AQUOS Sシリーズの省エネ性能を語る上で欠かせないデータがある。まず、Sシリーズの年間消費電力量を、前モデルのDS6ライン(2009年6月発売)と比較した表を見て欲しい。

“LED AQUOS”SシリーズとDS6ラインの年間消費電力量
  AQUOS DS6ライン
(2009年6月発売)
LED AQUOS Sシリーズ
(新モデル)
LED AQUOS Sの年間消費電力量 削減率
52V型 225kWh/年 133kWh/年 40.9%
46V型 200kWh/年 118kWh/年 41.0%
40V型 163kWh/年 107kWh/年 34.1%

52V型を例にとると、年間消費電力量は92kWhもの低減を達成している。この差を電気代に換算すると、年間約2,000円(1kWhを22円で計算)となる。標準的な使い方を想定した計算値ではあるが、1年足らずのうちに35%から40%もの削減を果たしたことは驚異的と言える。Sシリーズの省エネ性能をイメージできたのではないだろうか。

この飛躍的な低消費電力化を可能にしたポイントは何処にあるのだろうか。詳しく分析してみよう。

 

前モデルに比べて約40%もの飛躍的な低消費電力を果たした背景には、バックライトとして採用していたCCFLを、より発光効率の高いLEDバックライトに変更した点に加え、さらに光の透過率が高いシャープ独自のUV2A液晶パネルを組み合わせた相乗効果がある。光源と液晶パネルを一新する事でブレークスルーを果たし、従来の技術の延長線上では成し得なかった領域に踏み込んだと言える。

“LED AQUOS”Sシリーズに搭載された白色LEDのイメージ写真

実際の映像を見ても、従来のCCFLを用いた省エネ型テレビのように、画面の暗さや画質で我慢を強いられる感は一切なく、逆に画面の明るさは力強さを増しているほどだ。

また、実際の視聴状態でリアルタイムに変動する消費電力をモニターすると、映像によっては50%以上の消費電力削減を実現している場面も多く、一般的なテレビ番組を視聴する際は、カタログ値以上の省エネ性能を発揮するかもしれない。飛躍的な省エネと画質向上を両立させている点で、改めてLEDバックライト+UV2Aの相乗効果に感心すると共に、LED AQUOS登場の意義深さを実感させられる。

シーンによってはカタログスペック以上の低消費電力を実現する場合もある

 

実はSシリーズは、画質はLX1ラインとほぼ同等だが、機能面では一部簡素化を図っている。ダブルチューナーをシングルチューナーにし、画面を取り囲む複数のスピーカーシステム「ARSS」は一般的なアンダータイプに変更。その他、電気回路の細部まで見直し、微細なロスの低減を積み重ねた努力も寄与している。

ここで強調したいのは、機能をシンプルにすることは決してマイナスではない、ということだ。ホームシアターユーザーの場合、レコーダーやオーディオシステムと組み合わせるケースが多いからだ。

Sシリーズはシングルチューナーだが、2画面表示に対応しているので、1画面は内蔵チューナーから、もう一画面はレコーダーのチューナーから外部入力することで、2番組同時視聴が可能だ。

音声をオーディオシステムで再生する場合、テレビ本体のスピーカーも重要ではない。もちろんSシリーズのスピーカーが貧弱と言うわけではなく、あくまでもLXラインと比較してシンプルと言う意味である。Sシリーズのスピーカーシステムは、シャープ独自のフルデジタル1bitアンプと、頑強なスピーカーボックスを備えている。また正面を向いたスピーカーによって正攻法で高品位な音質を確保しており、それ自体での視聴も快適である事を付け加えておきたい。

総じて、Sシリーズはシンプルさに徹する事で、LXラインよりも省エネを達成しており、もちろん画質面での妥協は無い。ホームシアターファンには賢い選択肢ではないだろうか。

 

前述した、前モデル比で約40%に及ぶ低消費電力化は、あくまでもカタログに記載される「年間消費電力量」の話である。これらは、LEDバックライトとUV2A液晶パネルによる根本的な技術革新による飛躍的な低消費電力化や、機能をシンプルにしたり、細部まで回路を見直す事で実現されている。

しかしSシリーズには、さらに「ムーブセンサー」が追加されていて、そのユニークな機能の数々を活用すれば、カタログ値以上の省エネを実現できるポテンシャルを備えている点に注目したい。

Sシリーズに搭載されているムーブセンサーでは、テレビの前に人がいない、または寝てしまって動きが無いと判断した場合、指定した時間が経過すると画面をOFFにしたり、輝度を下げるなどの省エネモードに移行する。省エネモードに移行するまでの時間を細かく設定できるほか、他社機のようにただ画面をOFFにするだけでなく、輝度を下げる設定も用意されているなど、使用状況に応じてきめ細かく調整できる点に注意したい。なおLED光源は、消灯や点灯の繰り返しに強く、点灯直後もすぐに輝度を確保できることから、画質面での心配もいらない。

「ムーブセンサー」による節電機能のイメージ図。映像ありと映像なし、2種類の節電画面を選択できる

さらに注目したいのは、クイック起動と連動させて使い勝手を向上させた点だ。

最新の高機能デジタルテレビは、電源ONから映像が出るまでに数秒かかる。高速起動をONにしておくと起動時間は1〜2秒に短縮されるものの、待機時の消費電力が数ワットに跳ね上がってしまうのが気になる。

Sシリーズではムーブセンサーとクイック起動を連動させる事により、テレビの前に人が来ると、OFF状態(ムーブセンサー利用時の待機電力は約1W)から、クイック起動待機状態に移行する。あなたが夜眠っている間は約1Wの低消費電力で待機しつつ、朝起きてテレビに近づき、リモコンで電源をONにする直前にはクイック起動モードで待機しているという、非常にスマートな機能なのだ。快適さを向上させながら、さらなる省エネ化をも両立する。それがムーブセンサーの真価と言えそうだ。

「クイック起動」の設定画面。ここで「する(自動)」を選ぶと、ムーブセンサーと連動したクイック起動モードに設定できる

ムーブセンサー以外にも、省エネをさらに進める機能が満載だ。「照明オフ連動」は、明るさセンサーを利用し、夜間、部屋の照明が消えて暗くなったと判断すると、テレビの電源がオフになる機能。ムーブセンサーと連動させておけば、人がテレビの前にいる限り、部屋が暗くなってもテレビの電源はオフにならないので、ホームシアター用途でも不便なく活用できるはずだ。

明るさセンサーとムーブセンサーを連携させた新機能「照明オフ連動」。照明を落とすと自動的にテレビの電源を切る、といった使い方ができる

その他、新たにリモコンに搭載された「セーブモード」ボタンは、従来のようにメニュー画面を辿るような手間なく、より手軽に消費電力を抑えるモードに移行できる。業界No.1クラスの省エネ性能を誇るSシリーズを、さらに省エネに使うための配慮だ。Sシリーズを選べば、これから何年も先まで、余裕を持って環境に貢献することができるだろう。

 
セーブモードは2種類から選択可能(左)。実際の節電効果をモニターする機能も備える(右)