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PRフラグシップモデルの音質をVGP審査員がチェック

その音質、JBL史上最強! 最新フラグシップヘッドホン「Tour One M3」を徹底レビュー!

公開日 2025/06/18 09:56 岩井 喬
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リアルタイム補正機能で盤石になったノイズキャンセリング機能

史上最強となった2つ目の理由、機能面の強化である。特に第3世代となってより盤石な構成となったのがアクティブ・ノイズキャンセリング機能である。周囲の環境や個々の耳の形状、装着状況を瞬時に把握し適応する、リアルタイム補正機能を新しく備えた「ハイブリッドノイズキャンセリング2.0」を搭載。

従来6基のマイクを装備していたが、Tour One M3では10基のマイクを装備し、アクティブ・ノイズキャンセリングには8基のマイクを活用する。片耳当たりハウジングの前後、上方向にそれぞれ3基のフィードフォワードマイク、ハウジングの内側に1基のフィードバックを用いたハイブリッド構成だ。

マイクは外側に4基、内側に1基、左右合わせて10基搭載する。写真の1〜3はノイズキャンセリングに使用するが、3は通話と兼用する。4は通話専用のマイクだ

ハウジングやプロテインレザー製イヤーパッドの形状や素材などの工夫により、パッシブ状態での遮音性能も高まっているが、新たなハイブリッドノイズキャンセリング2.0では従来モデルからほぼ全音域、最大約13dBも強いノイズキャンセル効果を実現したという。
M3に進化するにあたり、内部構造とイヤーカップのデザインは刷新されている。バッテリーや基板など内部容積が限られるBluetoothヘッドホンだが、音質に影響する独立した音響チャンバーも確保している

音質に関わる機能として、独自の空間サウンド機能の強化も注目に値する。従来よりもさらに計算能力の高いチップセットを備え、アルゴリズムの最適化を実施。キャリブレーションも可能なヘッドトラッキング機能を新たに採用したほか、音楽、映画、ゲームという3つのモードそれぞれに最適なチューニングを行い、自然で没入感あるイマーシブサウンド体験が得られるようになっている。

音が前方に固定され、擬似的に頭の外から音が聞こえる状態になるヘッドトラッキングの効果を最適化する機能も新しく搭載。操作も3ステップで済むので簡単だ

アクティブノイズキャンセル有効で最大40時間、アクティブノイズキャンセル無効では最大70時間の長時間駆動を実現している点も特徴の一つで、5分の急速充電でも5時間駆動が可能だ。

TOUR ONE M3にはスマートトランスミッターが同梱されるSmart TXモデルも用意されたこともトピックだ。Tour Pro 2で初採用となったタッチディスプレイからの操作機能を取り入れたトランスミッターは、無線送信機能を持たないゲーム機やTV、航空機内のエンターテインメントシステムなどの音声を低遅延なLC3コーデックでTour One M3へ送信できる。入力はUSB TypeCケーブルを使用。このトランスミッター単体では最大18時間使用できる。

スマートトランスミッターの基本的な使い方は、アプリを開かないと操作できない空間オーディオの設定や楽曲・音量操作などを手軽に行うこと。利便性が格段に向上するアイテムだ

写実性の高さと量感ある低音再生を両立したリッチなサウンド

TOUR ONE M3とスマートフォンとをLDACで接続して試聴した。フラグシップモデルらしい写実性の高さと、トレンドにも即した低域の量感豊かな再現性を両立した、リッチなサウンドを聴かせてくれる。楽器や声の質感にはハリがあり、艷やかかつスムーズに再生する。音像もしっかりと感じられる安定感のある描写を感じることができた。

ノイズキャンセリングの効果だが、地下鉄車内ではモーター音やトンネル走行時の中低域ノイズを中心に抑え込み、音場の静寂感を効果的に演出。再生音量を下げてもボーカルのニュアンスや低域パートの密度感、アタック感、低域の階調も見通すことができた。筆者のような男性が使用しても側圧を抑えた装着性で、長時間のリスニングもストレスなく快適に楽しめた。

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イヤーパッドには高品質のプロテインレザーを採用。新しくなったアーム設計と相まって、パッシブの遮音性能も高まっている
空間サウンドも動画やドルビーアトモス配信の楽曲で試してみたが、映画館のような広めの空間を彷彿とさせる残響表現と、ハリがありつつ滑らかに描かれるリアルな音像の明瞭さによって、マイルドになり過ぎないバランスの取れた心地よい包囲感が得られる。

様々な音楽ジャンルを聴き込んでみた。ハイレゾ音源で聴くクラシックは、管弦楽器の旋律がよく分離され滑らかな表現。ローエンドまで厚みのあるハーモニーを再現する。音場のS/N感もほどよく感じられ、太鼓のアタックもスッキリと見通せる。

ロックのリズム隊は分厚く存在感があるが、音場を覆い隠すようなことはなく、他の楽器パートもヌケがよくクリアに描き出す。キックドラムのエアー感など、細やかな描写も丁寧に再現。ボーカルやギターも滑らかかつ鮮やかにエッジを立てて表現する。

女性ボーカルの生々しい息継ぎのニュアンスも鮮明に引き出し、リアルさも申し分ない。ポップスのストリングスやピアノも透明度が高く爽やかに表現。ベースの豊かさ、密度の濃さとのコントラストもバランスよくまとめられている。

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イヤーカップにタッチセンサーが搭載されるほか、音量調整などよく使用する操作は物理ボタンが採用されている

高音質に一切の妥協なし! JBL史上最強にふさわしいクオリティ

JBLのヘッドホンは世代を重ねるごとに表現力、解像度、バランスのよさに磨きがかかり、精度の高いサウンドを獲得してきた。Tour One M3は音質のよさ、高い機能性の両面において、一切の妥協がないプロダクトに仕上げられている。まさにJBL史上最強の名に相応しいクオリティを持つ、満足度の高いアイテムだ。

■Tour One M3と前作Tour One M2との主なスペック比較

型番 Tour One M3 Tour One M2
ドライバー 40mmマイカドーム 40mmPU+LCP
LDAC対応
空間オーディオ ◯(ヘッドトラッキング付き)
パーソナライズ機能 Personi-Fi 3.0 Personi-Fi 2.0
有線接続 USB Type-Cによるデジタル接続 ステレオミニによるアナログ接続
ノイズキャンセリング機能 新リアルタイム補正機能付きハイブリッドANC2.0

リアルタイム補正機能付きハイブリッドANC

マイク数 10 6
通話用AIアルゴリズム
最大連続再生時間 70時間 50時間
急速充電 5分で5時間 10分で5時間

(提供:ハーマンインターナショナル)

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