国内のみならず世界的に大きなシェアを誇るAKM製品だが、エンドユーザーへの知名度は現時点ではまだあまり高いものではない。オーディオ及びビジュアルメーカーからの情報に恵まれている筆者にとっても、本取材から得られたAKMに関する情報はフレッシュなものであった。今回、同社にあっても広く地名度を高めるために、新しいブランデイング戦略が立案され現在進行中であるという。

このブランディングのコンセプトは「AKMは、最適な製品を提供するだけでなく関連する技術サービスも提供する“オーディオソリューションのトータルサプライヤ”として認知されること」にある。
AKMは、これまでオーディオ分野で培ってきた高い技術力と市場経験、或いはカスタマーとの強固な信頼関係から生まれたノウハウを3つの領域にブランディングし、それぞれをカスタマーにとっての製品の優位性向上に貢献するためのサービスとして提供していく(≫写真はクリックで拡大します) オーディオマーケットを3つの領域に定義し、それぞれにおいて魅力的な製品群を揃えるブランドを展開する(≫写真はクリックで拡大します)
同社のオーディオブランドは、スタジオなどの業務用関連に向けた“Audio4pro”、デジタル家電機器関連用途へ展開する“Audio4home”、そしてボータブル/マルチメディア/携帯電話等をターゲットとした“Audio2go”の3つから構成されている。このブランドの設定により、近年のデジタル・オーディオ機器への高性能・高品位化への要求やエンドユーザーへのブランドイメージの浸透により、海外市場へのより広範囲な展開をねらっている。とくに近年、需要が飛躍的に増加している韓国、中国、台湾などの近隣諸国への影響力を高め、いずれは各種のアプリケーションでのリファレンス・デバイスとして広く定着することが期待されている。

“Audio4pro”は、録音スタジオなどのプロフェッショナル向けの品位、及び高級コンポーネントをテーマにしており、業界最高クラスのADC及びDACを中心にラインアップする。123dBクラスのADC「AK5394A」、120dBクラスのPCM/DSD対応のDAC「AK4396」などが中心モデルである。

“Audio4home”は、コストパーフォーマンスを重視したホームオーディオ用の製品ラインアップで、音質ボードなどの技術サポートの提供を特徴としている。このブランドファミリーには、多くのホームオーディオ機器で使われているベストセラーの2チャンネルDAC「AK4384/4385」、後継の「AK4387/4388」や、コストパフォーマンスの高い2チャンネルのADC「AK5358A」などがある。また多チャンネル高品位の製品もラインアップされている。

“Audio2go”は、ブランドのデビューを飾ったCODEC「AK4643」が中心。この製品はベストセラーとなった「AK4642」の後継モデルだ。内蔵スピーカー駆動用のアンプの出力が400mWから約3倍の1.2Wにパワーアップされた強化デバイスで、動作電圧はCODEC部が2.6〜3.6V、アンプ部が2.6〜5.25Vの設定。さらに、アンプ外付けタイプのCODEC「AK4644」とステレオ1.2WのClassDアンプ「AK7830」などのソリューションを投入、携帯電話など広範囲への応用が期待されている。

 取材協力 旭化成マイクロシステム株式会社
木田 宏氏 佐藤 友則氏

マーケティング&セールスセンター
オーディオ・ビデオ事業グループ
事業グループ長

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