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公開日 2012/08/21 11:00

「常に完璧な音を追求し続ける」- SENNHEISERのキーパーソン、ダニエル・ゼンハイザー氏独占インタビュー

数々の銘機を生み出すゼンハイザーの哲学
インタビュー・テキスト/編集部
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世界の先端をひた走るゼンハイザーのキーパーソン

“音にこだわる音楽ファンが認めたヘッドフォン/マイクロフォンブランド"として、真っ先に名前が浮かぶのはゼンハイザーだろう。エレクトロニクス製品としては異例ともいえるほど長きにわたりってハイファイ・ヘッドフォンのスタンダードとして愛されるHD650をはじめ、登場以来ヘッドフォンの最高峰として君臨し続けているフラッグシップ機HD800、さらには世界中のエンジニアやDJ達に愛されるHD25など、銘機と呼ばれる製品は枚挙に暇がない。

今回、この名門ブランドの事業戦略を担うキーパーソン、ダニエル・ゼンハイザー氏(以下:ゼンハイザー氏)が来日。話を聞くことができた。ゼンハイザー氏は、創業者でもあるフリッツ・ゼンハイザー氏の孫に当たる人物である。まず、ゼンハイザーのカンパニービジョンを問うと、実に明確な返答があった。



Sennheiser electronic GmbH & Co.KG
事業戦略・財務担当取締役
ダニエル・ゼンハイザー氏



人と音楽を結ぶインターフェースとしての存在

「ゼンハイザーは約70年の歴史を持っています。私たちが現在にいたるまで追求してきたのは“パーフェクト・サウンド"。この完璧への挑戦は、私の祖父であるフリッツ・ゼンハイザーが創業時からのポリシーで、科学的な根拠をベースとして“音楽"に関わるあらゆるシーンに新しいアイデアを追求してきました。マイクロフォンでは、“ナチュラル"と“リアル"、ヘッドフォンでは“プレミアムなサウンド"というように、録音と再生の両面から、私どもは“人と音楽とのインターフェース"であることに全力を注いできたのです」。

実は録音と再生の両面に関わることができるオーディオブランドは、世界を見てもごく限られている。その中でもゼンハイザーは、いつの時代も先端を行くブランドとして認められてきたが、その背景には、こうした明確なカンパニービジョンがあるのだ。ダニエル氏は、ゼンハイザーが音楽録音/鑑賞に対して革新をもたらした製品群を紹介してくれた。

「まずゼンハイザーを語る上で欠かせないのは録音技術の革新です。マイクロフォンの開発は1946年に始まり、特にスポットマイク(ガンマイク)の開発では大きな成功を収めました。さらに1961年からは小型ワイヤレス・マイクロフォン・システムの開発を開始しました。当時、ワイヤレス・トランスミッターといえば、とても大柄で無骨なデザインなものしかありませんでしたが、私たちはミュージシャン達がステージ上で身につけて使用できる小型トランスミッターの商品化に成功したのです」。

「ヘッドフォンでは、1968年のHD414が最初となります。これは、世界初のオープン型ヘッドフォンであると同時に、世界初のハイファイ・ヘッドフォンとなりました。それまでのヘッドフォンは業務用が中心であったり、ラジオを簡易的に楽しむようなものでしたが、HD414の登場により“オーディオファンが音楽を良い音で楽しむためのヘッドフォン"という新しいジャンルが確立されたのです。これは今日のオーディオ・ヘッドフォンのマーケットを形作った製品といえるでしょう」。


では、ゼンハイザーがこのような“選ばれしブランド"となった秘密はなんなのだろうか。それには、ゼンハイザーがプレミアム・ブランドとしての戦略をとっていることが大きなポイントとして挙げられる。


常に完璧な音を追求し続ける


「私たちは、どの分野で戦うか、どの分野で一番になるべきかを深く考えながら、常に成長しています。そのためには、ユーザーの皆様とのコミュニケーションを密にすることは欠かせないことです。“パーフェクト・サウンド"を実現するためには、あらゆるユーザーの声に耳を傾けることが非常に重要なのです。我々は大きな会社かもしれませんが、決して巨大企業ではありません。しかし、このユーザーとのコミュニケーションは、私たちの規模の会社だからこそ上手く機能できるものだと自負しています」。

あまり知られていないことかもしれないが、実はゼンハイザーはプライベートオーナー企業である。つまり、大企業にありがちな第三者の意向が介入することはなく、全て同社が最良と考える方向へ舵を切ることができるのだ。

「私たちは常に“完璧な音"を目指しています。完璧な音の追求には終わりはありません。カスタマーニーズのみに集中できることによって、ユーザーが何を求めているのかを常に考えながら“ベストであること"を追求でき、その成果を製品へ反映させることができるのです」。

ゼンハイザーが世界有数のプレミアム・ブランドであることは、もはや誰の目にも明らかである。同社の今後の展開をお伺いすると、やはり答えはシンプルかつ明確なものだった。

「私たちはいま現在、すでに成功への道筋にいると自負しています。今後もこれまで培ってきたスタイルを貫いていきます。具体的には、ハイエンドをさらに伸ばして、“プレミアム"を強化する。そして根底にあるカスタマーニーズを捉え、そのニーズに応えていく。お客様から先に“これが必要だった"“これに困っている"と声に出させてしまってからでは遅いのです。先に問題点を予測し、解決しながら商品に盛り込んでいくことで、期待を超える製品を皆様へお届けすることをお約束します」。


日本で成功することは、世界で成功できるということ

このように力強く語るゼンハイザー氏だが、実は日本に対して特別な想いを抱いている。

「日本の音楽ファンの皆様、非常にクオリティへのこだわりが強いと感じております。プレミアムであること、ハイファイ志向、そして“パーフェクト"への追求といった指向性は、日本の皆様の大きな特徴です。そしてこのこだわりは、ゼンハイザーのポリシーそのものにピタリと合致するものです。事実、ゼンハイザーの製品は日本の皆様の要求に応えてきたからこそ、確実な成長を遂げることができたと考えています。だからこそ、もっと日本の皆様と密にコミュニケーションをとりたいと考え、ゼンハイザージャパンを立ち上げたのです」。

「日本の皆様の要求に応えることができれば、それは世界のどの市場へ持っていっても成功できるといえます。つまり日本の市場、ユーザーはまさに私たちのものづくりにとっての指標なのです」


明確なポリシーがあってこそ、銘機は産まれる。ゼンハイザーはこの簡単そうでいて難しいものづくりの基本を忠実に守り続けることで、数々の銘機を我々音楽ファンへ提供しているのである。先日、日本ではHD700が登場し、早くも多くの音楽ファンから高い評価を獲得しているが、ゼンハイザーのブランドは今後もダニエル・ゼンハイザー氏の指揮の元、たくさんの“銘機"を届けてくれるだろう。そういう期待をゼンハイザー氏は我々に抱かせてくれた。



※インタビュー写真:大原朋美(彩虹舎)

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