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PRラックスマン/ROKSANのアンプでテスト

HARBETHは古くて、常に新しい。美音と高いモニター性能を両立する小型2ウェイ「HL-P3ESR XD2」を2種のプリメインで聴く

公開日 2026/10/07 06:30 園田洋世
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イギリスのBBCモニターの流れを汲み、いまも熱烈なファンの多いスピーカーブランド・HARBETH(ハーベス)。同社のプロダクトが、主にウーファーの素材を変更した“XD2”へと進化した。今回は、その中でももっとも小さい密閉型スピーカー「HL-P3ESR XD2」を2種類のプリメインアンプと組み合わせてテスト。ストリーミングとアナログ再生の双方で、HARBETHスピーカーの魅力を探った。

HARBETH ブックシェルフ型スピーカー「HL-P3ESR XD2」(704,000円/ペア・税込)

HARBETHで聴くと音楽が腹に落ちる

私は英国の名門スピーカーブランド・HARBETHの「HL Compact」を愛用している。BBC研究所出身の創立者ダッドリー・ハーウッドから1987年にブランドを引き継いだアラン・ショウの処女作である。オーディオを始めた頃からずっと憧れていたモデルで、数年前に程度が良い中古を見つけて迷わず購入した。

園田洋世氏の自宅リスニングルーム。HARBETHとSonus Faberのスピーカーを愛用している 

同機は、いちオーディオマニア、いち音楽愛好家の自分にとって今や「ホーム」とでも言うべき存在だ。何を再生してもオーディオ的・音楽的に納得できるウェルバランスな音で音楽を奏でてくれるので、今となってはどんな曲でも、どんな演奏・録音でも、いちどはHARBETHで聴かないと聴いた気がしない気さえする。

HARBETHで聴くと音楽が腹に落ちるのである。

現在HARBETHのラインアップはXD2シリーズに進化している。XDの名は“ eXtended Definition”、つまり解像度を高めたことに由来する。伝統のポリプロピレン製ウーファーのコーンを最新の「RADIAL4」へとブラッシュアップすることで、前モデルXD以上に、フラットな周波数特性を始めとする理想的な物理特性を獲得したという。

「HL-P3ESR XD2」のグリルを外したところ。独自のポリプロピレン製が「RADIAL4」にアップデートしている

ハイレゾ・ストリーミングで聴くHARBETH

HL Compactの愛用者としてもHARBETHの現在形は大いに気になるところだ。例えば、今や主流のソースとなったストリーミングを「最新のHARBETH」はどのように聴かせてくれるだろうか?

BBCモニターの名機LS3/5Aとほぼ同サイズの小型スピーカー「HL-P3」の最新形、「HL-P3ESR XD2」を聴いてみよう。110mm口径のウーファーと19mm口径のハードドーム・トゥイーターを搭載する密閉型2ウェイである。

今回は2機種のプリメインアンプと組み合わせてみた。異なるアンプと組み合わせることで、最新のHARBETHのハイファイ性能と音楽表現の幅を探りたいのだ。

ラックスマンの「L-507Z」(上段左)と、ROKSANの「Caspian 4G Integrated Amplifier」(上段右)の2種類のプリメインアンプでテスト。いずれもMMフォノ入力を搭載しており(ラックスマンはMCフォノも搭載)、アナログ再生の魅力も検証している

まず聴くのはHARBETHと同じ英国のブランドROKSANの「Caspian 4G Integrated Amplifier」。いわゆる欧州の薄型プリメインアンプで、個人的にもHARBETHとの相性がずっと気になっていたモデルである。

ROKSAN プリメインアンプ「Caspian 4G Integrated Amplifier」(715,000円/税込)

なんとフルバランス構成のプリアンプ部と、デュアルモノ構成のパワーアンプ部を搭載するAB級プリメイン。中央に位置するボリュームノブの操作フィーリングが実にいい。しっとり滑らかで高い精度感もある。

ネットワークプレーヤーにはエソテリックの「N-05XD」を用意した。Qobuzを再生して聴いてみる。

素晴らしい美音についうっとり聴き入ってしまった。

ハイ・ファイ・セット「卒業写真」は声の帯域の充実感が凄まじく、濃淡の描き分けも巧みだからだろう、山本潤子の美声がさらに際立つ。

肉声の温かさ、生々しさがあり、リビングで寛ぎながら目の前にいる究極の美声の持ち主と会話を楽しんだらこんな感じに酔ってしまうだろうかなどと考えてしまう。

荒井由美の「ひこうき雲」もヴォーカルの密度感、実在感の高さが凄いが、緊張させる音では決してない。午睡のまどろみのような、あるいは自宅で過ごす雨の日の午後のようなホッとする安心感に包まれながら歌の世界に入り込む心地がする。

パーテルノストロ指揮・イスラエル室内管弦楽団『メンデルスゾーン:ヴァイオリンとピアノのための協奏曲』は、なんという弦群の音色の芳しさ、かぐわしさ !しかも音色のダークネスも良く出て陰翳が豊かである。

3種類のポリマー素材を配合して独自の成形を実現したウーファーコーン

モニターとしての性能の高さを引き出す

次に組み合わせるのは日本の名門ラックスマンのAB級プリメイン「L-507Z」。独自開発の増幅帰還エンジン“LIFES(Luxman Integrated Feedback Engine System)”を搭載する。

こちらも個人的な話で恐縮だが、私は同社の「L-505f」をサブシステムで20年以上使っている。ご存知の通りラックスマンは我が国だけでなく欧州を始めとする海外でも大人気だ。最新のHARBETHを最新のラックスマンはどう鳴らしてくれるだろうか?

