ネットワークアクセサリーが世界を救う!? iFiの新ブランド・SilentPowerが立ち上がった背景とは?
2025/06/12
ネットワークオーディオのクオリティアップには、オーディオ用のLANケーブルやハブの 導入が必要なことはよく知られている。さらにそこからもう一歩踏み込んだノイズ対策に有効なのが、SilentPowerブランドのアクセサリーである。
iFi audioからスピンアウトして誕生した新ブランド、今回は3つのLAN周辺アクセサリー「LAN iSilencer」「LAN Purifier Pro」「OMNI LAN」を、生形三郎氏が自宅にて試してみた。
ネットワークオーディオを高音質で楽しむには、ノイズ対策アクセサリーを欠かすことができない。それは、オーディオファンにとって、もはや周知の事実と言えるだろう。
昨今はロスレスストリーミングの普及に伴い、各社からさまざまなネットワークオーディオ用アクセサリーが発売され、活況を呈している。その中で、業界内でいち早くノイズ対策アクセサリーの開発を手掛けるとともに、手軽なフィルタータイプから、光アイソレーター、そしてオーディオ用スイッチングハブなど、幅広いネットオーディオ用アクセサリーを展開するのが「SilentPower」である。
同ブランドは、ポータブルオーディオとしても人気を博す英国はiFi Audioから派生したネットワークアクセサリーブランドである。iFi Audioでも歴代機器に搭載されてきたノイズアイソレーション技術や、小型で堅牢な筐体設計技術など、持ち得る資産を活用して他メーカーに比べても比較的導入しやすいプライスでの製品展開を実現することも、大きな特徴である。
今回紹介するのは、その中でも主力となる3つのアイテムだ。拙宅環境にてじっくりとその効果を体験してみたので、その効用をレポートしたい。
初めに試すのはLAN iSilencerだ。LAN端子に接続することでLANケーブル経路に挿入するという、シンプルなコネクタタイプのアクセサリーだ。コネクタ形状の本体内には、小型チップに内蔵された通信用トランスが内蔵されており、磁気絶縁によるガルバニック・アイソレーションでノイズ成分の抑制を実現するものである。
使用場所としては、ルーター、スイッチング・ハブ、壁のLANソケットに直接接続するなどとの使用方法が挙げられているが、今回は、ネットワークトランスポートとして使用しているfidataのLAN端子に接続して試聴した。
なお、アイテム単体での効果を見極めるため、普段使用しているオーディオグレードのスイッチング・ハブをあえて外した状態でテストしている。これは他の2つのアイテム試聴時も同様だ。
早速試聴してみると、LAN iSilencerを挿入する前の状態と比べると、大分ノイズ感が緩和される印象だ。音色は、ややゆったりと落ち着いた音調となり、木管楽器や弦楽器は、やや高域方向が穏やかな音になる。
本機だけで完全にノイズ感が取り払われるまでの効果はないものの、音のギラつきが減り、各楽器同士の距離感や前後関係など存在が立体的になる。加えて、ステージの見通しや奥行き表現などの空間表現も改善される。強いアタック感を持った音の立ち上がりは、勢いが幾分緩やかになるが、それが心地よいキャラクターにつながっている。
また、本機のケーブル付きタイプも試したが、拙宅環境では、ケーブル付きタイプの方がキャラクターが少なく感じた。微妙な違いではあるが、振動伝達の影響などかもしれない。ケーブルなしタイプも、台に載せるなどしてチューニングができそうだ。
次に、光アイソレーターのLAN iPurifier Proを試す。本アクセサリーは、本体に内蔵されたメディアコンバーターによって電気信号を光信号へと変換し、再び電気信号へと変換するアクセサリーである。つまり、光絶縁によるガルバニック・アイソレーションを実現するもの。
