垂直統合の強みを存分に発揮
次世代に相応しい進化を実現


シャープ(株)
AVシステム事業本部
液晶デジタルシステム営業部 部長
居石勘資氏


 
ディスプレイ製品/薄型テレビ
LX1シリーズ
(左からLC-60LX1、LC-52LX1、LC-46LX1、LC-40LX1)


液晶テレビの新しい時代を告げる「LED AQUOS」がデビューを飾った。10月から稼動した堺工場で量産が開始されたUV2A技術を用いた画期的な液晶パネル。そして、そのポテンシャルを十二分に引き出すLEDバックライトシステム、高画質マスターエンジンと、さらに進化した使い勝手。「アクオス10年目には次のステージへ」という強い思いが、ひとつの“成果"としてここに結実した。

インタビュアー:音元出版社長 和田光征


選択肢であることに大きな意味がある

――「
LED AQUOS」LX1シリーズが総合金賞を受賞されました。おめでとうございます。

居石 2001年にアクオスを発売して来年でちょうど10年になります。節目の年に、画質、音質、使い勝手、省エネなどを革新し、“次世代”と呼ぶに相応しい革新的な商品を、年末商戦に間に合わせたいと考えていました。商品化を実現できたことと同時に、高い評価もいただけ、本当にうれしく思います。総合金賞をいただくことで、社内の士気も高まることはもちろん、「LED AQUOS」の信頼感や安心感を高めてくれるので、お客様が商品をお選びになる際の大きな判断基準にも鳴り、大変ありがたく思います。

私は、約10年前のアクオスの立ち上げから携わっておりましたので、大変感慨深いですね。初の地デジ対応、フルHD化など常に業界の先頭を走ってきた自負がありますので、これまでとは土俵の違う商品をつくらなければならないという強い気持ちがありました。

LX1には新開発のUV2A液晶パネルを採用しました。従来の液晶を超える高画質化、省エネ化を目指すため、構造そのものから見直し、「輝く白と沈み込んだ黒」が表現できるようになるなど、まったく新しい液晶パネルに進化した点が大きなポイントのひとつになります。

もう1つのポイントは、UV2A液晶パネルの特性を十二分に生かすバックライトシステムの革新であり、従来のCCFLではなく、LEDをバックライトに応用しました。LEDは、点滅の速度が非常に速いという特性があります。しかも輝度の幅が広く、細かな調整も可能です。例えば、従来のバックライトが100から10までの調節だったとすると、LEDでは、10以下の表現まで調節が可能になるわけです。“次世代アクオス"と謳うからには、新開発の液晶パネルとLEDバックライトシステムがどうしても必要でした。

――しかも、それが高価なフラグシップモデルだけではないというのが大きな特長ですね。

居石 年末商戦のラインナップでは、DS6シリーズを中心に、ブルーレイ内蔵のDX2シリーズ、さらにワンステップアップした商品としてLX1シリーズを位置付け、お客様に納得いただける価格帯でご提案させていただきます。

お客様の価値観は変わってきています。1つめは、価格レンジが狭まってきていること。2つめは、付加価値を求めていること。売れ筋商品をよく見ますと、価格志向と言われるなかでも、省エネや高画質、他にはない付加機能などをきっちりと見て、判断されています。そして3つめはニーズの多様化です。買い替えはすでに、アナログからデジタルのみならず、デジタルからデジタルへの動きが始まっています。買い増しでは、小型はもちろん、リビングにある37V型のテレビを他の部屋でご使用され、新たなメインテレビとしてより大型の60V型を購入されるといったパターンも増えてきています。お客様のニーズにミスマッチしない、きちんとご提案できるラインナップが求められております。

――液晶パネルを自ら持っていらっしゃることはやはり大きいですね。

居石 革新的な技術を搭載した商品をいちはやく商品としてお届けできますからね。LED AQUOSは垂直統合型の最たる商品で、次世代と呼ぶ画期的な提案には欠かせないポイントのひとつだと思います。

