半歩先行く提案で共感を呼ぶ
"これからのテレビ"を連打する


シャープ(株)
AVシステム事業本部
液晶デジタルシステム第一事業部
副事業部長 兼 商品企画部長
宗俊昭広
 

ビジュアルグランプリ2011商品企画大賞
"AQUOS クアトロン 3D"
LB series

LC-52LB3/LC-46LB3(写真はLC-52LB3)

ビジュアルグランプリ2011金賞
60V型以上の部
"AQUOS クアトロン 3D"
LC-60LV3
 
革新的なUV2A技術を皮切りに、4原色技術を搭載した"AQUOSクアトロン"、さらに"AQUOSクアトロン3D"と、市場に大きな話題を提供する新商品を連打するシャープ。テレビの真価が問われる2011年も、半歩先を見越した商品企画を背景に、店頭を活気づかせるその活躍はさらに加速していくに違いない。
 
UV2Aでスタート 新しい感動の次元へ

−− 「LBシリーズ」が商品企画大賞となりました。UV2A技術の発表を発端に、次々と魅力ある商品が発表されています。

宗俊 AQUOSクアトロンは、UV2A技術をブレイクスルーし、さらにUV2Aをベースにした4原色技術を活用して理想の商品像をイメージしながら商品企画を進めました。むしろ理想を実現することが商品企画としてのミッションだと考えました。さらに、これらの技術は、これからさらに進化していきます。お客様のニーズと技術の進化を先取りできる商品企画を心掛けています。AQUOSはこれまでにも数々の賞をいただいてきましたが、今回は商品企画という観点から高い評価をいただき、非常にうれしく思います。

液晶の弱点を克服した、UV2A技術。ピコスケール(1ピコメートル=1兆分の1メートル)の光配向技術によって、従来方式では不可能だった「深く沈み込んだ漆黒」、「輝く白」を再現。同時に高速応答も実現し、これまでの液晶パネルの課題を一気に解決。光の利用効率の向上は、環境性能にも貢献する。

−− AQUOSクアトロンで、次代のテレビへと大きく足を踏み入れたわけですね。

宗俊 本来ならもっと早く商品化したかったというのが本音です。UV2Aや4原色技術は、要素技術としては確立していたものの、そこから製品化に至るまでが一苦労でした。しかし、絶好のタイミングで商品化できたと思います。シャープのものづくりの基本コンセプトは「半歩先」です。お客様に提案するためのシーズと技術を常に視野に収めながら、お客様の要望に対してタイミングよくお応えしていくことが大切です。1歩先を行ってしまうと早すぎて受け入れていただけませんし、遅すぎれば他社に先を越されてしまいます。

今回賞を頂いたAQUOSクアトロン3D LB3シリーズでは、4原色技術をはじめとする高画質技術で3D画質をいかに作り込んでいくかに注力しました。パネルの応答スピードを高め、クロストークも大幅に低減させるなど、何度も視聴を繰り返し、あるべき3D画質を追求し、大画面で3Dを楽しんでいただける最適な商品に仕上がりました。お客様にも「テレビはこれからこうなっていくのか」と共感いただけると確信しています。

従来の3原色(赤・緑・青)に、黄色のサブピクセルを新たに加えて表示する4原色技術。

さらに、3D対応のBDを内蔵し、しかもBDXLにも対応するなど最先端の技術や機能を満載し、最高峰の商品に仕上げました。技術的には大変な苦労がありましたが、厳格な「THX3D認定ディスプレイ規格」も取得でき、ハイレベルな画質が再現できることを証明することができました。

−− 商品企画のむずかしさはどのような点にありますか。

宗俊 タイミングが重要ですね。AQUOSクアトロンに関しては、私は試作機もない段階からかかわってきました。まず、製品化に向けて要素技術をどう方向付けするか、また、黄色を加えた4原色技術で何をどう表現していくのかについて、議論を重ねました。一方では省エネというテーマも同時に実現していく必要があります。垂直統合はシャープの強みですから、技術陣とは何度もキャッチボールします。商品企画としては、マーケットインで見えてくることとシャープの持つ高度な技術の両面から柔軟に発想していくことが求められました。つまり、オンリーワン技術を商品にどう活かしていくかがポイントです。

価値提案の勝負は商品企画の腕の見せ所

−− 2011年はテレビ市場も大きな変革期を迎えますね。

世界初のBDレコーダー内臓液晶テレビ“AQUOS”DXシリーズ。(写真は「LC-52DX1」)

宗俊 90年代、ブラウン管のテレビデオは、手軽に録画や再生ができることから大きなヒット商品となりました。その用途に適う商品として、BDを内蔵したAQUOS(DXライン)を08年から発売し、大変好調に推移しています。DXラインを3台まとめ買いして、BDをネットワークのようにしてご使用頂いているお客様もいらっしゃいます。家庭のどのテレビでも操作性や使い勝手が同じというメリットもあり、まとめ買い提案には最適です。

また、02年〜03年にフラットテレビを購入されたお客様が買い替えの時期を迎えています。その頃にフラットテレビを購入されたお客様は、エンターテインメントに大変関心があり、例えば50V型をお持ちでしたら、次はもっと大きな60V型以上で楽しみたいといった大画面ニーズも高まってきています。

お客様のニーズを的確につかんだご提案をすることにより、テレビ市場を活性化することができます。さらに、新たな需要を創造する「第2、第3のテレビ」の商品企画にも力を入れていきたいと思います。

−− 3Dに対してはどのような展望をお持ちですか。

宗俊 シャープの3Dはクアトロンをベースにしています。メガネを通しても明るい映像が楽しめ、クロストークも非常に少ない3D映像を再現します。7月に発売したAQUOSクアトロン3D LVラインは3D映像の画質が高く評価され、大変好調に推移しております。

3Dは現在、一部の放送で番組も提供されていますが、一般のお客様からすれば「どこで見られるのだろう」という次元だと思います。しかし、テレビは1度購入されると10年近く使用されますので、「将来は3Dかな」という思いで購入の検討をされています。メーカーとしては、3D対応機のラインナップを拡大し、普及機でも展開することで、お客様に幅広く提案していくことが求められています。

−− 今後ますますテレビの真価が問われますね。

宗俊 薄型化がさらに進む中、今後は壁掛けや壁寄せなどの置き方の提案にも力を入れていきます。また、さらなる大画面化へのニーズも強く、エンターテインメントとしての用途提案も重要だと思っています。さらに、ネットワークへの対応などテレビの可能性はまだまだ広がっていきます。お客様のニーズをいかにテレビという商品で具現化し、価値として提案していけるかがこれからの勝負。まさに、商品企画の腕の見せ所です。半歩先を提案していくためには、売りの現場とのコミュニケーションも欠かせません。そうした点もきっちり抑えて、ご販売店様とのWIN-WINの関係を構築していきたいと思います。

 

【関連リンク】

シャープ 液晶テレビAQUOS 製品情報

 
宗俊昭広氏 プロフィール

1965年2月17日生まれ。福岡県出身。1988年、シャープ(株)入社。1992年から長年にわたりテレビの商品企画を担当、2009年より現職。好きな言葉は「走りながら考えよ」。趣味はドライブ、スキー、グルメ(B級)。