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【第45回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ

「黒い天使」と呼ばれた17歳の美しき連続殺人犯! 実話に基づくアルゼンチンNO.1ヒット作

2023/01/13 ミヤザキタケル
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サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2018年製作の『永遠に僕のもの』をご紹介します!

『永遠に僕のもの』(2018年・アルゼンチン)
(配信:U-NEXT / hulu / dTV)

『永遠に僕のもの』Blu-ray:5,280円(税込)/DVD:4,180円(税込) 発売元・販売元:ギャガ

1971年にアルゼンチンで11人もの人々を殺害し、その容姿端麗な姿から「黒い天使」と呼ばれた若き連続殺人犯の実話を映画化。天使のように美しい17歳の少年・カルリートス(ロレンソ・フェロ)は、何の躊躇いもなく盗みを働き、犯罪を繰り返す。転校先で出会った同級生・ラモン(チノ・ダリン)と親しくなり、二人は様々な犯罪に手を染めていくのだが…。

(C)2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A / UNDERGROUND PRODUCCIONES / EL DESEO

日頃ニュースなどで報じられる悲惨な事件などを目にした時、犯人の心を理解し寄り添おうと思える人はおそらく少ない。アルゼンチンでは知らぬ者がいないと言われ、事件から50年以上が経つ現在も服役中のカルロス・ロブレド・プッチ。そんな彼にインスパイアされて生み出されたカルリートスの場合はどうだろう。「映画」という人の心を動かし得る表現方法を用いて描いていればこそ、彼を理解不能なサイコパスとして捉えるのではなく、僕たちと同じ一人の人間として捉えることが可能になっていく。

(C)2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A / UNDERGROUND PRODUCCIONES / EL DESEO

決して彼を擁護したり肯定するつもりはないが、何が彼をそうさせてしまったのか、どうすれば止めることができたのか、そういった視点を見る者にもたらし、彼の心に想いを巡らせられる時間は、非常に価値あるものだと僕は思う。

(C)2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A / UNDERGROUND PRODUCCIONES / EL DESEO
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。

ミヤザキタケル
1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。

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