ソニー、TSMCと次世代イメージセンサー開発で提携へ。合弁会社の設立を検討中
2026/05/08
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ソニーグループ(株)は、経営方針および2025年度の業績に関する説明会を開催。社長 CEOの十時裕樹氏が、同社が掲げる長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」が順調に推移していることや、AIを活用した今後の成長戦略、TCLとの提携を始めとする事業ポートフォリオの最適化などについて説明した。
2025年度の決算においては、継続事業の売上高が前年度比4%増の12兆4796億円、営業利益は同13%増の1兆4475億円と、いずれも過去最高を更新。ソニー・ホンダモビリティの事業縮小による影響などから純利益こそ前年比3%減の1兆309億円となったものの、好調な業績を収めたと説明した。
なお、ソニー・ホンダモビリティの事業縮小は本田技研のEV事業に対する戦略転換の影響が大きかったわけだが、「EVをとりまく環境の変化は自明のことであり、そこは理解している。総合的に判断しているため、今後ソニーからホンダに追加の費用負担を求めるようなことはない」(十時氏)という。
業績が好調だった背景について十時氏は、長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」を軸に取り組みを進めた結果だと言及。また、「市場環境が急激に変化するなかで、新たな成長機会を捉え、これまでにない課題に向き合うため、事業ポートフォリオも進化を続けている」と関連付けた。
その事業ポートフォリオ最適化の一例として、TCLとの提携にも言及。戦略的パートナーシップによって、ホームシアターやホームオーディオ、業務用フラットパネルディスプリといった各事業のレジリエンス(市場環境の変化への適応力)を高めていくとした。
一方で、ソニーでは競争優位製の高い分野にも投資。バンダイナムコホールディングスとの戦略的業務提携によってアニメ領域などにおける競争力強化を図っていることや、シンガポール政府系ファンドのGICと米国ソニーミュージックが提携して音楽IPへの継続的な投資を実施していることなどを紹介した。
なお長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」は、「テクノロジーの力でクリエイターを支援し、リアルとデジタルの両方の空間で新たな体験を届け、IPの価値を最大化する」という戦略。
例えばアニメ領域では、制作からファンエンゲージメント、マーケティング、グローバル配信に至るまで、グループ各社および戦略パートナーと連携し、シナジーを生み出しているとソニーは説明する。
その一例が『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』。アニプレックスとパートナー各社によってどう作品が世界的な大ヒットを記録したことがアニメの世界的な急成長を象徴しているとアピールした。
また、ソニーが傘下に持つアニメ専門配信サービス「Crunchyroll(クランチロール)」は2026年3月末時点での有料会員数が世界で2100万人を超えるほどに成長し、5万話を超える日本の作品を13言語の字幕/吹き替えで世界に配信していると説明。「クランチロール アニメアワード」や「クランチロール アニメ・フューチャー・フォーラム」の開催などで成長をさらに加速させ、アニメファンや日本のパブリッシャー・クリエイターとの関係強化を進めていくとした。
このように、ソニーグループでは事業の軸足をエンタテインメントやIP、クリエイションテクノロジーといった分野に広げているとも解説。連結売上高において映画や音楽、ゲーム領域が占める割合は、2012年度が約30%であったのに対し、2025年度では約67%にまで増えているという。
社会で存在感が高まる一方のAIについては、「アーティストやクリエイターに取って代わるものではなく、人の可能性を引き出すツールである」という前提のもと、各事業において活用していると説明。
例えばソニー・インタラクティブエンタテインメントのスタジオでは、AIを活用したツールが、3Dモデリングなどでの反復作業を自動化し、生産性を向上させた結果、制作チームが作品の世界観やゲーム体験を充実させることに注力できているという。
また、台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited)との提携計画が本日発表されたように、イメージセンサー事業も近年のソニーの業績を支える要因のひとつになっている。
「ソニーのイメージセンサーは、単なるスペック競争の段階を超え、画素構造、積層技術、回路、プロセスといった領域において長年培ってきた深いアナログ技術の知見を生かすことで、容易に模倣できない強みを有し、持続的な競争優位性を支えている」とアピールしつつ、中核であるモバイル向けセンサー事業では、さらなる高性能化を目指し、微細プロセス技術や積層技術による高密度化の開発を進めるとした。
なお半導体関連ではメモリ不足も社会的な課題となっているが、PS5用のメモリは「2026年については必要な数量をほぼ確保済み」だとのこと。「メモリの価格についても(調達先の会社と)ある程度合意しており、コストは織り込み済み」とし、PS5の価格は「値上げしたばかりでもあり、次の値上げの予定は今のところない」と続けた。
今後さらにメモリの価格が上昇するような場合でも、プロモーション費用を抑えるなどで全体的なバランスをとっていくと説明。一方で「ただし2027年も供給が逼迫する予想が大勢を占めているため、そうした状況で何ができるのかは丁寧に考えていく」とした。