データの保存/管理/再生まで1台でおまかせ!UGREEN「NASync DXP4800 Plus」レビュー
折原一也「手軽に使える大容量ストレージ」— いわゆるNAS(Network Attached Storage)に、多くの人が抱くイメージはそんなところだろう。オーディオファンにとって、増え続けるハイレゾ音源。カメラ愛好家なら、撮影するたびに溜まっていく写真やビデオを溜め込むには、ストレージとしてNASを用意するのは合理的――。
そんな今の時代に登場したNASがUGREEN “NASync DXPシリーズ” だ。今年2月にクラウドファンディングプラットフォーム「GREEN FUNDING」にて国内デビューし、HDD 2ベイモデル「DXP2800」、4ベイモデル「DXP4800 Plus」、6ベイモデル「DXP6800 Pro」の3モデルを展開。見事目標額を達成後に一般販売もスタートしており、2025年7月14日(月)まで、Amazonおよび公式直販サイトでは最大19%オフのキャンペーンを実施中だ。
いずれもNASとしてはパワフルなCPUや余裕のあるメモリー容量、また初めてNASにさわるユーザーにも分かりやすいインターフェースを備え、快適な使い心地を実現するというシリーズとなっている。
今回レビューする中位モデル「DXP4800 Plus」は、HDD 4ベイ/M.2 SSD 2ベイを搭載し、Intel Pentium Gold 8505プロセッサーに8GBのメモリを搭載。前面にはSDカードスロットとUSB端子、更に背面には10GbE/2.5GbEのデュアルイーサネットと共にHDMI端子も装備する。
最初に断っておきたいことは、実際にDXP4800 PlusにスマホおよびPCでアクセスして使ってみた感想は、どう見ても「単なるファイルストレージ」としてのNASではない。その本質は、Linuxベースの専用OS「UGOS Pro」を搭載した、極めて強力な「パーソナルサーバー」であり、「リモートデスクトップ」そのものだ。
今回は実機を試しながらセットアップ、音楽や写真、ビデオへのアクセス、機能性までをレビューしていこう。
スマホ/PC/MAC向け「UGREEN NAS」アプリでセットアップ
DXP4800 Plusは、出荷状態ではHDD/SSDを搭載しないNASのサーバー部分のみの状態で販売されている。まずはHDD取り付けからスタートする。
本体前面にあるドライブトレイは、ボタンを押すだけで開いて簡単に引き出す方式。3.5インチHDDの固定もトレイの左右にあるパーツにはめ込むだけで、ドライバーもケーブル配線も不要だ。
本体に電源ケーブルとLANケーブルを接続し、電源をオン。次に、スマホに「UGREEN NAS」アプリを導入すると、同一ネットワーク上にあるNASyncを自動で検出。あとは、画面のガイドに従って進めるだけで、管理アカウントの作成、 装着したHDDをどのように使うかの設定(RAIDなど、今回はすべてのHDDを1つのドライブ化する「JBOD」に設定)をするとフォーマット、ストレージが使用可能と進んでセットアップ完了となる。
ここまで進むとNASとしてセットアップ完了なのだが……DXP4800 Plusはここから先がただの「ファイルストレージ」ではないのだ。
PCとスマホからの操作性をチェック!
