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【第84回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ

『アフタースクール』の監督の長編デビュー作!先の読めないタイムスパイラル・ムービー

公開日 2023/10/13 06:30 ミヤザキタケル
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サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2005年公開の『運命じゃない人』をご紹介します!

『運命じゃない人』(2005年・日本)
(配信:Amazon Prime Video / U-NEXT)

『運命じゃない人』 好評レンタル中 発売・販売元:クロックワークス

『アフタースクール』『鍵泥棒のメソッド』などの作品で知られる内田けんじ監督の長編デビュー作にして、カンヌ国際映画祭で4冠を受賞したタイムスパイラル・ムービー。人のいいサラリーマン・宮田(中村靖日)。失恋し塞ぎ込んでいた彼を励まそうと、親友である探偵・神田(山中聡)が婚約破棄したばかりの見知らぬ女性・真紀(霧島れいか)と引き合わせる。勇気を出し一歩踏み出す宮田であったが、その裏側ではさまざまな“事件”が起きていた……。

先の読めない展開や巧みな伏線がもたらすどんでん返し劇に定評がある内田けんじ監督の原点とも言える本作。2005年公開の作品であるため、劇中にガラケーが登場したりなど時代の流れを感じざるを得ないが、その内容・ひとつの出来事の裏で巻き起こるいくつもの出来事が絶妙に絡み合っていく秀逸な脚本は、2023年現在においても色褪せることなく輝きを放ち、映画というものの面白さを存分に味わわせてくれることだろう。

そして、作品のギミックばかりに目が行きがちだが、「待っているだけでは何も変わらない」という現実に目を向け行動を起こす宮田を軸とした人間ドラマも見応え十分。ドキドキできて、ハラハラできて、ほっこりもできる良作です。

(C)PFFパートナーズ
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。

ミヤザキタケル
1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。

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