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【第96回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ

のん×林遣都!脳内相談役が爆誕したアラサー女性のおひとりさま崖っぷちロマンス

公開日 2024/01/05 06:30 ミヤザキタケル
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サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2020年公開の『私をくいとめて』をご紹介します!

『私をくいとめて』(2020年・日本)
(配信:U-NEXT /Amazon Prime Video /Hulu)

『私をくいとめて』U-NEXTで配信中

芥川賞作家・綿矢りさ原作の同盟小説を、『勝手にふるえてろ』『ウェディング・ハイ』の大九明子監督が映画化。31歳独身の黒田みつ子(のん)には、悩んだ時に助言を与えてくれる脳内の相談役「A」がいる。居心地のいい部屋で過ごす時間や休日のソロ活など、平穏なおひとりさまライフをAと共に過ごしていたみつ子であったが、年下の多田くん(林遣都)に恋をしたことで彼女の日常は徐々に変化していき…。

(C)2020『私をくいとめて』製作委員会

姿はないものの男性(中村倫也)の声をしているため、まるで対話劇のように感じられるみつ子とAの会話。しかしそれは、日頃私たちが自問自答している時間と大差ない。全体的にコメディ色が強かったり、胸がホクホクする恋愛描写も相まって序盤の内は気が付きにくいが、次第にみつ子が抱える問題が浮き彫りになっていき、濃厚・濃密な人間ドラマが顔を出す。彼女同様おひとりさまライフが板についている人や、かつてそういった時間を過ごしていた方であれば、きっと身に覚えのある感情や葛藤に当てられて、深く胸揺さぶられてしまうことだろう。

(C)2020『私をくいとめて』製作委員会

一人でいることは決して悪いことではないが、どうしたって孤独が付きまとう。かと言って、他人と共にいるのにもそれ相応の努力や覚悟が伴う。自分はどのように生きていきたいのか。己と向き合い一歩踏み出そうとするみつ子の姿は、あなた自身の心を見つめ直す時間になるかもしれません。

(C)2020『私をくいとめて』製作委員会
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。

ミヤザキタケル
1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。

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