――お客様や流通からの反応は相当強いのではないでしょうか。

居石 ご予約も数多くいただき、感激しています。実際に商品をご確認いただくまでは「沈み込んだ黒、輝く白」を実感していただくことはできませんが、革新的な技術を搭載したことで、高い評価をいただけたことに大きな手応えを感じています。

従来から「薄型テレビは音が悪い」という評価がありましたが、LX1シリーズでは、高音質も実現しています。高音質のためには、音の振動をどう抑えるかが最大の課題です。大きい音や重低音を出すときにはスピーカーそのものが振動します。ブラウン管時代には頑強なキャビネットで振動を抑えることができましたが、薄型の限られたキャビネットの中では限界がありました。LX1シリーズでは、左右に配置したウーファーの振動部分を向かい合わせることで相殺させる「Duo Bass」を開発採用し、画期的な高音質を実現しました。

さらに、「映画の台詞が聴き取りにくい」というご意見に対しては、聴き取りやすく、臨場感ある音を出すために6つのスピーカーを搭載しました。テレビを壁掛けや壁寄せにしたときにも手軽に良い音でサラウンド感も楽しみたいというご要望にもお応えすることができるようになりました。しかも、回路設計からすべて見直したすことで、省エネ性能も同時に実現できました。


進化した使い勝手も次の10年への新たな一歩

――LED AQUOSでは、まさに“次世代"と呼ぶにふさわしい、これまで「テレビだから仕方がない」と思われていた点を解決されていますが、ネットの高速化もそのひとつですね。


居石 これからは必須項目になると思いますね。テレビもレコーダーもあくまで家電製品ですから、デジタル化されて動作スピードが遅くなるというのは許されません。LX1シリーズでは、いろいろな操作環境やブラウザ環境のスピードアップを図りました。

また、視聴する環境やコンテンツにあわせて画質を調整する機能として、LED AQUOSでは自分にぴったりの映像が簡単に設定できる「好画質センサー」を搭載しました。色の濃さや明るさなどを画面のガイドに沿って調整するだけで、自分のイメージ通りの画質で視聴して頂くことが出来ます。

――パネル、LEDバックライトに加え、エンジンも「高画質マスターエンジン」として進化されています。どのような点がブラッシュアップされたのでしょうか。

居石 「なめらか高画質」のときにはテレビコントラストが200万対1となり、階調表現が大変豊かになりました。「高画質Wクリア倍速」では、LEDバックライトと連動し、よりクリアな映像表現ができます。「アクティブコンディショナー」では、例えば、レコーダーの長時間モードのときなど、ぼやけ気味の輪郭をもういちどきりっと引き締めます。

使い勝手の面でも、「アクオスファミリンクII」で大幅に進化させました。今年のCEATECでアクオスを核にした生活の未来像を提案させていただきました。家庭の中にある家電製品は、アクオスの画面を見ながらすべてコントロールできることを目指しています。それがアクオスファミリンクの最終目的です。例えば、我が家のソーラー発電システムが今どれくらい売電しているとか、プラズマクラスターイオンの空気浄化の状況などをアクオスの画面で確認できるわけです。

今回は、テレビのリモコンにアクオスファミリンクボタンを搭載し、このボタンを押すと画面がスケーリングされ、つながっている全ての機器の操作パネルが出てくるようになりました。そして、テレビのリモコンで、接続されている機器を操作することができます。

新開発のUV2A液晶パネルだけでなく、アクオスとして、次の10年へチャレンジしていける土台となる次世代商品を誕生させることができました。これからも垂直統合というシャープの強みを活かし、お客様のニーズに応える商品を次から次へと、いち早く商品化してお届けして参りたいと思います。


居石勘資氏 プロフィール
Kansuke Oriishi
1980年シャープ(株)入社。2001年 AVシステム事業本部 記録メディア営業部、2004年 AVシステム事業本部 デジタルメディア営業部、2009年 AVシステム事業本部 液晶デジタルシステム営業部長に就任、現在に至る。


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