公開日 2011/12/15 10:59
SHURE開発者に聞く、同社初のオープン型ヘッドホン「SRH1840/1440」投入の背景
シュアから登場した、同社初のオープンバック型ヘッドホンSRH1840、SRH1440。その発表会の模様や、製品のアウトラインは当サイトで詳細にレポート済みだ。
ここでは製品の生みの親である、2人の開発者に話を伺い、開発の背景や秘話などをさらに引き出してみようという狙いである。
お話し頂いたのは、モニタリング・カテゴリー・ディレクターのマット・エングストローム氏、ならびに、アソシエイト・プロダクト・マネージャーであるマイケル・ジョーンズ氏。
共にプライベートでも音楽好きで、実際にレコーディングやDJとしても忙しい日々を送っているという。2ページ目では、両氏のプロフィールについてもくわしく紹介する。
ーー開発に要した期間はどのくらいですか?
ジョーンズ氏:約18カ月です。ただ、その期間はこれらの開発だけに関わっていたわけではありません。もし、この2製品だけだったら、1年くらいでできたでしょう。構想そのものは5年ほど前からありました。
ーーでは、開発にあたって最も注力した部分を教えてください。
ジョーンズ氏:ひとつは、音作りです。クラス最高峰の音を目指すために、オープンバック型の競合モデルをとにかく聴いて研究しました。
二つ目は、装着した際の高い快適性です。いくら良い音を再現するヘッドホンであっても、心地よく聴けなければ意味がありません。ですから、いろいろな頭の形の人に当てて、それをインダストリアルデザインに反映させるために、何度となく試作を繰り返しました。
シュアには、ヘッドホンだけでなく、マイクロホンも含めた製品全てに、厳しい品質管理がなされています。音はもちろん、装着感や耐久性に関しても同様です。いかに長く使えるか、も大切にしているんです。これら、音づくりと装着感の良さ、耐久性の高さの3つが、特に注力したポイントです。
ーー実際の音作りのフローは、どのようなものなんでしょうか? たとえば、お二人の感性で決めていくのか、データを厳密に測定していくのか…。
エングストローム氏:開発にあたってまず、エンジニアたちが、製品に必要な要素を洗い出します。どのような音を再生するのか、どんな方々に使っていただきたいかなどです。それをアコースティックエンジニアという部隊に伝えます。彼らはそれをもとに、素材や仕様を決定してきます。
ジョーンズ氏:シュアでは、最初のベンチマークや要求仕様の定義をとても大事にしています。それを受けてアコースティックエンジニアやメカニカルデザイナーがサンプルを作ります。
そのサンプル機の周波数特性を実際にグラフにし、プロダクトマネージャーがチェックします。実際に、この帯域をこうしてほしいと、グラフに手書きで記入していくんです。それをエンジニアに戻して、チューニングが図られる、という繰り返しです。最初に作ったサンプルがそのまま製品になることは、ほぼありません。
最終的な音のチェックは、3つの方法を用います。ひとつは、測定した数値での判断です。もうひとつは、シュア内部でのテストです。シュアには、様々なジャンルで活躍している耳の肥えた社員がいます。そんな彼らに実際に聴いてもらいます。3つ目は、トップエンジニアやプロデューサー、ミュージシャンたちによる試聴です。それらの総合的な評価で、納得のいくものになれば、初めて製品になるのです。
ーー製品づくりには、そうしたチームワークも不可欠ですね。今回のプロジェクトでは、どれくらいのエンジニアが関わっているんですか?
エングストローム氏:機密情報なので正確に何人、とは言えません。一口にエンジニアリングと言っても、メカニカル、クオリティ、アコースティックなどがあり、この2製品に関しては、彼らの多くが開発に携わっています。
40年シュアに在籍しているアコースティックエンジニアも、これらの開発に携わっています。彼は、最近ではショットガンマイクロホンの開発も行ってる人物なんです。このように、イヤホンやヘッドホンだけでなく、マイクロホンなど、様々な製品の開発に関わっています。そうした経験の蓄積が製品作りに役立っているのではないでしょうか。ヘッドホン選任の担当者が決まっているわけではありません。
ーー振動板に使用されているマイラーは、もともとマイクロホンの分野で使用されているものですね。どのような特性に着目して採用したのでしょうか?
ジョーンズ氏:採用した理由は、2ミクロンと薄いため、応答速度を高めることができるからです。しかし、その反面、壊れやすいのも事実です。そこで、振動板を均等に動かす仕掛けを施しています。
ーー素材に関していえば、SRH1840にはヨーク部にアルミ合金6061-T6が採用されていますね。これは航空機の燃料タンクに用いられている素材だそうですが、採用はどのような理由からでしょうか?
