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【第82回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ

林遣都の名演光る!宮崎県の大自然を舞台に繰り広げられる老婆と青年の心の交流

公開日 2023/09/29 06:30 ミヤザキタケル
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サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2017年公開の『しゃぼん玉』をご紹介します!

『しゃぼん玉』(2017年・日本)
(配信:U-NEXT)

『しゃぼん玉』4,800円(税抜) 発売・販売元:ギャガ

乃南アサ原作の同名ベストセラー小説を、林遣都と市原悦子の共演で映画化。親の愛を知らず、ひったくりなどの犯罪を重ねてきた青年・伊豆見(林遣都)。逃亡の果てにたどり着いた宮崎県の山深い村で、怪我をした老婆・スマ(市原悦子)をなりゆきで助けることに。自らの素性を追求せず、孫のように接してくれるスマや村の人々のやさしさに触れ、スマの家に居着いてしまう伊豆見であったが……。

今では名実ともに人気俳優の仲間入りを果たした林遣都。さわやかで好青年なイメージが強かったデビュー初期から現在に至るまでの過程において、あらゆる役柄に挑戦し過去のイメージを払拭。本作はその過渡期に位置する作品であるのと同時に、彼が培ってきた確かな演技力を大いに披露した一本である。

誰にも必要とされずに生きてきた青年が、初めて他者のぬくもりに触れて変化していく繊細な心の機微を出ずっぱりの状態で演じ抜き、その実力が本物であることをまざまざと見せつけられる。そして、他者の存在がもたらしてくれるものや、たった一人でも自分を信じてくれる人がいることで得られる勇気など、人生において大切なことを本作は示していく。心が疲れてしまっている時にオススメです。

(C) 2016「しゃぼん玉」製作委員会原作:乃南アサ『しゃぼん玉』(新潮文庫刊)/ 企画協力:新潮社
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。

ミヤザキタケル
1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。

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