公開日 2021/06/09 06:30
ティアック、注目のデスクトップオーディオで存在感を高める「Referenceシリーズ」での新展開
アナロググランプリ2021 受賞インタビュー
アナロググランプリ2021 Gold Award
受賞インタビュー:ティアック
「アナログ感覚が感じられ、オーディオファンに推薦するにふさわしいアナログ再生に欠かせない機器」を選出し、13年目を迎えたアワード「アナロググランプリ2021」。Gold Awardを受賞したティアックブランドを展開するエソテリック株式会社 代表取締役社長の大島 洋氏が、受賞に際し、オーディオ事業展開に対する強い意気込みを語った。

エソテリック株式会社 代表取締役社長 大島 洋氏
インタビュアー 徳田ゆかり(ファイルウェブビジネス担当)
■デスクトップのハイファイオーディオReferenceシリーズ、アナログへの展開「PE-505」

ーー ティアックブランドのフォノイコライザーアンプ「PE-505」がアナロググランプリのGold Awardを受賞されました。まず、受賞商品の特徴とポイントをお聞かせください。
大島 ティアックブランドで重要な賞を頂戴しまして、大変嬉しく、有り難く思います。PE-505は、ティアックが2011年から展開する「Referenceシリーズ」のフォノイコライザーアンプです。レコードの作り手が聴かせたかった音をいかに正確に再現するか、ということをコンセプトに商品化しました。
フォノイコライザーアンプのRIAA偏差は一般的に±0.2dBくらいですが、レコードの溝に刻まれた音をそのまま再現することにこだわり、今回は±0.05dB以下まで詰めてRIAAカーブをより正確にしています。インピーダンス切り替え、インピーダンス測定といったユニークな機能もありますし、フォノイコライザーのカーブもDECCA、COLUMBIAに対応して、さまざまなレコードの作り手の意図を忠実に再現する音で聴いていただこうというものです。
ーー Referenceシリーズについてあらためてご紹介いただけますか。
大島 もともとは海外モデルに端を発しています。海外ではティアックは80年代頃から、ミニサイズの本格的なオーディオ製品をご提供するブランドとして定評があります。特にイギリスでは、バジェットオーディオと言われる買いやすい価格帯で本格的な音のする中級機カテゴリーの文化があり、ティアックでもReferenceというミニサイズのコンポーネントが約20年にわたって成長していました。
これを日本に再上陸させるというイメージで企画されたのがReferenceシリーズです。私は海外でも関わっていましたし、日本でもこれにスタート当初から関わりました。日本ではすでに01シリーズというモデルをPCオーディオの黎明期に出してヒットしていましたから、日本のReferenceシリーズの展開でもPCオーディオの技術的要素を取り入れて、コンパクトでありながら本格的なハイファイオーディオのコンポーネントとしたのです。
オーディオコンポーネントの筐体は奥行きが大きく、昨今の薄型テレビの下のラックなどに入りづらいこともありますが、ReferenceシリーズはA4のジャストサイズで、奥行きも詰めています。本格的なオーディオラック据えてセッティングするというより、カジュアルに日常的にいい音を楽しんでいただく使い方を想定しています。
コンパクトサイズのオーディオは、日本の伝統的なハイファイオーディオの市場では存在感が発揮できにくかったところがあります。しかし今コロナの時代になって、パソコンまわり、デスクトップが活用される機会が増え、Referenceシリーズのサイズ感が合うと、あらためて多くの方に受け止めていただいている状況です。
■あらゆるオーディオカテゴリーでユニークな製品を提案していく
ーー PC・ネットワークオーディオから端を発したReferenceシリーズで、フォノイコライザーアンプといったアナログアイテムを展開したのはなぜでしょうか。
大島 ここ数年間、我々の商品展開の目標が、どんなカテゴリーにおいてもユニークでお客様に受けるものをつくろう、という方向性に変わってきました。アナログも切り口のひとつですし、当社はテープレコーダーを始めアナログの技術資産が沢山あります。Referenceシリーズはデジタル関連機器を中心に訴求してはいましたが、商品展開を広げてさらにユニークな商品をつくっていく、そのコンセプトに合致したのが今回のPE-505なのです。
ティアックブランドは、記録と再生の技術がすべてのベースにあって、カセットデッキやMDデッキのような旧メディアのサポートも続けています。レコードへの対応も必然です。またプロ機も扱っており、アーティストやミュージシャンの方々、エンジニアの方々、マスタリングの方々が作業の現場でレコードに込める思いを感じ取ってきました。その思いを聞き手の皆様にもお届けしたい。それがティアックとしての思いです。
