【香港ショウ】マーテンの1.6億円スピーカーを聴いた!テクダスの「Air Force Zero」と組み合わせ
筑井真奈今回の香港オーディオショウで最も耳目を集めていたのは、間違いなくマーテンのフラグシップスピーカー「Coltrane Supreme Extreme」であろう。現地価格はペア888万香港ドル、日本円にすればおおよそ1.6億円といったところか。
今年のミュンヘン・ハイエンドで外観のみ初お披露目され、音出しは香港ショウがワールドプレミアとなる。代理店であるFung Ning Audio Equipment Asia(豊寧音響)はショウで最大サイズの部屋を展開しており、マーテンのデモの時間には溢れんばかりの人がその音に耳を傾けていた。
音の印象について一言でいうと、「この艶やかさは何者だ!」という衝撃である。幸いにも記者はこれまでマジコの「M9」、ソナス・ファベールの「Suprema」、YGアコースティクスの「TITAN」(発表時にはGEMINIと呼ばれていたが、最終的に名前はTITANと決まったそう)と4つの “億超え” スピーカーを聴いてきたが、どの音とも違う独特の艶感とみずみずしさに満ちる。天井の高いカンファレンスルームを使っていたことも功を奏しているだろうか、特にアコースティックな空気感のある音楽に特に合いそうだ。デイブ・ブルーベック・カルテットの「テイク・ファイブ」の盛り上がりには思わず立ち上がれなくなるほどの満ち足りたひととき。
「Coltrane Supreme Extreme」は5ウェイ12スピーカー、5基のウーファーと10基のパッシブラジエーターを別とした2筐体式で、三日月のようなシェイプの中高域担当部(メインタワー)と、それに合わせてラウンドされたウーファー部(ベースタワー)にて構成される。高さは約1.8m、重さはメインが140kg、ベースが270kgとのこと。足元は、IsoAcousticsとコラボしたマーテンオリジナルのインシュレーターで支える。
アンプはゴールドムンドのモノアンプ「TELOS 8800」を左右2基ずつ、CDプレーヤーはWADAXの「Studio Player Collection」、そしてアナログプレーヤーはテクダスの「Air Force Zero」と文字通り世界最高クラスの布陣と言えるだろう。総額おおよそ6億円といったところか。だが、価格はともかくとしてただ音楽に寄り添う、ただ音楽をその身に味わうためのオーディオでありたい、という思いは十分に伝わってきた。
CEOのライフさんも来場していたので、「このフラグシップスピーカー開発はいつから進めていたのですか?」と尋ねると、「私は13歳から自分でスピーカーづくりをやってきたので…つまりざっと、50年以上ということですね!」と粋なお答え。10月の東京インターナショナルオーディオショウでも披露されることが決まっており、ぜひ日本のオーディオファンにも体験して欲しい。
同じ部屋には、あと3つのスーパーハイエンドシステムを展開されていた。いずれもメインスピーカーは日本では聴くことができないハイエンド・ブランドである。1つ目はKHARMAのトップスピーカー「Enigma Veyron」にゴールドムンドのアンプ、WADAXのCDプレーヤーという組み合わせ。さらに、テクダスの「Air Force IV」がミュンヘン・ハイエンドに続きアジア初お披露目もなされた。
もうひとつは、KROMAの「Signatureシリーズ」のスピーカー3モデルをメインに展示。ORPHEUSのプレーヤー&アンプに、EMTのアナログプレーヤー&フォノEQ。
最後はスペインのLorenzo Audio LabのスピーカーにMSBのアンプ、メトロノーム&KALISTAのプレーヤー。ミュンヘンで見かけたAudirvanaとのコラボとなるオーディオサーバーも見かけた。45分ごとに場所を変えながらさまざまなプレゼンテーションで来場者を沸かせていた。
また、サイレント展示だがゴールドムンドの「APOLOGUE」25周年モデルとなるアクティブスピーカーも用意。「フルエピローグ」の流れを汲む独特のメカニックな佇まいは、多くの人々の熱い視線を集めていた。