「培った技術は他のサービスでも利用」

ハイレゾストリーミングサービス「PrimeSeat」、2023年1月31日でサービス終了

公開日 2022/12/09 19:39 ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
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(株)IIJが提供していたハイレゾストリーミングサービス「PrimeSeat」が、2023年1月31日ですべてのサービスを終了することが発表された。東京藝術大学やベルリン・フィルなど現在配信中のコンテンツはすべて提供終了となる。

「PrimeSeat」

後継サービスの展開予定などもないため、上記のとおり配信中のコンテンツはすべて提供を終了。「PrimeSeatで培った技術は他のサービスでも利用していく」としている。なお、PrimeSeatに登録してある個人情報は、サービス終了後、速やかに削除されるとのこと。

PrimeSeatは2015年よりサービスを開始したハイレゾストリーミングサービスで、当初からDSD5.6MHzのリアルタイム配信に挑戦するなど、高品位なストリーミングサービスの可能性に挑戦してきた。IIJのネットワーク回線を活用し、「東京・春・音楽祭」のDSDライブストリーミング公開実験や、ベルリン・フィルのコンサートを現地からDSD11.2MHzで生配信するなど、DSD配信に対しても大きな技術的貢献を行ってきた。

その後東京藝術大学の演奏会や、音にこだわる神楽坂のライブハウスTheGLEEの配信、ブルーコーストレコードのコンサートの配信などさまざまなコンテンツを追加してきた。当初はPCのみであったが、2018年にはスマートフォン用のアプリケーションの提供も開始。ユーザーの音楽試聴環境に合わせてサービスを進化させてきた。

だがその一方で、2019年にamazonによるハイレゾストリーミングサービスの提供が開始されたことを皮切りに、Appleもロスレスでの配信をスタート、また昨今ではドルビーアトモスを含む空間オーディオの配信が各社からスタートするなど、音質にこだわるストリーミングサービスの市場のありようは大きく様変わりしている。

またコロナ禍においてコンサートをオンラインで楽しむ需要は爆発的に拡大したが、中でも「オーディオファースト」なストリーミングサービスLiveExtremeは、ブラウザからそのままハイレゾストリーミングを再生可能にした。このLiveExtremeを支える技術にも、PrimeSeatが培ってきた安定したハイレゾ再生の知見が生かされている。

そういった大きな市場変化を踏まえ、PrimeSeatはハイレゾストリーミングの「先駆者」としての役割を終えたと言うこともできる。前述のとおり、このPrimeSeatで培われた技術は、今後他のサービスにも展開されていくと発表されている。

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