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公開日 2025/10/28 06:35
新開発のスペーサーも付属

S/N、解像性能ともに最高レベル。ティグロンの最新技術を集約した6層構造オーディオボード

林 正儀

ティグロンの新たなる最高峰オーディオボード「TMB-500EX」が注目を集めている。従来の最高峰ボード「TMB-300」の基本構造を踏襲しつつ最新技術も投入。その効果を、林正儀氏が自宅の試聴室でチェックする



TIGLON オーディオボード「TMB-500EX」(価格:127,800円/税込)



新たに銅シールド層を設けてノイズをカット


ティグロンの最高峰オーディオボードTMB-500EXの試聴機が我が家に届いた。生産完了となったTMB-300にかわる新時代の画期的アイテムだ。この300番は高級オーディオラックの「マグネシア」をベースに開発したファントムアーシングボードだが、その効果をさらに劇的に発展させたのが今回の500EXである。


どこがどう変わったのか?改善ポイントの詳細をみていこう。


ここでは300からの進化に絞る。高級耐水バーチ材をベースにしつつ、4層から6層構造への変更と言えばわかりやすいだろう。


層の構成が変わったのが一番で、新しく銅のシールド層を設けている。今まではマグネシウムの上にすぐビンテージチークが入っていたのだが、その間に30μ厚の銅シールドを挿入。種類の違うノイズをカットしていることに注目だ。マグネシウム自体の振動モードを変えるという意味でも、見事な位置取りだろう。


ボードの中に入っている純マグネシウム板は今まで通り2mmの圧延だが、新たに独自技術であるマグネティックZEROプロセスを施したものだ。


 


本機のために開発された特別なD-RENスペーサー


もうひとつ。300はスペーサー無しだったが、新しくD-REN EXを加えたことがトピックスだ。木の響きをも計算して決めたとのこと。EXはD-REN Proのボードバージョンだが、これは500EX用に新たに開発した3mm厚のスペーサーで色は朱色。これが付属品として同梱される。設置面との間に4個セットしよう。



付属する「D-REN EX」は本オーディオボード専用に新たに開発したスペーサー。通常モデルの「D-REN Pro」からさらに強度を高め、内部のマグネシウム合金箔を新たに純マグネシウム箔に変更。音質の純度をさらに高めることを狙ったハイファイスペーサー


要するにD-REN EXは、通常モデルのProからさらに強度を高め、内部のマグネシウム合金箔を純マグネシウムに変更したものだ。音質の純度を研ぎ澄ませたハイファイスペーサーとなる。言い忘れたが、Proとの違いは箔の純度以外にも荷重に耐えるべくゴム素材の硬さも上げている。長く愛用したいものだ。


TMB-300では、ファントムアースダクトと呼ばれる微細な空気穴が後ろにだけ4個ついていた。ボードに空気穴をあけること自体斬新なアイデアだが、今回のTMB-500 EXでは、全方向16カ所(4×4)に設けた発展形だ。息をすーっと吹きかけると、他から空気が出てくる感じである。これにより不要振動も外部に放出されるのだろう。


内圧の空気を逃がすこの機能がとてつもなく大きく、ティグロンが目指す“広がり感”に大きく寄与しているようだ。


 


TMB-500EXレビュー:美味しいところを抽出する有機的サウンド


早速CDプレーヤーで試聴してみよう。言うまでもないが、ボードのまわりにはモノを置かず、空気や振動がフリーとなる空間が必要だ。


実にサイレント……。静かすぎて遠近ともにノイズフロアがなくなったかと思うようだが、それでいてクールではない。S/Nや解像性能ともに最高レベルにあり、雑味を廃し美味しいところだけを抽出するような有機的なサウンド。そんなイメージである。


久々にかけた幸田浩子のオペラアリア集だ。最速のスピードを持つマグネシウム素材の性能やヴィンテージオークの滋味。シールドなどのカクテル効果で、凛々しいソプラノの音像がすっくと立ち上がる。


「幻想」などの大オーケストラものはエネルギー密度が増して色彩感豊かに。音場がさらにダイナミックに拡張され、たっぷりとした空気感に満たされた。ファントムアースダクトの効果だろうか。天空を駆けるがごとき爽快さで、ステージから猛烈な風圧を受けた気がした。


ジャズは熱気が高まって、一音一音にエネルギーが凝縮される。ベースの弓弾きはストロークも激しく、より情熱的に響くのだ。床を踏む下げ弓(ダウン)の迫力に圧倒されまくりだ。


ピアノは余韻の余韻までクリアかつ滑らかで、空気に音像があることを実感。D-REN EXの効きが確かに感じられた試聴である。生々しいライブ感を含め、あり余る迫力の立体音場に包まれた。


LP12で試したところ、アナログプレーヤーも効いた。“居場所を得た”というか、嬉しくなるほどの効き方である。振動が精密にコントロールされ、音溝のトレースが明らかに向上したのだ。


有害な静電や磁界ノイズ成分まできれいにシャットアウトされた結果、楽器や声のテクスチャーがさらにキメ細かく、アナログの肌合いや超絶しっとり感など、まさに表現言語が多彩になったイメージだ。


DACやネット系など、どの機器にセットしようか迷うほどで、これはオーディオファイル必聴だ。             


(提供:ティグロン)




※本記事は『季刊・Audio Accessory vol.198』からの転載です

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