HDMIケーブルの音質アップならAudioQuestで間違いなし!厳選4モデルのサウンドを聴き比べ

テレビ周りのケーブルとして必須アイテムとなったHDMIケーブル。近年は、音声信号の送りと戻しが可能となったARC/eARC機能の登場によって、テレビとサウンドバーなどのオーディオ機器をHDMIケーブル1本で接続できるようになり、従来以上にHDMIケーブルの重要性が高まっている。
それに応じて、ARC対応のHDMI端子を備えたプリメインアンプなど、Hi-Fiオーディオ機器も着実に増えてきている昨今だが、となれば「HDMIケーブルって音質に影響するのでは?」と気になってくる方もいらっしゃるだろう。
そこで今回は、2025年で創立45周年を迎え、長年Hi-Fiオーディオファンの信頼を勝ち得ているオーディオケーブルブランドである、AudioQuestがラインナップするHDMIケーブルで、どれほどの音質アップが図れるのかを検証してみた。
AudioQuestは、徹底的に高音質に特化したハイエンドモデルから、付属ケーブルからもう一段音質を上げたいと試みている入門者に向けたモデルまで、幅広いラインナップを揃えていることも特徴であるため、本稿では「Pearl 48」「Cinnamon 48」「Carbon 48」「Vodka eARC Priority」といった、エントリークラスからハイミドルクラスのHDMIケーブル・比較レビューをお届けしよう。
信号の安定化と徹底したノイズ対策はHDMIケーブルでも優位性を発揮
同社ケーブルは、撚線による素線間の相互作用よる信号の乱れを回避するため、単線導体を採用していることが特徴的。HDMIなどデジタル伝送においての信号の乱れは、エラー増加という絶対悪につながるので単線の優位性は、特に発揮されるだろう。
加えて、音質の安定性を重視して硬質な外装も採用。単線かつ、硬質な外装によって、柔軟性が少なく取り回しが難しいが、それでもなお多くのユーザーに選ばれている事実こそ、AudioQuestのクオリティが認められている証しだ。

特徴的な技術としてはもうひとつ、方向制御によるノイズ対策がある。導体自体が持つ方向性を考慮した設計により、ノイズ混入を抑え込むというそれが同社ケーブルのノイズ対策の基礎。端子部には、信号方向を示す矢印が確認でき、HDMIケーブルの場合はテレビ(出力)からアンプ(入力)の向きで接続する。さらに方向制御を土台に、レベル1から6のノイズ消散も用意している。無線信号が飛び交う現在において、ノイズ対策の有無は重視すべき項目だ。

今回の取材では、パナソニックの4K有機ELテレビ「TV-55Z90A」でNetflixやYouTubeの映像コンテンツを再生。音を受けるプリメインアンプにはマランツの上位機種の技術を継承したミドルクラスのネットワークプリメインアンプ「MODEL 60n」、そこからBowers & Wilkinsのハイグレード・フロア型スピーカー「702 S3 Signature」を組み合わせたシステムをリファレンスとした。


「Pearl 48」〜音の厚みと柔らかさが際立ち、セリフの肉声感が増す

最も手頃な価格のエントリーモデル。主信号導体とeARC導体には、高純度銅の一種であるLGC(ロング・グレイン・カッパー単線)を採用。グランド導体には錫メッキ銅、PVC被覆に「レベル1」(方向制御)のノイズ対策を導入している。
導体素材の面ではベーシックなモデルであり、単線や方向制御といった基本設計部分の効果が特にわかりやすいモデルともいえるだろう。

基準として先に聴いたテレビ付属品グレードのケーブルと比べて、音の厚みと柔らかさが際立ち、Netflix『地面師たち』ではそれが特に効果的だった。付属ケーブルでの機械的なまでに冷たく硬質な声だったが、Pearl 48で聴くと人の声としての肉声感が増し、本作品の大切な要素である「人間って怖い」感が強まる。
Netflix『シティーハンター』では音像と空間の映画的大柄さ、音楽再生ではアコースティック楽器の木質の温かみもよく引き出してくれた。

