PCM/DSD信号の入力対応した120dBアドバンスト・マルチビットDAC「AK4396」。192kHzサンプリング対応、24ビット8倍ディジタルフィルター内蔵等の特徴を備える(≫写真はクリックで拡大します)
AK4396評価ボードのデータシートはこちらより参照できます
新しいデバイスの採用をメーカーが検討する際、ADC及びDACのデバイスについては、具体的な再生音の試聴が求められる。とくに、D/Aコンバーターは、完成製品と同じような状態でリスニングが可能な基板状の評価ボードが製作され、新デバイス採用の判断に重要な役割を担っている。このDACの評価ボードは、外部からデジタル入力と電源、簡単な制御信号を加えればアナログ信号が得られ、実質的にはコンポーネントのD/Aコンバーターとして働く。通常、デバイスメーカー製の評価ボードは、電気特性は得られるが動作確認程度のレベルにあり、再生音の品位はコンポーネントレベルにはない。

これに対し、AKMでは、メーカーのエンジニアや評価グループが完成したコンポーネントレベルに近い状態で再生音の評価ができるように高品位サウンドボードを開発している。これこそがオーディオブランディングに沿って、AKMが提供する技術サービスの一つである。このサウンドボードは、DACチップの持ち味が素直に反映されるように製作され、電気特性のみならずコンポーネントと同等レベルの音楽描写を実現している。

AKMを代表する高品位DACとして「AK4396」がある。このモデルは、前身の「AK4395」を発展させたもので、プロセスは0.5uから0.35uにファイン化し、コア技術のアドバンスド・マルチビット方式もブラッシュアップされた。また、過負荷処理アーキテクチャー、高スルーレートSC技術が新たに導入され、より高品位のサウンド再生力を秘めたDACになっている。この中で注目すべきは、デジタル情報の定格を越える過剰入力に対して円滑なアナログ出力が得られる独自の過負荷処理機能である。

DAC「AK4396」の厚型評価ボード
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“Koto”の開発後、度重なるバージョンアップ繰り返してつくり上げた最新のサウンドボード“Ongaku”(≫写真はクリックで拡大します)
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この「AK4396」の評価用に、最初に開発されたボードは“Koto(コードネーム)”である。このボードは電気的な特性が忠実かつクリアに再現されるようデザインされていて、まさに高品位のDACに相応しいパフォーマンスを呈しているのである。

しかしながら、AKMはこのパフォーマンスに満足してしまうことなく、より一層の品位向上を目標に新たなサウンドリファレンスボード“Ongaku”を開発したのである。AKMの究極のテーマである“音楽性”および“豊かな感性”を盛り込むため、基板の素材や色彩にまでこだわり、各種構成パーツや、配線パターンの細部までが見直された。そして、実際に社内評価やカスタマーの試聴を行い、その結果をもとに基板パターンを書き直す作業を、幾度も繰り返し作り上げられた。つまり、コンポーネントの再生音の練り上げと同様のアプローチを経て完成しているのである。