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PR試聴室で使っている「ANKH-I」と同じ設置場所で比較

ルームチューニングパネルの最高峰。奥行きも円柱数もスケールアップした「ANKH-VII」の効果を検証!

公開日 2026/09/09 06:30 山之内 正
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日本音響エンジニアリングが手掛けるルームチューニングアイテムである「ANKH(アンク)」「SYLVAN(シルヴァン)」。この夏、新たに円柱の数を増やし、奥行きも拡大した新製品「ANKH-VII」が登場した。その効果を、音元出版の試聴室に実際に導入してテストした。

「ANKH-VII」の設置テスト。山之内氏が確認した「ANKH-I」のベストポジションは、中央に2台と前方左右のほぼコーナー部分に1台ずつ設置するというもの。これと同じ状態で、「ANKH-I」を「ANKH-VII」に入れ替え比較試聴を行った(写真は新製品のANKH-Zを設置した状態)

ANKH-Iの導入で音の違いが聴き取りやすくなった

高価なアンプやスピーカーを持っていても、その実力を完全に引き出せているとは限らない。コンポーネント同士をただつなぐだけでは不十分で、セッティングを工夫したり、さまざまな周辺機器やアクセサリーを活用して音を追い込むなど、本来の性能をじっくり引き出すためにはそれなりの努力が必要だ。読者もそのことをよくご存知だと思う。

一方、部屋の音響特性を調整するルームチューニングの効用については、いまだに過小評価されている気がする。適切な使い方であれば確実な効果が得られ、コンポーネントのグレードアップに匹敵するような効果をもたらすことも稀ではない。

ケーブルを流れる電気信号にはまったく影響を与えないので、音調が変わることもない。部屋の音響を整えることでオーディオ機器の実力を引き出すアプローチはもっと注目して良いテーマだと思う。

ルームチューニングを代表する製品が日本音響のAGS(アコースティック・グローヴ・システム)だ。前後左右に配置した複数の円柱が音を拡散し、室内の音響特性を改善する効果を発揮する。以前、完成後1年半経った試聴室に同シリーズの標準モデル「ANKHI」を導入し、設置場所によって音がどう変化するのか、具体的に検証した。

その後、試聴室前面のスピーカー後方に4基の「ANKH-I」を常設。試聴や取材で繰り返しその効果を確認しているが、以前に比べて音の違いを聴き取りやすくなった印象がある。ステージの奥行きやヴォーカルの音像定位を改善する効果が顕著で、スピーカーの空間再現力がよくわかることが私にとっては特に重要な成果だ。

ANKHには用途やサイズが異なる複数のバリエーションがあるが、そのラインナップにANKH-VII」が新たに加わった。高さと横幅は「ANKH-I」と同じだが、奥行きが7cm増えて30cmになった。円柱の本数も5本増えて24本となり、3kgほど重くなっている。

AGS ルームチューニングパネル「ANKH-VII STX15」(価格:550,000円/税込)※特注色、特注オーダーも可能

音を自然に拡散させる効果は基本的に「ANKH-I」と同様だが、エアボリュームの大きな部屋では「ANKH-VII」の方が立体的な音場を引き出しやすいというのが設計者の説明だ。

大きめのスタジオなどでANKHを前後に並べて設置している例を見たことがあるが、広めの部屋でそれに近い効果を狙う用途に向くのではないか。

「ANKH-I(ST15)」と「ANKH-VII(STX15)」の比較写真。左が奥行き23cmで19本の円柱で構成された「ANKH-I」。右が奥行き30cmで24本の円柱で構成された新製品の「ANKH-VII」

4基のANKHを最新モデルに入れ替える

今回は新作の「ANKH-VII」を試聴室に4基持ち込み、既存の「ANKH-I」と入れ替える実験を試みることにした。設置場所を変えると両者の違いがわかりにくくなるおそれがあるので、まったく同じ場所に置いて音の変化を確認する。

奥行きが7cm深くなっているが、壁との距離は変えない。「ANKH-VII」の方が少し手前に張り出す形になるが、いつもの試聴ポジションから見る限り、言われなければ変えたことに気付かないだろう。重さは37kgもあるので一人では運べないが、2人ならなんとかなる。

最初に「ANKH-I」を設置した普段の環境で音を確認し、そのすぐ後に「ANKH-I」を部屋の外に出してから「ANKH-VII」を同じ場所に設置して音を確認するという流れだ。

もちろん音量設定など、ANKHの違いを除く他の要素はすべて共通で、リスニングポジションも変えていない。また、試聴終了後、日本音響エンジニアリングのスタッフが両方の状態で音響特性を測定し、残響の時間推移や同社が室内音響の評価に用いている「残響減衰変動」(減衰のなめらかさ)を考察。聴感と測定結果の相関の有無についても最後に紹介する。

音像の定位がより明確化さらに立体的な再生を生む

試聴音源はニッキ・パロット「I Can See Clearly Now」、サビーヌ・ドゥヴィエル「夜の女王のアリア」、反田恭平「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番第3楽章」の3曲に絞り、声と旋律楽器の定位、ステージの3次元表現、余韻の広がりと減衰などを確認した。

ANKH-VII」に変更すると、パロットのヴォーカル、ギター、サックスがやや手前に明確な音像が定位し、他のリズム楽器は後方に下がる。ステージが立体的に可視化されるとともにベースの動きもよく見えるようになった。

ソプラノのアリアは声とオーケストラの対比が深い距離感を引き出し、立体的で彫りの深い音場が眼前に展開する。自然な帯域バランスに変化はないが、演奏の起伏はより大きくなった。

ラフマニノフはヴァイオリンが刻むリズムが鮮明で、ピアノの粒立ちもクリア。低弦の量感に変化はないが、コントラバスの立ち上がりが明瞭になることで、リズムの音形が立体的に浮かび上がる効果が得られるようだ。「ANKH-VII」に交換すると余韻が広がる空間がさらに大きくなり、ステージの奥行きも深みを増す。

測定上とも整合が得られた遠近感と空間の広がりが利点

測定結果をみると、減衰のなめらかさが「ANKH-VII」でさらに改善し、中高域における時間減衰の変動も落ち着いていることがわかる。いずれも劇的な変化とまではいかないが、音色の繊細な描き分けや余韻のなめらかな減衰など、耳で気付く好ましい方向での変化と一致している。

確実に再現性があるだけでなく、測定で得られた事実とも整合性が得られた。特に遠近感や空間の広がりを改善したいリスナーにとって、有効な手段になりそうだ。

(提供:日本音響エンジニアリング)


本記事は『季刊・Audio Accessory vol.202』からの転載です

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