに熱狂した人なら、「懐かしい!」というより「いまもいい!」と思える一枚。復活ライブでよくある「復活は嬉しいけど、演奏はちょっとキビシイよね」という心配ご無用で楽しめるのは、彼らのミュージシャンシップはもちろん、楽曲自体がもつ優れた骨格の恩恵だろう。NOKKOのVo.はより円熟した(「つ」を「ちゅ」と歌うところがキュート!)印象を受けるし、バンドの柱である土橋亜騎夫のシンセプレイ&音色&フレーズも活き活き。大ヒット曲「フレンズ」「RAPSBERRY DREAM」はもちろん、最高のシンセソロが光る「76th Star」や切なすぎる歌詞に目頭を熱くする「LONELY BUTTERFLY」「MOON」など全19曲。お決まりのコール&レスポンスも嬉しい。


エリック・クラプトン『アンプラグド』(1992)





チャート最高順位ではアメリカ、オーストラリア、オランダ、NZで1位、イギリスで2位、オーストリア、スイスなどで3位、日本で5位ととにかく全世界で売れまくり。それもそのはずギネス認定「世界で最も売れたライブ盤」なのだ。オーディオ界隈でも試聴盤として一時よく使われたことをご記憶の方も多いはず。「クラプトンと言えばクリーム」「いやいや461でしょ」という長年のファンを若干戸惑わせたかも知れない『アンプラグド』だが、結果としてコアファン以外の膨大な新規リスナーを獲得し、アンプラグドブームの火付け役となった。7人編成のバンド演奏で、メンバーの立ち位置も明瞭、サウンドの粒立ちもいい。「ティアーズ・イン・ヘブン」「いとしのレイラ」ほかブルーズの名曲カバーも入った全14曲。モヒートでも片手にゆるく楽しみたい。


 



エアコンの効いた部屋で、ひとりおうちフェス!ビールで乾杯!


カンカン照りの夏将軍の大襲来だ! アッツイ真空管アンプ、熱いロックライブアルバムで、君も「おうちフェス」を楽しもう! ……あ、エアコンはお忘れなく(笑)


 

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