加えて、iFi AudioのiPurifierシリーズから培ってきたジッター除去技術とアクティブ回路による信号再生成技術も投入する他、LAN端子内にもトランスが内蔵され、そこでも絶縁されるという入念な回路となっている。精緻な剛性感のあるコンパクトなボディに複合的なノイズ抑制アプローチが組み込まれた、意欲的なアクセサリーとなっている。
本機は、ルーターとプレーヤーやストリーマーの間、そして、ルーターとスイッチング・ハブの間などに挟んで使用するが、先ほどと同じように、無線LANルーターとfidataとの間の、fidataの直近に挿入してみる(先のLAN iSilencerを外してLAN iPurifier Proを接続した)。
明らかにディテールや情報量が引き出されてくる。オーケストラソースは、演奏空間の奥行きが増大し、弦楽器はボウイングの動きの繊細さや、倍音が醸し出す微細な音色感までを、しっかりと伝えてくれるようになる。例えば、スタッカートの後の休符で、弦や楽器本体の共鳴が微かに残って鳴っている様子なども、克明に聴こえるようになるのだ。
加えて、全体的な耳触りが、キメ細やかで滑らかな質感となり、凹凸がなめされたまろやかな口当たりを楽しむことができる。この性格は、光アイソレーションならではの質感だと筆者は認識している。
本機なしの状態と比較するとその違いは実に大きく、音楽再生に静寂がもたらされるとともに、音質の品位が大きく向上する。
最後にオーディオ用スイッチング・ハブの機能を持つOMNI LANを使用する。
本機最大の特徴は、光絶縁とトランス絶縁を含む三段階のガルバニック絶縁を内蔵するとともに、フェムト秒レベルの高精度なクロック回路の内蔵、各種仕様を設定できる機能を有することだ。
一般的なLAN端子(RJ-45)だけでなく、光SFPやSC、そして産業用M12端子など、合計13ポートという多種多様な機器を同時接続して運用可能。ディスプレイを搭載して信号をモニタリング可能なほか、クロック入力を備えていたり、プロフェッショナルユースも考慮してラックマウントにも対応するというから実に徹底した仕様となっている。
日本国内向け限定版として、同社の強化電源アダプター「iPower2」が同梱されていることも見逃せない。
接続方法としては、ネットワーク再生デバイスをULTRA PUREポートに接続し、その他全てのデバイスをSTANDARDポートに接続することで、包括的なネットワーク対策が完了する。こちらは無線LANルーターとfidataとの間で、無線LANルーター側に(スイッチング・ハブの代わりに)挿入して試聴した。
一聴して実感するのは、音のひとつひとつが十全なエネルギーを持っていて、音源が持っている本来的な音の密度や躍動感を心地よく引き出されているということ。音が着実に純化されるが、音楽が持つパワーや勢いの損失を感じさせない。総じて、大変好印象である。
率直に言って、音質効果はもちろんのこと、これだけ多くの機能を備えていて、ルックス的にも精緻な質感を持っていることを考えると、類似製品と比べると大変コストパフォーマンスが高いと感じる。
せっかくなので、本機の後段にLAN iPurifier Proを直列に接続して、両機併用しての効果も確認してみた。
併用すると、一層効果が高まる。先述したOMNI LANの効果に加えて、光変換ならではの音がほどける印象が加わり、絶妙な塩梅で音楽再生が楽しめるのである。よりリッチな質感になると言えば良いのだろうか。より強力な効果やキャラクターを得たい場合に特に有用な組み合わせであると実感した。
冒頭でも述べたように、ネットワークオーディオを高音質に楽しむためには、ネットワーク環境のノイズ対策は、決して欠かすことができない。
そんな中、今回試したSilentPowerの3製品は、着実なノイズ対策効果が得られるネットワークオーディオアクセサリーであるだけでなく、精緻で先進感あるルックスを持ったコンパクトな筐体設計によって、既存システムにも極めて導入しやすい秀逸なアイテム達なのである。
(提供:エミライ)
※本記事は『季刊・オーディオアクセサリー 200号』からの転載です。