ラックスマンの集大成。モノラルパワーアンプ「B-100 CENNTENIAL」の描き出す世界
昨年創業100周年を迎えたLUXMAN(ラックスマン)。モノラルパワーアンプ「B-100 CENTENNIAL」は、同社のアニバーサリーモデル第4弾である。増幅エンジンLIFESは最新版に進化し、ラックスマンが持てる技術と製品製造のノウハウを注ぎ込んだ集大成、その音を体験する。
記念プロジェクトの中核に位置付けられる重要な製品
ラックスマンの創業100周年記念モデル群のなかで、規模が最も大きな製品となるモノラルパワーアンプのB-100 CENTENNIALがついにその全貌を現した。
往年のB-10を連想させるパワーメーターが目を引く過去最大級の筐体は、別格というべき存在感があり、最新のラックスマン製品に共通する洗練されたデザインにも強く引き込まれる。品位の高さをたたえ、巨大なのに威圧感がない。
ラックスマンが投入してきたトランジスターのモノラルパワーアンプの歴史を振り返ると、原点は1995年の「B-10」に遡る。その後、1999年の「B-10II」、2000年の「B-10II Custom」と続き、前作は2005年の「B-1000f」ということになる。いずれも同社のアンプ技術を結集した力作であり、ラックスマンの大出力アンプを象徴する存在として人気を博した。
今回のB-100 CENTENNIALはB-1000fから数えてほぼ20年ぶりの登場であり、100周年記念プロジェクトの中核に位置付けられる重要な製品だ。
現在のラックスマンの到達点というべきLIFESの最新バージョンを増幅回路に採用し、出力は125W(8Ω)を達成。瞬時最大出力は1000W(1Ω)に及ぶ。
25WまではA級領域で動作する設計であり、実際には大半の時間をその範囲で使うことになるが、ここぞというときの駆動力には文字通り桁違いの余裕が備わるということだ。
最新バージョン(1.1)のLIFESと従来バージョン(1.0)の違いは、前者が誤差検出用差動アンプの入力段をパラレル化したことにあり、歪みを大幅に低減することに成功したとされる。
100Hzと1kHzにおける歪みをM-10Xのおおよそ3分の1に抑えているというから、主要な旋律をカバーする音域において、音楽信号の純度を改善する効果は極めて大きいことが分かる。出力段は3段ダーリントン方式の4パラレルプッシュプル構成で、パワーブロックは前後方向に並列して本体右側に配置される。
モノラルアンプ開発への強い意気込みが伝わる
パワーブロックの奥には合計16万μFに及ぶブロックコンデンサー群を配置。向きを上下反転させた2階建ての基板に8個ずつ並べる構造は音質面で最も有利な配置を選んだ結果で、配線を短く抑える効果も大きいという。
6パラ構成(12接点)の大型リレーと新設計の大口径コイルを経て、バスバー直結でスピーカー端子とつなぐなど、出力回路の低インピーダンス化を徹底しており、ダンピングファクターは1000を超える。
電源トランスは1250VAのEI型と制御用トランスを独立させ、相互干渉を回避。ノイズ対策に一切妥協はない。
ラックスマンの横浜事業所を訪問した際、生産プロセスを見学し、B-100 CENTENNIALの内部構造を直接見る機会があった。
前述の大容量ブロックコンデンサーや新設計のコイルなど、部品レベルでもステレオパワーアンプとは一線を画すグレードを投入していることを確認したが、その際にパワーブロックから出力基板までの配線もオーディオ機器ではまず見かけることのない太いワイヤーを使っていることに気付いた。
現場で確認すると、その配線材も本機のために新たに作ったものだという。全体から見れば細かい要素ではあるが、そうした部品や配線材へのこだわりからも、20年ぶりのモノラルパワーアンプ開発への強い意気込みが伝わってくる。
空気の揺らぎを生々しく体感できる
2台のB-100 CENTENNIALを、Bowers & Wilkinsの「802 D4」と接続して再生音を確認した。
コープランド『市民のためのファンファーレ』の冒頭、強烈なパーカッションの一撃はアンプとスピーカーにとって負荷の大きい瞬間だ。鋭いアタックと重く深い基音を実音で再現し、その直後に続く自然な減衰を忠実に再現しなければならない。
一連の推移を注意深く確認したが、どの瞬間にも飽和やにじみが発生することなく、ステージで体験する鳴り方に限りなく迫るリアルな音を引き出している。
余韻が収束する直前、金管楽器のファンファーレが空気を切り裂く瞬間の張り詰めた空気も格別で、テンションの高さが際立つ。トランペットの明るい音色とホルンの柔らかい響きがバランスよく両立し、ハーモニーの純度も次元が高い。
ラフマニノフの『交響曲第2番』(ジョン・ウィルソン指揮、シンフォニア・オブ・ロンドン)を本機で聴くと、フォルティッシモの全奏が繰り出す桁外れの瞬発力と、部屋の空気をまるごと動かす大きな空気の揺らぎを生々しく体感することができた。
低域から高域までタイミングが精密に揃ったときに生まれる音圧の大きさを正確に再現できるかどうか、アンプの駆動力が大きく物を言う。
繰り返し聴いている音源だが、ここまでの音圧感を体感したのは数えるほどしか経験がない。ステージの上に漂う余韻の浮遊感など、残響の振る舞いは繊細でくせがない。
ニッキ・パロットのヴォーカルは声とサックスの音像が前に踏み出す一方、パーカッションなどリズムを刻む楽器はステージなかほどまで一歩下がって展開し、旋律とリズムの関係を的確に再現した。
サウンドステージが平板にならず、アコースティックギターのような発音の速い楽器とベースの対比も上手い。サックスとギターはどちらも一音一音に絶妙な光沢感があり、控えめながら声の高音域にも艶が感じられる。
現代の高性能パワーアンプらしく音色や帯域バランスに偏りはないが、声やソロ楽器を際立たせる艶や潤いを積極的に引き出す一面も垣間見せた。演奏の高揚や躍動を伝えるうえで重要な要素をあえて抑えることなく、絶妙なさじ加減で仕上げている。
(提供:ラックスマン)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.202』からの転載です


