ミュンヘン・ハイエンドの注目ブースレポートも終わりに近づいてきた。ここでは、国内外の注目アクセサリーブランドのブースを一挙紹介。2023年よりスタートしたTURNBULL AUDIO、WiiMを活用した聴き比べを行ったオーディオクエストや、日本のエイム電子、オヤイデ電気などのブースを紹介しよう。
NVSのネーサンさん、華麗に復活!
アメリカのTURNBULL AUDIOは、日本で一世を風靡したハイエンド・ケーブルブランドNVSの創業者であるネーサン・ヴァンダー・ストゥープ氏が新たに立ち上げたブランド。ネーサン氏は体調不良のため一時休業していたが、2023年より新たにTURNBULL AUDIOを立ち上げた。最上位のPrestigeシリーズから展開を開始、今年4月のシカゴ・AXPONAでの披露に続いて、ミュンヘンにてもデモンストレーションを行っていた。
NVS Soundの創業者であり、新たにTURNBULL AUDIOを立ち上げたネーサン・ヴァンダー・ストゥープ氏
ネーサンさんはバレーダンサーでもあり、トランペット奏者としてもプロの舞台で活動したことのあるまさに芸術の神様に愛された人物。身長も高く間違いなく舞台映えするに違いない。10年ほど前に日本でインタビューして以来、久し振りの再会となったが、胸の奥に秘めた熱いオーディオへの情熱はかつての記憶のままである。
「数年ぶりのブランドの立ち上げとなりましたが、工場はもちろん、(日本でのディストリビューターである)アイレックスさんもふくめ、以前お世話になった多くの方に助けていただき、なんとか第1弾製品をリリースすることができました」と誇らしげ。NVSのケーブルといえば、シース内に充填された金属パウダーによる制振性能の高さが非常に注目されたが、「TURNBULLではパウダーの配合をさらに研究して、さらに音質を追求しています」とのこと。
オルフェウスのプレーヤー&アンプとスペインのKROMA Atelierのスピーカーを組み合わせ
ミュンヘンでは、スイスのエレクトロニクスブランド・オルフェウス&ラックブランドのアルテサニアと共同出展し、「Prestige」シリーズのインターコネクトや電源、LANケーブルなどを全面的に活用してデモを行っていた。
ビリー・アイリッシュの「What I was made for」を聴かせてもらうと、その空気感、呼吸のニュアンスは極上とも言える艶かしさ!透明度高く自然な広がりで、今回の取材で聴いた中でも強く印象に残るサウンドであった。NVSのサウンドも素晴らしいものがあったが、さらにその世界観を突き詰めた、音楽をただそのままに歌わせるケーブルと感じられた。
XLRケーブルにTURNBULL AUDIOの「Prestige」を使用
電源ケーブルもすべてTURNBULL AUDIO製
ネーサンさんは「Prestigeシリーズはベンチマークとなるケーブルです」と力強く語り、「将来的にはよりお求めやすい価格の製品を作っていくことも考えてはいますが、今すぐということはなく、まずはいまの製品をしっかり届けて行きたいです」と未来への展望を語ってくれた。
WiiMのストリーマーでケーブルによるグレードアップを確認
オーディオクエストも例年に続き大型ブースを展開していたが、今年はWiiMのプレーヤーを送り出しに使用する、比較的コンパクトなシステムを提案。WiiMのネットワークプレーヤー「WiiM ULTRA」を3台用意し、汎用のRCA、LAN、電源(メガネ)ケーブルを使用したものと、オーディオクエスト製RCA、LAN、電源ケーブルを繋いだ場合という興味深い聴き比べを実施。
オーディオクエストのメイン試聴ブース
これが実際かなり音に効いてくるので驚く。音の芯がしっかりして、ざらつき感がなくなりより透明度の高いサウンドが再現される。声の生々しさにも大きく影響がある。シンプルなシステムだからこそ、ケーブルでこれだけグレードアップが楽しめるのだ、ということを改めて教えてくれた。
3台のWiiMのストリーマーを用意し、RCAやLANケーブルによるグレードアップを聴き比べ!もう1台はワイヤレスで接続されており、ワイヤレス vs 有線LANの聴き比べも行われた
エイム電子からフラグシップLANケーブルが登場!
日本のエイム電子は、LANケーブルの新製品2種類を初披露。フラグシップとなる「Silver Stream NAX」と、「SHIELDIO」シリーズの「NA4」である。
エイム電子の最新LANケーブル「NAX」(右)と、「NA4」(左)。導体やシールドにも差が設けられている
「Silver Stream NAX」の導体は、高純度無酸素銅に銀コーティングを施したもので、太さはAWG22。アルミニウムやパルシャット、銅などによる4層のシールディングを行っている。LANケーブルは8本の導体を2本ずつツイストペアとした4ラインで構成され、社長の中山さんは「撚りのピッチにこだわったオーディオグレードの製品となります!」と自信を見せる。
もうひとつの「NA4」はグリーンのシースで、導体は高純度無酸素銅、シールドなどをより簡略化したお求めやすい価格の製品となる。いずれも日本でも展開予定とのこと。
フォノ・アクースティカ/オヤイデ/アイソテック
スペインのハイエンドケーブルブランド、フォノ・アクースティカも大型ブースを出展。昨年もレポートしたが、創業者のフェリックス・アヴァロスさんは新たにスピーカーブランド「AVALOS Sound Design」を立ち上げ、各種ケーブル類からスピーカーまで一挙に披露する。
フォノ・アクースティカ&AVALOS Sound Designのブース。
メインスピーカーは、AVALOS Sound Designのデビュー作となる「WAVEシリーズ」のブラック仕上げを用意。ブラックの精悍さがありながら、サーフボードを模した丸みを帯びたフロントが柔らかな印象も与えてくれる。内部配線は同社のGrandiossoシリーズと超ハイエンド技術を投入。アンプにはGOLDMUND製を使用し、力強く部屋全体を豊かなサウンドで満たしていた。
金銀導体を贅沢に活用した電源タップや各種ケーブルもデモ。背後に見えるオレンジのケーブルインシュレーターも注目
オヤイデ電気はドイツ代理店のFISCH Audiotechnik社と共同出展。真っ赤なシースの電源ケーブル「VONDITA-X」や、ターンテーブルシートやスタビライザーなどのアナログ関連アイテムがヨーロッパでは人気とのこと。
オヤイデ電気も各種アクセサリーをデモ
イギリスの電源ブランド・IsoTekも大型ブースを展開。今回は新製品はなかったが、秋以降にオーディオビジュアル向け製品など展開を予定しているとのこと。こちらも楽しみだ。
IsoTekのブース。EVO3シリーズやV5シリーズなど主力製品を一挙展示