トップページへ戻る

レビュー

HOME > レビュー > レビュー記事一覧

公開日 2017/12/09 17:48
Spotifyとの比較も

“全く違う” ロスレス音質。日本初のロスレス音楽ストリーミング「Deezer HiFi」を使ってみた

編集部:小澤貴信(音質レビュー:土方久明)

前のページ 1 2 3 4 次のページ

12月8日より日本国内向けに、ロスレス音楽ストリーミングサービス「Deezer HiFi」がローンチした(関連ニュース)。さっそく登録して使ってみたので、その使い勝手や音質をレポートしたい。また、オーディオ評論家の土方久明氏にも音質のインプレッションを寄稿いただいたので、あわせて掲載する。


CDと同等の音質で配信される「ロスレス音楽ストリーミング」

レポートの前に背景を説明しておきたい。そもそも「ロスレス音楽ストリーミング」、とくに「ロスレス」という言葉に馴染みがないという方も多いのではないだろうか。

音楽ストリーミングサービスは、世界でトップシェアを誇るSpotifyを筆頭に、Apple Music、Google Play Music、Amazon Music Unlimited、AWA、LINE MUSIC、レコチョクBestなどが日本でサービスを展開している。いずれも月額定額制で数千万曲が聴き放題になるサービス形態だ。

上に挙げた音楽ストリーミングサービスは、ビットレートが256kbpsや320kbpsなどで、AACなどで圧縮した “ロッシー形式” で配信されている。CDの情報量は44.1kHz/16bitで、ビットレートで言うと約1,411kbps。ロッシーというのは、圧縮して配信したあと、再生時に復元する際、情報のロスがあるという意味合いだ。

一方で、ロスレス音楽ストリーミングと呼ばれるサービスでは、やはり数千万曲を定額で聴き放題という形態をとっているのだが、 “ロスレス形式” で配信が行われる。元の音源に対して音質のロスがないから“ロスレス”というわけだ。もちろん圧縮はしているのだが、FLACなど情報の損失がないとされる可逆圧縮フォーマットが用いられている。

Deezerのブラウザのホーム画面

つまりDeezerのロスレス音楽ストリーミングは、CDと基本的に変わらない音質で、3,600万曲以上が好きなだけ楽しめるサービスということだ。

音質をどう取るかは個人にとってまちまちだろうが、オーディオファンにとって、数千万曲の楽曲がCDと同じ音質で聴き放題というのは、まさに夢のような話である。

ちなみに海外では、2015年に本格始動したTIDALを皮切りに、Qobuz(クーバス)、そしてこのDeezerと、複数のロスレス音楽ストリーミングが既に始まっていた。それだけに日本のオーディオファンにとって、ロスレス音楽ストリーミングはまさに待望のサービスなのだ。

3,600万曲をCDクオリティで聴き放題。月額はSpotifyの2倍の1,960円

Deezerの概要を確認しておくと、月額料金は1,960円。Spotifyは月額980円なので、ちょうどその倍ということになる。音質クオリティはDeezerが44.1kHz/16bit FLAC、Spotifyが320kbps(フォーマットは基本的に非公開)だ。1,960円という価格をどう考えるかは、人それぞれといったところだろうか。

なお、Spotifyが広告表示があったり機能や音質が限定されるかわりに無料で聴けるプランを用意しているのに対して、Deezerは日本では無料プランを用意していない。

月額1,960円。現在は約1ヶ月の無料キャンペーンを行っている

音質面で注意しておきたいのは、Deezerをロスレスで聴けるのは、現状でパソコンおよび対応するオーディオ製品のみとなっていること。Android向けアプリからは、ロッシー形式(128-360kbps)でしか聴くことができない。

現時点でDeezerのロスレス再生に正式対応している国内製品は、オンキヨーのDAP「DP-S1A」とパイオニアのDAP「XDP-20」(いずれも12月中旬発売)、ヤマハのMusicCast対応製品(一部を除く)だ。オンキヨー&パイオニアとヤマハについては、Deezerとのパートナーシップを発表している。

ストリーミングの再生については、パソコン上のブラウザ、パソコン用の専用ソフト、Android向けアプリから行える。iOS向けアプリは後日提供予定となっている。

気になる邦楽の数は?

日本初のロスレス音楽ストリーミングということで、気になるのは邦楽がどれだけ配信されているかだ。具体的な協力レコード会社などは明言されていないので、実際にDeezerを検索して確かめてみた。

配信が確認できたのは、宇多田ヒカル、東京事変、エレファントカシマシ、LUNA SEA、AI、RIP SLYME、Superfly、キリンジ、ナンバーガール、きゃりーぱみゅぱみゅ、青山テルマ、ナオト・インティライミ、キマグレン、RADWIMPS、9mm Parabellum Bullet、安全地帯、大橋純子、テレサ・テン、アリス、海援隊、BOOWY、布袋寅泰などだ。

「宇多田ヒカル」の検索結果。「Utada Hikaru」と表示される。曲名も全てローマ字表記だった

現状でジャンル「J-POP」「邦楽」が用意されておらず、邦楽だけを一覧表示する方法が見当たらない。ただしプレイリストには「歌謡曲ヒットパレード -J-POP CLASSICS-」「History Of J-Rock」「アイのうた -DANCE J-POP-」など、邦楽だけを集めたものが用意されている。ともあれ、ローンチ当初から邦楽メジャーアーティストの楽曲をロスレスで聴けるのは嬉しいことだ。

邦楽だけを集めたプレイリストも用意されている

まずDeezerをブラウザから使ってみる

さて、それでは実際にサービスを試してみよう。取材時点で最初の30日間は無料で利用することが可能だが、クレジットカードまたはPayPalの登録は必要。無料期間終了後は自動で月額料金が引き落とされるようだ。

ロスレスストリーミングの音質をSpotifyと比較して検証

前のページ 1 2 3 4 次のページ

関連リンク

新着クローズアップ

クローズアップ

アクセスランキング RANKING
1 Shokz、「耳に福くる Shokz 福袋 2026」を12/16販売開始。「OpenFit」とランダム1製品の2点入り
2 オーディオファン垂涎のスタジオモニターに注目! シアター&インストール視点で見るInterBEE・ジェネレック/フォステクス編
3 【特別インタビュー】FIIO「M27」誕生の背景は?「フラグシップとは何か?」を問う先に、目指す音が見えてくる
4 平面型イヤホンの可能性を切り拓く新しい頂点、MADOO「Typ930」を聴く
5 Marshall、サウンドバー「Heston 60」/サブウーファー「Heston Sub 200」に新色「Cream」。公式サイト以外にも販売拡大
6 final、クラファン中の新イヤホン「TONALITE」先行発送キャンペーン第2弾。レビュー投稿への協力で早期入手可能
7 壁にかけたりベッドに敷ける「ポータブル布状スピーカー」。つくばのスタートアップが開発
8 XREAL、“Android XR”搭載サングラス型XRデバイス「Project Aura」。2026年発売へ
9 Astell&Kern、「SP4000/PD10」をホームオーディオでも使えるようにするクレードル「AK CRADLE」。XLR出力を装備
10 【インタビュー】LUMIXはワークフローまで革新。“体験提供”でカメラ市場が盛り上がる大きな流れを創る
12/10 12:06 更新

WEB