WWDC 2020で「ARKit 4」が発表

iPhone/iPadのAR機能がリフォームや模様替えの要になるかも

山本 敦
2020年07月01日
アップルの年次開発者会議「WWDC 2020」が、現地時間6月22日にオンライン上で開催された。「AR(拡張現実)」関連の話題は基調講演でも控えめに触れられていたが、デベロッパー向けに、AR関連のアプリやサービスを開発するための最新ツール「ARKit 4」が発表された。

LiDARスキャナへの対応など、いくつかの重要な転換期を迎えた「ARKit 4」がWWDC20で発表された

ARKit 4ではiOS/iPadOSアプリのための「ロケーションアンカー」が追加される。こちらを活用すると、例えばアップル純正の「マップ」アプリと「Look Around(米国の一部都市で対応しているストリートビューのような機能)」表示を連携して、マップ空間の中にARオブジェクトをピンで固定する機能がつくれるようになる。マップに記録されている緯度・経度・高度情報を参照しながら、ARオブジェクトの位置や向き、影が伸びている方向も空間の中に正しく再現できるという。

このロケーションアンカーを使った例として、サンフランシスコのベイエリアの街並みをマップに表示しながら、世界的アーティスト・KAWSのARフィギュアをあたかもその場所に存在するかのように配置するデモンストレーションが紹介された。

上手に活用すれば、Look Around表示の地図を見ながら、今目の前にある歴史的建造物の背景にあるヒストリーや関連する観光ガイド情報、訪れた人々の口コミなど確認するというように、リッチコンテンツを膨らませることもできそうだ。

マップの中のサンフランシスコ・ベイエリアの街並みに精巧なARオブジェクトを配置したイメージ

同様に室内展示会場の空間データをキャプチャして座標を振り、美術品を配置してミュージアムにしたり、たくさんのブースが出展できるバーチャルなイベント・見本市を出現させても面白いだろう。新型コロナウイルス感染症の影響を避けながら交流できる仮想的なビジネス空間が求められている時代に、iPhoneやiPadが新たな役割を果たせるかもしれない。

なお、ロケーションアンカーが使えるデバイスはA12 Bionic以降のSoCとGPS機能を搭載するiPhone/iPadだ。

他にも、2020年の春に発売された新しいiPad Proには、光による高精度な深度情報探知を実現するLiDAR(Light Detection and Ranging)スキャナが搭載されているが、これで取得した深度情報を扱うための新しい「Depth API」がデベロッパー向けにiOS 14以降のプラットフォームから用意される。

iPad Proに先行搭載されたLiDARスキャナを活用するためのDepth APIなどが登場。2020年後半にはLiDARスキャナを搭載する新しいiPhoneも期待したい

またARKit 4に含まれるフェイストラッキングにより、A12 Bionic以上のSoCを搭載するアップルの端末であれば、TrueDepthカメラを搭載していない第2世代のiPhone SEなどの機種でもアニ文字のアニメーションを作成し、使えるようになる。

ARKit 4のフェイストラッキングにより、例えばiPhone SEでもアニ文字を作成・利用できるようになる

そしてアップルは毎年WWDCで「Apple Design Award」を開催し、アップルが提供する開発プラットフォーム上で、デザインやイノベーティブな視点と技術に優れるアプリを開発したデベロッパーを表彰しているが、今年の受賞作のひとつが、ハンガリーのブダペストを拠点とするShapr3D Zartkoruen Mukodo Reszvenytarsasagが、ARKitをベースに開発したCAD(図面作成)アプリ「Shapr3D」だ。

「Apple Design Award」の受賞作品を発表。ハンガリーのデベロッパが開発したARアプリ「Shapr3D」などが紹介された

同社は今年の後半、LiDARスキャナを使って平面の間取図から部屋の3Dモデルを自動作成し、リフォームや増築のシミュレーションに使える機能の開発を検討しているという。2020年の後半にはiPad Pro以外のデバイスにもLiDARスキャナの搭載が広がるのか注目したい。

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