ネットワークオーディオ、ノイズ対策の基礎知識(3)「電源ノイズ対策編」
昨年秋にQobuzがスタートして以来、注目高まるネットワークオーディオ。しかし、ルーターやハブといった家庭内のネットワークを活用することから、これまでのパッケージメディアとはまた違った音質対策が必要になってきている。そこで、ネットワークオーディオを探求するにあたって重要ポイントを、ノイズ源ごとに分けて3回の集中連載としてお届けしよう。
第3回の今回は「電源ノイズの対策アクセサリー」を整理する。もともとオーディオ専用には作られていないルーター等のネットワーク関連機器は、盛大な電源ノイズを発生している。さらにいうならば、ネットワークプレーヤーやトランスポートといったオーディオ機器自身も、電源ノイズの影響からは逃れられない。

2025/03/12

ノイズ対策の基礎知識(2)「LAN由来のノイズ対策編」
2025/04/02
それゆえ、第1回冒頭でネットワークオーディオにおいては「パッケージメディア再生とはまた違う独自の」音質対策が必要と述べたが、こと電源ノイズに関しては、「パッケージメディアと同等もしくはそれ以上の」徹底した対策が必要になると言うべきであろう。
今回は、重要性の高い「電源ボックス」のほか、空きコンセントに挿入するアクセサリー、ACクリーン電源、DCクリーン電源について、主要なブランドの製品を中心に整理する。国内外の多くのブランドから独自アイデアの製品が登場してきており、電源関連機器は一大市場として活気を見せているジャンルでもある。
電源ボックス
・SilentPower「PowerStation」

シャーシは外来ノイズを防ぐアルミニウム製。「Active Noise Cancellation II」回路を搭載し、低周波数帯域を含む全周波数帯域にわたってノイズを動的に排除する。さらに各端子にはパッシブフィルターが追加されており、非常に高い周波数のノイズも徹底的に除去する。給電する機器間の電源ノイズ干渉を防ぐため、各コンセントはチャンバー内で独立・隔離されている。
・PERFECTION「PFT-T3000AF」

スイッチング電源などの高周波ノイズを選択的に抽出し、そのエネルギーを光のエネルギーに変換して電源ノイズを低減するアクティブノイズエリミネーター(ANE)回路を搭載。壁コンセントからのノイズはもちろん、本機に接続している機器から発生するノイズに対しても効果を発揮する。また高周波以外のノイズ対策としてパッシブフィルターを搭載し、非常に広い帯域のノイズをカバーする。
・AudioReplas「SAA-6SZ-MK2-RUT」

外来ノイズをシャットアウトする航空機グレードアルミ合金削り出しシャーシの内部に、コンセント毎に独立した3個の層と独立した配線を装備。さらにノイズ誘導型高周波ノイズフィルター「誘導溝」をホット・コールドそれぞれ独立に埋設した。またコンセントには接点にスペシャル・ルテニウムメッキを施した「RWC-2RU」を採用、接点ノイズをも極少化している。
・KRIPTON「PB-HR3000」

「大電流機器」用2口、「デジタル機器」用2口、そして「小電力機器」用4口という構成。各系統ごとにフィルターを搭載する3回路構成とすることで機器間の電源ノイズ干渉を根本的に軽減。さらに内部配線には電磁干渉抑制体「バスタレイド」を巻き付け、シャーシにはともに電磁シールド効果がある〈ネオフェード〉カーボンマトリックス3層材とステンレスを採用している。
空きコンセントに挿すアクセサリー
・IsoTek「EVO3 ISOPLUG」

パソコンや冷蔵庫、電子レンジなどディファレンシャルモードノイズを発生させる機器の近くに接続するだけでノイズを除去するノイズフィルターだが、電源ボックスの空き端子に挿しても効果を発揮する。
・PERFECTION「PFT-ANE1」

上記の電源ボックス「PFT-T3000AF」同様、独自の「アクティブノイズエリミネーター(ANE)」回路がスイッチング電源などから発生する数百kHz以上の高周波ノイズを抑える。さらにノーマルモードノイズ、コモンモードノイズに対応したX・Yコンデンサーも搭載。
・Synergistic Research「UEF Performance Enhancer AC」

Synergistic Research独自開発のUEF(=Uniform Energy Field)テクノロジーを搭載し、同じ電源ボックスに接続された機器によりクリーンな電源を送ることができる。S/Nだけでなく解像度や音場表現力をも向上させる。
・CHORD COMPANY「PowerARAY」

機器用「ノイズポンプ」であるグラウンドアレイをベースに、電源ノイズ対策に特化した製品として開発された。ホット・コールド・グラウンドにそれぞれ専用の素子がつながっている。電源に含まれるノイズだけでなく、オーディオ・映像機器自身が発するノイズをも吸収する。
ACクリーン電源
・TRANSPARENT「POWERBANK 6 G6-C」

分厚いアルミ素材を使ったリジッドな筐体は外来ノイズに強い。ノイズフィルターはトランスペアレント独自の技術によるパラレル方式により、電流の制限を課すことことなくACラインに混入してくるノイズを除去してクリーンな電源を6口のアウトレットに供給する。
・KOJO TECHNOLOGY「Aray6 MKII」

フラグシップ「Aray MKII」の性能をそのまま受け継ぎ、出力容量を580VAとしたハイコストパフォーマンスモデル。設置先の電源環境を選ばない、交流電源を再生成するリジェネレータ方式を採用している。慢性的な家屋の電圧変動やノイズをシャットアウトする。
・IsoTek「V5 SIGMAS」

ノーマルモード・コモンモード両ノイズに対して効果を発揮するデルタフィルターをさらにパワーアップしたDCDフィルターを搭載。入力端子と各出力端子の間だけでなく、各出力端子すべてが絶縁されている。電源エネルギーを忠実に伝送しながらも色付けがなく、ノイズ低減効果に優れ、さらに躍動感を失わないのが特徴である。
DCクリーン電源
・SilentPower「iPower II」

「Active Noise Cancellation II」回路により、すべてのEMI(電磁干渉)とRFI(高周波干渉)ノイズをキャンセルする。
・SilentPower「iPower Elite」

外来ノイズに強い航空機グレードのアルミニウムシャーシの内部に「Active Noise Cancellation II」回路、低リーケージトランス等を搭載している。
・EDISCREATION「LPS “JAPAN STANDARD MODEL”」

航空機グレード6061アルミニウム削り出しシャーシが外来ノイズをシャットアウト。カスタムメイドの絶縁トランス、ディスクリート回路電源を採用している。
まとめ
以上3回にわたってネットワークオーディオにおけるノイズ対策アクセサリーを整理してみた。ネットワークオーディオ機器の内部・外部、LANケーブル経由、そして電源由来のノイズ。対策アクセサリーを導入すると、どのノイズも思っていた以上に音を悪化させていたことに驚かれるはずだ。それぞれに適切なノイズ対策を施すことで、ネットワークオーディオは我々をさらに夢中にさせてくれることだろう。