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PRコンセプト性、ノイキャン、音質の3要素で徹底解説

高機能、なのにスマート。値下げでさらに注目の“今買うべき”ヘッドホン「Sonos Ace」をVGP審査員3名がクロスレビュー

公開日 2025/08/01 08:00 鴻池賢三/岩井喬/海上忍
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巧みな低域コントロールでナチュラルサウンドを実現

筆者:VGP審査員/ライフスタイル分科会副座長 岩井喬

Sonos Aceはカスタム設計の40mmダイナミック型ドライバーを積み、一般的なステレオ音源から空間オーディオコンテンツまで、幅広くカバーできるバランスに優れた音質を有しており、アクティブノイズキャンセル(以下、ANC)機能を有効にした状態での低域の制動性の良さも特徴である。

加えてaptX losslessやaptX adaptiveといった高音質コーデックにも対応するので、CDクオリティのロスレス音源やハイレゾ音源もBluetooth環境で楽しめることもポイントが高い。

Sonos Aceの内部構造。ドライバーは音質はもちろん、デザインやノイキャン性能まで高いレベルで満たせるよう設計されている。ドライバーだけでなく、キャビティの設計やドライバーの設置方法に至るまで徹底してこだわっている

そのサウンドは音像の芯を的確に捉え、高域方向の刺々しさを抑え込んだ滑らかで耳当たり良いものである。なかでも中域から低域にかけての制動性や階調表現においては、ANCヘッドホンのなかでもトップクラスの実力を持つ。

ノイズキャンセル機能と音質について、関係性がないと捉えている方も居られるかもしれないが、特に低域の表現力についてはノイズキャンセル機能が大きく関係している。キャンセルを行う騒音には低域のエネルギーが非常に多く、その成分を逆位相にしてドライバーで駆動させるには、大きな振幅運動に対応できるよう設計せねばならない。結果として低音が鳴りやすいドライバーとなるため、その制動性が課題となる。

ゆえにノイズキャンセル性能と低音の再現性には密接な関係があるわけだが、Aceにおいては耳障りな騒音をANC機能で抑えながら、低音も十分に深く豊かに表現。加えてキックドラムやベースといったパートごとの輪郭も適切に感じられる、確かな低域方向の階調表現を両立している。

AndroidスマートフォンからaptX adaptiveコーデックで接続し、試聴を行ったが、クラシックのオーケストラもANC機能による音場の静寂感の向上により、弱音パートの旋律も鮮明に描き出す。ハーモニーの柔らかい音伸びや、木管パートや太鼓の胴鳴りのふくよかな響きも丁寧に捉え、管弦楽器の潤い良く爽やかな旋律もスッキリと浮き上がる。

ロックのリズム隊はベースラインが際立ち、余韻も滲まず歯切れが良い。キックドラムのアタックで感じるエアー感も自然に表現し、エレキギターのボディも存在感良く引き出す。特にパワーコードの厚みと、ピッキングの軽やかな対比は聴いていて気持ちが良い。ボーカルは肉付き良くナチュラルなトーンで、潤い良く滑らかな口元の動きが印象的。シンバルやピアノの澄んだ響きも曇ることなく涼やかに浸透してゆく。

低域の適切なコントロールができるからこそ、高域方向のヌケの良さ、繊細な表現もマスクしない、ナチュラルなサウンドが実現できるのだろう。


(協力:Sonos)

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