―― エコポイント制度と地デジ化で好調なテレビ市場ですが、一方では、その後の落ち込みを懸念する声も聞かれます。
須藤 エコポイント制度が切り替わる直前の今年3月には、テレビ売り場には、説明を聞くためにお客様が並び、さらに、購入するためにまた並んでという、今まで見たことのないような光景がどの多くの売り場でも見受けられました。私どもの今年度のテレビの需要予測も、当初の1,400万台を上方修正し、1,600万台としました。
中には2,000万台という声も聞かれますが、3月の売り場の混沌とした状況を見ていると、物理的にこれ以上上乗せするためには、販売時期をきちんと前倒ししていかないと厳しいのではないかと思います。
エコポイント制度の終了後も、地デジ化へのカウントダウンは刻一刻と進んでいますから、2011年1-3月に駆け込み需要がどれくらい出てくるかも注目されます。
今年の年末商戦はこのような状況ですから、店頭での商品説明の時間も限られ、製品自体がアイキャッチになっていかなければなりません。その意味では、デザインはこれまで以上に重要な要素になってくると思います。
反対に、2011年7月以降は、商品説明する時間の余裕が生まれてきますから、機能による差別化が重要なポイントになってくる。テレビの位置付けが変わってくるわけです。それまでは「薄いですよ」でもよかったわけですが、ブロードバンドのネットワーク環境も拡がる中で、メーカーにはこれまで以上に、テレビの哲学をきちんと示していく姿勢と、それを具現化した商品が求められる時代になると思います。
当然、技術力による差も出てきます。日立も録画やネットワークはもちろんのこと、超解像技術や3Dも、そうした技術的な差別化ポイントのひとつとして、さらに力を入れて参ります。より高度な機能や仕組みを提供していきたいですね。
―― 先日発表されたコンシューマー事業の中期計画の中で、薄型テレビ事業では、ラインナップの拡大や、省エネ・環境応用技術についての取り組み強化をあげられていました。
須藤 ラインナップについては、今後のマーケット拡大へ対応していくためには、録画機能付きで不要な機能を省いていくのではなく、DLNAのネットワーク機能を活かし、録画機能のないラインナップモデルをいかに充実させていくかが、戦略の中では重要ファクターを占めてくると考えています。
エコにつきましては、例えば、ある環境基準を達成するために、他の何か、例えば画質が犠牲になってしまっているというのでは、意味がないのではないでしょうか。ユーザーにとって何が大切なのかを、きちんと見極めて、進めていきたいと考えています。
―― 売り場にも、アフター・地デジをきちんと見据えた進化の道筋が求められますね。
須藤 店頭では、お客様が思わず足を止めてしまうような、商品を見ていただける環境作りがますます大切になってきます。3Dなどはそのよい例ですね。お客様に「この商品はいいな」と思い、買っていただくためには、支払う金額に見合ったパフォーマンスが求められます。録画機能付きというのは、それが非常にわかりやすかったですね。
テレビとしての「HITACHI」のブランドに対し、「日立ならいい」というお客様はたくさんいらっしゃいますが、「日立でなければだめだ」というお客様はまだまだ少ないと感じています。録画機能付きでは早くから取り組み、差別化して参りましたが、今後も、他社とは違う、この商品がどういう特長を持った商品なのかをアピールできる、魅力ある付加価値を提案していきたいと思います。
この夏は店頭でも、ビジュアルグランプリの受賞をアピールできる助成物を用意して、お客様にも「おう、なるほどね」とご納得いただけるような仕掛けを行って参ります。店頭でも是非、日立「Wooo」の差別化ポイントである特長を、お客様にご提案いただければと思います。
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