ティアックではターンテーブルを長くご提案してきて、いつかフォノイコライザーを手掛けたい思いが脈々とありました。ターンテーブルはレコード音源のデジタル変換にも使っていただけるソリューションを展開し、ここ5~6年では本格的なレコード再生にふさわしいラインナップを拡充させてきました。いよいよアナログターンテーブルとしての実力がついたと判断し、今回フォノイコライザーをご提案するに至ったのです。
市場のフォノイコライザーは5万円前後の製品が多く、それより高額なものは一気に数十万円クラスになってしまいますが、PE-505は16万8000円の価格設定でその中間に位置付けられます。エントリークラスのオーディオに触れて、もっと先の楽しみ方を味わいたくなった方に、新しい選択肢をご提供できたかと思います。
ーー 御社のオーディオ事業の位置付けを、あらためてご紹介いただけますか。
大島 現在ティアック株式会社のオーディオ事業は、私が社長を拝命しているエソテリック株式会社にスピンオフしています。エソテリックブランドもティアックブランドもエソテリック株式会社で展開しており、両ブランドは同列で、ともに非常に重要な位置付けにあります。上場企業としてハイファイオーディオのような繊細な商品をつくるのは簡単なことではなく、このような形であるからこそ実現できると思っております。
1つの会社でありながらオーディオの2つのブランドをもつのは、稀有なことだと思います。プラットフォームの統一化などでハイブランドが1つのホールディングスに入っていく例はありますが、我々はもともと2つのブランドをもっており、それぞれを大事にしています。
ティアック株式会社はいろいろな変遷を経て、オーディオの分野として残っているコアな事業は、プロ機、産業用データレコーダーも含めて非常にマニアックなものしか残りませんでした。サステナブルな事業としてこれをやり続ける、やり抜く。コンセプトを貫き、次の世代に伝えるのが私の使命かと思っております。
今年もこれからみなさまが驚くような新製品が、双方のブランドからどんどん出て参ります。今後ともご期待いただけますと幸いです。
ーー これからもユニークな商品が期待されますね。有難うございました。
受賞インタビュー:ティアック
「アナログ感覚が感じられ、オーディオファンに推薦するにふさわしいアナログ再生に欠かせない機器」を選出し、13年目を迎えたアワード「アナロググランプリ2021」。Gold Awardを受賞したティアックブランドを展開するエソテリック株式会社 代表取締役社長の大島 洋氏が、受賞に際し、オーディオ事業展開に対する強い意気込みを語った。

エソテリック株式会社 代表取締役社長 大島 洋氏
インタビュアー 徳田ゆかり(ファイルウェブビジネス担当)
■デスクトップのハイファイオーディオReferenceシリーズ、アナログへの展開「PE-505」

ーー ティアックブランドのフォノイコライザーアンプ「PE-505」がアナロググランプリのGold Awardを受賞されました。まず、受賞商品の特徴とポイントをお聞かせください。
大島 ティアックブランドで重要な賞を頂戴しまして、大変嬉しく、有り難く思います。PE-505は、ティアックが2011年から展開する「Referenceシリーズ」のフォノイコライザーアンプです。レコードの作り手が聴かせたかった音をいかに正確に再現するか、ということをコンセプトに商品化しました。
フォノイコライザーアンプのRIAA偏差は一般的に±0.2dBくらいですが、レコードの溝に刻まれた音をそのまま再現することにこだわり、今回は±0.05dB以下まで詰めてRIAAカーブをより正確にしています。インピーダンス切り替え、インピーダンス測定といったユニークな機能もありますし、フォノイコライザーのカーブもDECCA、COLUMBIAに対応して、さまざまなレコードの作り手の意図を忠実に再現する音で聴いていただこうというものです。
ーー Referenceシリーズについてあらためてご紹介いただけますか。
大島 もともとは海外モデルに端を発しています。海外ではティアックは80年代頃から、ミニサイズの本格的なオーディオ製品をご提供するブランドとして定評があります。特にイギリスでは、バジェットオーディオと言われる買いやすい価格帯で本格的な音のする中級機カテゴリーの文化があり、ティアックでもReferenceというミニサイズのコンポーネントが約20年にわたって成長していました。