LUXMAN プリメインアンプ「L-507Z」(693,000円/税込)

こちらはHL-P3ESR XD2のモニターとしての性能の高さを痛感させる再生音である。

ママス&パパスの「小さな夢」が、Caspian 4Gだと各楽音が柔らかい夜霧のなかに夢幻的に漂うかのようだったのに対して、L-507Zは霧が晴れた感じとでも言おうか。ヴォーカルもドラムスもコーラスも質感はまろやかながらも明瞭だ。L-507Zの方が質感の硬軟レンジが広いのも影響しているだろう。

メンデルスゾーンは、ホールトーンに高さ方向の成分が出てしかも細やかだ。音色はCaspian 4Gより寒色だが弦群のブレンドはやはりまろやかで美しい。

聴き手が大ホールの2階席から1階席に移ったかのようにオーケストラに近づいて各楽音の分解能が高まり、イルンベルガーのヴァイオリンもトルビアネッリのピアノもよりダイレクトに聴き手に迫ってくる。

HL Compact愛用者としても納得の美しい音色とまろやかな質感を聴かせる点で一貫しているのに、HL-P3ESR XD2は各アンプの個性と性能はしっかり描き分けている…。

トゥイーターは19mm径のアルミニウム・ドーム。“Open Weave”グリルが装着されている

アナログレコードの旨味も引き出す

では最新のHARBETHで聴くアナログはどうだろう?HARBETHの現在形を知りたいなら、やはり現代になって完全復活したアナログも聴かないと!である。

フォノイコはいま聴いた2機種のアンプが内蔵する上質なフォノイコを使おう。組み合わせるカートリッジはオーディオテクニカのVM型「AT-VM750xSH」、ターンテーブルはラックスマン「PD-171A」である。

Caspian 4Gで聴くグラシェラ・スサーナ『76/45』(DAM)は歌う!朗々とした見事な歌いっぷりである。

声の密度感・実在感の高さもさすがアナログ。ストリーミングで聴いたそれを上回るほどだ。スピーカーが消えるのは、HL-P3ESR XD2が小型2ウェイブックシェルフでユニット間の間隔が近くバッフル面積が小さいので点音源性が高いのが効いているのは間違いなかろう。

ミケランジェリ(ピアノ)、ジュリーニ指揮、ウィーン交響楽団『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番』(ドイツ・グラモフォン)は肉厚でありながら柔らかくほぐれもする極上の弦群。そして凛としたピアノが実に抑揚豊かである。

これに対してL-507Zで聴くスサーナは、やはり歌いっぷりがいいヴォーカル。Caspian 4Gよりはやや硬めでドライな質感になって楽音間の分離が向上し、ギターもヴォーカルもドラムスもより立体感が出る。1音1音が強くてメリハリに富んだ演奏である。

そしてミケランジェリは、大ホール感が豊かに出る。ホールトーンがしっかり出るのだ。ピアノの解像度が高く、混濁しがちな木管が分離良く、音像が克明に描かれている。

HARBETHのアレンジにぞっこん惚れ込んでいる

HL-P3ESR XD2。期待に違わぬ美音と、まったく聴き疲れさせず音楽をずっと聴いていたくなるHARBETH伝統の質感、さらにアンプ・再生ソースの違いを見事に描き分ける非常に高いモニター性能を存分に聴かせてくれた。

「HL-P3ESR XD2」の背面端子。シンプルなシングルワイヤ方式となっている

ふと考える。

私たちはなぜ、お気に入りの歌手による「カバーアルバム」を聴くのだろう?

なぜ何度も何度も演奏され録音され聴き馴染んできたクラシックの名曲を、お気に入りの指揮者が振った、あるいはお気に入りの演奏家の演奏で聴くのだろう?

なぜジャズのスタンダード曲をお気に入りのジャズミュージシャンのアレンジで聴くのだろう?

やはりそれは私たちが彼らの楽曲解釈やアレンジ、声・音、そしてセンスに惚れているからに違いない。

私がHL Compactで、「HARBETHで」音楽を聴きたいのも同じだ。HARBETHの解釈やアレンジ、音、センスにぞっこん惚れて飽きることがないのである。

ロングセラーモデルは偉大だ。古くて、常に新しい。

初期から続く美音とまろやかさをしっかり保ちながらハイファイ性能を格段に向上させたHL-P3ESR XD2は、HL Compact愛用者の私の所有欲をも強烈に喚起してしまっている。

(提供:サエクコマース)

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