初期設定が完了したら、いよいよファイルの保存や閲覧だが……セットアップの流れに従うと「同期とバックアップ」「音楽」「シアター」「写真」「クラウドドライブ」が導入可能。ストレージ感覚でDXP4800 Plusを使い始めると、ここで別モノと気づくだろう。
さらに「アプリセンター」からは「テキストエディタ」「Firefox」「仮想マシン」「Docker」などのアプリも追加で導入できる。
そして極めつけは、Windows PC/Mac版の「UGREEN NAS」からアクセスするとデスクトップにアイコンが並んでいて、もちろんマウス操作も可能。これが、Linuxベースの専用OS「UGOS Pro」であり、Linuxベースのデスクトップ環境そのもの。DXP4800 Plusはお手軽なNASではなく、「パーソナルサーバー」なのだ。
あまりに本格派のDXP4800 Plusだが、まずはシンプルなNASとしての操作性から押さえておこう。
ファイル保存は、スマホの操作では「UGREEN NAS」のアプリから「ファイル」アプリを開いて、フォルダを開いて右下の “+” マークを押せばスマホからのアップロードが可能。
Windows/Macの操作では、「UGREEN NAS」で「ファイル」を開いてフォルダを表示。そして、Windows/Macから直接ファイルやフォルダをドラッグ&ドロップでアップロードが可能になる。また、前面のUSB端子やSDカードスロット経由のコピーも可能だ。
これら手動のファイル管理の他に、「同期とバックアップ」のアプリを使うことでPCフォルダと同期することも可能だ。またスマホ版の「同期とバックアップ」からは、スマホの写真とビデオの自働バックアップが可能と機能性も作り込まれている。
ちなみに初期設定時にUGREENアカウントを作成しておけば、「リモートアクセス機能」によって外出先の4G/5G回線からでも、自宅のNASに安全にアクセスが可能。自分の手元でデータを管理しつつ、Google Driveのような感覚でいつでもどこでもアクセスできることは、NASを導入する大きなメリットだ。
音楽・写真・ビデオ……「パーソナルメディアサーバー」としての実力を試す
さて、この「パーソナルサーバー」の本領が発揮されるのが、音楽・写真・そしてビデオといったメディアファイルの扱いであった。
「アプリセンター」から専用のアプリをインストールすることで、DXP4800 Plusは強力なメディアサーバーへと変貌する。
まずは「音楽」アプリだ。PCに溜め込んでいたFLAC形式のハイレゾ音源を数十GBほど、ドラッグ&ドロップでDXP4800 Plusに転送してみる。10GbEの高速ネットワーク環境であれば、大容量のデータも短時間で完了。
そして「音楽」アプリを起動すると、転送した楽曲が自動でスキャンされ、アルバムアートと共にライブラリを構築。アーティスト別、アルバム別、フォルダ別での表示はもちろん、自分で曲を選んでプレイリストを作成することも可能だ。UIはシンプルで分かりやすく軽快に動作。もちろんスマホの「UGREEN NAS」アプリからも音楽ライブラリに完全にアクセスできるし、NASなので必要であればダウンロードも可能という所がポイントだ。
次に「写真」アプリ。これもビューアーは軽快であるのは当然として、スマホの自動バックアップ機能で転送された大量の写真やビデオの自動分類機能もある。位置情報による地図表示可能、またパーソナルギャラリー機能による顔認識など、今どきのスマホの写真アプリにも似た機能性を備えている。もちろん、時系列やフォルダでの表示も可能というNASらしさもある所がポイント。
そして「シアター」アプリ。これもスマホ/PC版どちらでも単独で4Kにも対応した動画プレーヤーとして動くだけでなく、なんと背面のHDMI端子から映像出力も可能。例えば、スマホアプリから動画を選択して、テレビ画面で再映する操作も可能だ。ちなみに、試した限りではiPhone及びデジタル一眼ソニー “α” で撮影した4K/60pのビデオもコマ落ちすることなくスムーズに再生できた。
ファイル管理から4K再生まで。1台で完結する最強のパーソナルサーバー
DXP4800 Plusをレビューしてきて、繰り返しになるが、これは決して「ただの大容量ファイルストレージ」ではない。その本質は、LinuxデスクトップOS「UGOS Pro」を搭載した、極めて拡張性の高いパーソナルサーバーだ。
ファイルサーバーとしての基本性能の高さは言うまでもなく、自分だけの音楽ストリーミングサーバー、AI搭載のフォトクラウド、そして単体で機能する4Kメディアプレイヤーとしてまで利用可能。単なるデータ保管庫を求めているユーザーには間違いなくオーバースペックだが、「自分だけの多機能サーバーを1台で構築したい」「PCやネットワークの知識を活かして、遊び倒せるガジェットが欲しい」と考えるパワーユーザーや、知的好奇心旺盛なユーザーにとって、これほど魅力的なものは他にない。
NASという既存のカテゴリーの枠を大きく超えたUGREEN “NASync DXPシリーズ”。オーディオ&ビジュアルファンなら、その全機能を使い倒せるはずだ。
(協力:UGREEN)
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