ジョーンズ氏:この部分には、アルミやステンレス、マグネシウムなど、様々な素材を試しました。最終的にこの6061-T6に決定した理由は、軽さと高い耐久性があるからです。入手するのは難しくありませんが、この形や色に仕上げるのが大変なんです。Y型で、立体的にシェイプさせ、さらに塗料に浸してこの形と色にしています。
ーー面積的には大きくないですが、この部分の色が違うと印象が大きく異なるでしょうね。SRH1840は全体としてシックな印象を受けます。
エングストローム氏:ありがとうございます。シンプルでエレガント、レス・イズ・モアを意識しています。
ーー確固たるデザインポリシーがあるんでしょうね。他の製品やマイクロホンについても同様にコントロールされているようで、企業としての信念を強く感じます。
ジョーンズ氏:シュアらしさとはどのようなデザインなのかを、すべての製品で意識しています。インダストリアルデザイン担当の部署があり、そこが全体のデザイン管理を一括して行っています。
ここでは製品の生みの親である、2人の開発者に話を伺い、開発の背景や秘話などをさらに引き出してみようという狙いである。
お話し頂いたのは、モニタリング・カテゴリー・ディレクターのマット・エングストローム氏、ならびに、アソシエイト・プロダクト・マネージャーであるマイケル・ジョーンズ氏。
共にプライベートでも音楽好きで、実際にレコーディングやDJとしても忙しい日々を送っているという。2ページ目では、両氏のプロフィールについてもくわしく紹介する。
ーー開発に要した期間はどのくらいですか?
ジョーンズ氏:約18カ月です。ただ、その期間はこれらの開発だけに関わっていたわけではありません。もし、この2製品だけだったら、1年くらいでできたでしょう。構想そのものは5年ほど前からありました。
ーーでは、開発にあたって最も注力した部分を教えてください。
ジョーンズ氏:ひとつは、音作りです。クラス最高峰の音を目指すために、オープンバック型の競合モデルをとにかく聴いて研究しました。
二つ目は、装着した際の高い快適性です。いくら良い音を再現するヘッドホンであっても、心地よく聴けなければ意味がありません。ですから、いろいろな頭の形の人に当てて、それをインダストリアルデザインに反映させるために、何度となく試作を繰り返しました。
シュアには、ヘッドホンだけでなく、マイクロホンも含めた製品全てに、厳しい品質管理がなされています。音はもちろん、装着感や耐久性に関しても同様です。いかに長く使えるか、も大切にしているんです。これら、音づくりと装着感の良さ、耐久性の高さの3つが、特に注力したポイントです。
ーー実際の音作りのフローは、どのようなものなんでしょうか? たとえば、お二人の感性で決めていくのか、データを厳密に測定していくのか…。
エングストローム氏:開発にあたってまず、エンジニアたちが、製品に必要な要素を洗い出します。どのような音を再生するのか、どんな方々に使っていただきたいかなどです。それをアコースティックエンジニアという部隊に伝えます。彼らはそれをもとに、素材や仕様を決定してきます。
ジョーンズ氏:シュアでは、最初のベンチマークや要求仕様の定義をとても大事にしています。それを受けてアコースティックエンジニアやメカニカルデザイナーがサンプルを作ります。
そのサンプル機の周波数特性を実際にグラフにし、プロダクトマネージャーがチェックします。実際に、この帯域をこうしてほしいと、グラフに手書きで記入していくんです。それをエンジニアに戻して、チューニングが図られる、という繰り返しです。最初に作ったサンプルがそのまま製品になることは、ほぼありません。
最終的な音のチェックは、3つの方法を用います。ひとつは、測定した数値での判断です。もうひとつは、シュア内部でのテストです。シュアには、様々なジャンルで活躍している耳の肥えた社員がいます。そんな彼らに実際に聴いてもらいます。3つ目は、トップエンジニアやプロデューサー、ミュージシャンたちによる試聴です。それらの総合的な評価で、納得のいくものになれば、初めて製品になるのです。
ーー製品づくりには、そうしたチームワークも不可欠ですね。今回のプロジェクトでは、どれくらいのエンジニアが関わっているんですか?
エングストローム氏:機密情報なので正確に何人、とは言えません。一口にエンジニアリングと言っても、メカニカル、クオリティ、アコースティックなどがあり、この2製品に関しては、彼らの多くが開発に携わっています。
40年シュアに在籍しているアコースティックエンジニアも、これらの開発に携わっています。彼は、最近ではショットガンマイクロホンの開発も行ってる人物なんです。このように、イヤホンやヘッドホンだけでなく、マイクロホンなど、様々な製品の開発に関わっています。そうした経験の蓄積が製品作りに役立っているのではないでしょうか。ヘッドホン選任の担当者が決まっているわけではありません。
ーー振動板に使用されているマイラーは、もともとマイクロホンの分野で使用されているものですね。どのような特性に着目して採用したのでしょうか?
ジョーンズ氏:採用した理由は、2ミクロンと薄いため、応答速度を高めることができるからです。しかし、その反面、壊れやすいのも事実です。そこで、振動板を均等に動かす仕掛けを施しています。
ーー素材に関していえば、SRH1840にはヨーク部にアルミ合金6061-T6が採用されていますね。これは航空機の燃料タンクに用いられている素材だそうですが、採用はどのような理由からでしょうか?
ジョーンズ氏:この部分には、アルミやステンレス、マグネシウムなど、様々な素材を試しました。最終的にこの6061-T6に決定した理由は、軽さと高い耐久性があるからです。入手するのは難しくありませんが、この形や色に仕上げるのが大変なんです。Y型で、立体的にシェイプさせ、さらに塗料に浸してこの形と色にしています。
ーー面積的には大きくないですが、この部分の色が違うと印象が大きく異なるでしょうね。SRH1840は全体としてシックな印象を受けます。
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