これを日本に再上陸させるというイメージで企画されたのがReferenceシリーズです。私は海外でも関わっていましたし、日本でもこれにスタート当初から関わりました。日本ではすでに01シリーズというモデルをPCオーディオの黎明期に出してヒットしていましたから、日本のReferenceシリーズの展開でもPCオーディオの技術的要素を取り入れて、コンパクトでありながら本格的なハイファイオーディオのコンポーネントとしたのです。
オーディオコンポーネントの筐体は奥行きが大きく、昨今の薄型テレビの下のラックなどに入りづらいこともありますが、ReferenceシリーズはA4のジャストサイズで、奥行きも詰めています。本格的なオーディオラック据えてセッティングするというより、カジュアルに日常的にいい音を楽しんでいただく使い方を想定しています。
コンパクトサイズのオーディオは、日本の伝統的なハイファイオーディオの市場では存在感が発揮できにくかったところがあります。しかし今コロナの時代になって、パソコンまわり、デスクトップが活用される機会が増え、Referenceシリーズのサイズ感が合うと、あらためて多くの方に受け止めていただいている状況です。
■あらゆるオーディオカテゴリーでユニークな製品を提案していく
ーー PC・ネットワークオーディオから端を発したReferenceシリーズで、フォノイコライザーアンプといったアナログアイテムを展開したのはなぜでしょうか。
大島 ここ数年間、我々の商品展開の目標が、どんなカテゴリーにおいてもユニークでお客様に受けるものをつくろう、という方向性に変わってきました。アナログも切り口のひとつですし、当社はテープレコーダーを始めアナログの技術資産が沢山あります。Referenceシリーズはデジタル関連機器を中心に訴求してはいましたが、商品展開を広げてさらにユニークな商品をつくっていく、そのコンセプトに合致したのが今回のPE-505なのです。
ティアックブランドは、記録と再生の技術がすべてのベースにあって、カセットデッキやMDデッキのような旧メディアのサポートも続けています。レコードへの対応も必然です。またプロ機も扱っており、アーティストやミュージシャンの方々、エンジニアの方々、マスタリングの方々が作業の現場でレコードに込める思いを感じ取ってきました。その思いを聞き手の皆様にもお届けしたい。それがティアックとしての思いです。
ティアックではターンテーブルを長くご提案してきて、いつかフォノイコライザーを手掛けたい思いが脈々とありました。ターンテーブルはレコード音源のデジタル変換にも使っていただけるソリューションを展開し、ここ5~6年では本格的なレコード再生にふさわしいラインナップを拡充させてきました。いよいよアナログターンテーブルとしての実力がついたと判断し、今回フォノイコライザーをご提案するに至ったのです。
市場のフォノイコライザーは5万円前後の製品が多く、それより高額なものは一気に数十万円クラスになってしまいますが、PE-505は16万8000円の価格設定でその中間に位置付けられます。エントリークラスのオーディオに触れて、もっと先の楽しみ方を味わいたくなった方に、新しい選択肢をご提供できたかと思います。
ーー 御社のオーディオ事業の位置付けを、あらためてご紹介いただけますか。
大島 現在ティアック株式会社のオーディオ事業は、私が社長を拝命しているエソテリック株式会社にスピンオフしています。エソテリックブランドもティアックブランドもエソテリック株式会社で展開しており、両ブランドは同列で、ともに非常に重要な位置付けにあります。上場企業としてハイファイオーディオのような繊細な商品をつくるのは簡単なことではなく、このような形であるからこそ実現できると思っております。
1つの会社でありながらオーディオの2つのブランドをもつのは、稀有なことだと思います。プラットフォームの統一化などでハイブランドが1つのホールディングスに入っていく例はありますが、我々はもともと2つのブランドをもっており、それぞれを大事にしています。
ティアック株式会社はいろいろな変遷を経て、オーディオの分野として残っているコアな事業は、プロ機、産業用データレコーダーも含めて非常にマニアックなものしか残りませんでした。サステナブルな事業としてこれをやり続ける、やり抜く。コンセプトを貫き、次の世代に伝えるのが私の使命かと思っております。
今年もこれからみなさまが驚くような新製品が、双方のブランドからどんどん出て参ります。今後ともご期待いただけますと幸いです。
ーー これからもユニークな商品が期待されますね。有難うございました。
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