コーヒーメーカーの選び方(3)カフェポッド/コーヒーカプセル/レギュラーソリュブルコーヒー用コーヒーメーカー

多賀一晃(生活家電.com)
2016年05月06日

第1回目はコーヒーメーカーを選ぶときの基本となる「抽出源」について、第2回目ではドリップ式コーヒーメーカーについて紹介した。第3回目は神経を使う豆の管理からユーザーを解放してくれるカフェポッド、及びコーヒーカプセル、レギュラーソリュブルコーヒーを抽出源としたコーヒーメーカーの特徴を見て行きたいと思う。

今回取り上げるのは、この表のピンク色の部分だ

淹れるコーヒーはレギュラー・コーヒーだが、単純なドリップ型ではなく、エスプレッソマシンで使われる加圧を上手く使い短い時間で抽出するのが特長だ。


コーヒーの味にも流行がある

長い間、ドリップで淹れたコーヒーがいわゆるレギュラー・コーヒーとされてきた。しかし1980年代後半以降、スターバックスが世界を席巻した後、レギュラー・コーヒーも変化した。それはスターバックスが、エスプレッソをベースにメニューを組上げているからだ。

エスプレッソの特徴は、「濃厚」な味わい。それがベースになったため、ドリップで淹れるコーヒーも濃いのが支持されるようになった。いわゆる「コク」を強調したコーヒーだ。

逆にいま顧みられないのがアメリカン・コーヒー。アメリカン・コーヒーは浅い焙煎の豆を大量に使った薄いコーヒーだ。香り豊かで、酸味も充分。アメリカの真の黄金期に飲まれたコーヒー。今は濃いめに抽出したコーヒーを、お湯で割ったりするので、なかなか本物に巡り会えない。絶滅危惧種といってもよい。

それはともかく、現代のこの様な状況だから「加圧抽出」と「レギュラー・コーヒー」が出会ったともいえる。コーヒーも人と同じ。日々少しづつ変わっていくものなのだ。


カフェポッドって何?

抽出源の1つ「カフェポッド」は余り知られていないが、世界共通規格で、誰でもその規格で作ることができるというものだ。日本カフェポッドのホームページには「主に1杯分のコーヒーを、最適な挽き具合でフィルターペーパーに詰めたのが、カフェポッドです」と記載されている。

カフェポッド。基準量がパッケージされている。ちなみにこれは44mmのエスプレッソ用

エスプレッソを淹れる時は、豆は管理の良いものを極細挽き、重さは6.5〜7.0g/杯、タンピングを行い均一に詰めることが重要。エスプレッソを教えてもらう時、一番初めに教わることのひとつで、基本中の基本なのだが、エスプレッソ用のカフェポッドはそのスペックを守った仕様だ。

レギュラーも同じこと。ドリップでも、コーヒー粉の量、均一性は非常に重要。ドリップ・コーヒーを美味く淹れるには、いろいろなことに注意しなければならいが、挽き(粉の細かさ)、重さ、均一性は特に重要なポイントだ。だが、実際にキチンと対応するとかなり面倒臭い。その面倒臭いことをパッケージしてくれているのが、カフェポッドなのだ。

カフェポッドは、本当に簡単。手間がかからない。しかも多くの場合、アルミ袋に1つ1つ包装されているので、コーヒー劣化の2大要因である酸化、湿気を心配しなくてもよい(業務用の場合、缶に入れられて販売されているモノもある)。種類は60mm(レギュラー用)、44mm(エスプレッソ用)の2種類がある。

カフェポッドは、このようにアルミパッケージで守られているモノが多い


カフェポッド用コーヒーメーカーの特徴

ドリップは、コーヒー粉にお湯を掛け膨らませ蒸らすことでコーヒー粉の中から出てくるコーヒーの成分をお湯と共に、滴下させ取り出すのだ。抽出したコーヒーに、コーヒー粉他が混じらないようにフィルターで濾過する。このため3〜5分かかるのが普通だ。

これに対し新しい(といっても1906年)エスプレッソの名前は「急行」という意味。それまでのドリップの様に時間が掛からずに済むためそう名付けられた。現代が始まった20世紀初頭から「時短」は大きなポイントだったようだ。

圧力抽出するカフェポッド用コーヒーメーカーの場合、抽出は1分位と短い。その上、ペーパーフィルターが付いていないため、クレマもしっかり出る。クレマというのはコーヒーの液面に浮かぶキメ細かい泡のこと。多ければ美味しいコーヒーと言うわけではないが、あるものは基本美味しい。このクレマがあるドリップ・コーヒーは、いま流行の「コク」重視型の味だ。

カフェポットを使えるコーヒーメーカーは、ドリップ型とエスプレッソ型のイイ所を兼ね備えたカフェポッド用コーヒーメーカーは、使い勝手もよく、メンテナンスも楽。操作で言うと、レコードとCDくらいの操作の差がある。


便利だけどカフェポッドはここに注意!

楽に美味しいコーヒーが飲めるのがカフェポッドの特長だが、注意したいことが幾つか。

1つめは、レギュラーもエスプレッソも同じ加圧抽出だが、カフェポッド自体に60mm、44mmとサイズ差があるためドリップ/エスプレッソ兼用マシンはないこと。

2つめは、カフェポッドを扱っている店が少ないこと。特に60mmは手に入りにくい。このためか、60mm用のカフェポッド専用コーヒーメーカーは極めて少数派だ。

3つめは、加圧式であるため、ドリップ&ペーパーフィルターの軽妙で澄んだ味は出せない。特に浅い焙煎を特徴とするアメリカン系も難しい。逆に、コクのあるコーヒーが好きなら、ラクに楽しいコーヒーライフが過ごせる。


コーヒーカプセルとは?

コーヒーカプセルとは、ネスカフェで有名なネスレ社(本社はスイス)のメーカー独自規格品と、それに似た仕組みを取るメーカー独自規格品のことである。これはカプセル技術が特許で護られているためで、誰でもOKの国際規格ではない。

ちなみにネスレでは「カプセルコーヒー」と呼ぶし、UCC上島珈琲では「ドリップポッド」と呼称される。UCC上島珈琲のドリップポッドはネスレ社の機器、ドルチェ・グストでは使えない。

ネスレ社 ドルチェ グスト ドロップ。独特の形が魅力的

UCC ドリップポッド。2015年のGOOD DESIGN AWARDも受賞している

「主に1杯分のコーヒーを、最適な挽き具合でカプセルに詰めたのが、コーヒーカプセルです」とカフェポッドに似た言い方も可能であるが、私から見ると全くの別物と言うべきものだ。それは完全密閉であるため、コーヒー粉の風味を「より逃がさない」構造になっていることと、カプセルなので中身は何を入れても(液体でも、気体でも、何でも)イイということが理由だ。実際カプセルには、チョコレート飲料や抹茶、中国茶を入れたものもある。

何故、こんな事をしているのかは、カフェに入りメニューをもう一度見ると分かりやすいだろう。昔ながらの喫茶店のような、コーヒーがドリンクの80%を占めるようなメニューはないはず。いろいろなドリンクが華を競っている。そう、カプセルは、家に、現在のカフェを持ち込んだのだ。

本日の気分により、手間なく飲み物を変える。それができる「ホーム・カフェ」の提案。それがカプセルを使うコーヒーメーカーの特長とも言えるだろう。


コーヒーカプセルの注意点

コーヒーカプセルで一番注意すべきは、メーカーを越えた互換性がないこと。ネスレ社が発売しているドルチェグスト用と、またUCC上島珈琲のドリップポッド、双方に対応したメーカーは存在しない。

また特に注意したいのは選べるカプセルラインナップ(味)は、メーカーが用意したものだけ。AVで言うと、プレーヤーを買ったはイイが、自分の好きなソフトがそのフォーマットで出ていず、観られないようなものだ。

それとカプセル自体がある程度の値がする。ランニング・コストだから、長期にわたって使うならボディブロー的に効いてくる。


コーヒーカプセル用コーヒーメーカーの特徴

一番の特長は、多種多様なデザインかも知れない。コーヒー器具は、化学実験器具の延長のデザインが多く、見方によっては「珍奇」といえるものが多い。しかし、それが「特別」感をもたらしていることも事実。

さらにいうと、カプセル用コーヒーメーカーは「限定品」もよく出される。そそられる部分も多い。カプセルなので抽出は1杯毎、メンテナンスは極めて楽。また、カフェポッドが併用できる製品もある。購入の際は、チェックすることをお勧めする。


レギュラーソリュブルコーヒー用コーヒーメーカー「バリスタ」

バリスタが出た時、私はカルピスウォーターを思い浮かべた。カルピスに美味しい薄め方があるように「ネスカフェの美味しい淹れ方」って何だ?と言うわけだ。

「バリスタ」で淹れたコーヒーを飲んだ時は驚愕(びっくり)。「これってネスカフェ?!」というのが正直な感想。それほど違う。「美味しい。」ネスカフェの味の深さにびっくりしたのだ。

バリスタには、密閉された詰め替え用のネスカフェ、エコ&システムパックを使用(ネスカフェ以外にも、使用可能なレギュラーソリュブルコーヒーがある)。フリーズ・ドライ加工をしたネスカフェであるが、やはり風味は劣化するので、美味いコーヒーを淹れるためには保管状態が良いものを使うのがコツだ。逆に、ネスカフェには、劣化する成分もしっかり詰め込まれていると言える。

ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ TAMA

ネスカフェ、エコ&システムパック

バリスタで淹れたネスカフェは、クレマすら出ている本格コーヒー。味はドリップ系。ややアッサリ目の味。これはネスカフェが、20世紀前半からあることに由来すると思われる。エスプレッソ系が標準の現代に生まれたカプセルコーヒーとはかなり異なる。ただ、ややアッサリめ方のが、指向性が弱いため、大勢の支持を受けやすいことは付記しておく。

欠点は、拡張性に欠けること。レギュラーソリュブルコーヒーの市場は、そう簡単に味を増やすわけには行かないため、ドルチェ・グストの様に、新型カプセルを追加、新しい味の飲み物ですというわけには行かないのだ。

が、ネスカフェある限り、バリスタの価値は下がらないのも事実だろう。



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