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PR「SA30」「CDS50」で英国スピーカーをドライブ

溢れ出る音楽性。ARCAMコンポーネントでブリティッシュオーディオを愉しみ尽くす

公開日 2023/12/21 06:30 山之内 正
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イギリスの音楽ファンは、生活空間にさりげなく溶け込むオーディオを選ぶのが得意だ。サイズとともに重要なのが品質で、音が良くシンプルな製品ほど人気があり、長く愛用する人が多い。無類の音楽好きがオーディオ文化を支える土壌があり、彼らの要求を満たす専門メーカーが確実に根付いているのだ。

音楽ファンの期待に応えるイギリスのブランドとして、最初に思い浮かぶのがARCAMだ。1976年の創業以来、いまも変わらずケンブリッジに本拠を置いて、良質なアンプやデジタルプレーヤーを開発し、リーズナブルな価格で提供し続けている。ケンブリッジは大学を中心に豊かな文化を育んできたが、近年はオーディオをはじめとするエレクトロニクス産業が盛んな地域としても知られている。最先端を切り開く気風が際立つ土地柄なのだ。

ARCAMの開発姿勢にもその気風が強く現れている。英国初のCDプレーヤーを開発したり、単体のDAコンバーターを初めて投入するなど、他社に先がけて新領域に挑戦し、ネットワークオーディオへの参入も早かった。その流れを受けて開発された現行モデルで具体的な成果を見ていこう。


■音質と高効率の両立。ARCAM製品の設計哲学に迫る


今回紹介するプリメインアンプの「SA30」は2019年に発売され、現在もラインナップの中核に位置する重要な製品だ。そのSA30が積んでいるアンプ回路「クラスG」は、同技術を初めて採用した製品が2009年に発売されているので、すでに10年以上の実績を積んでいる。クラスG技術は小出力時にはクラスAアンプとして動作し、大出力ではクラスABで駆動するハイブリッド方式のアンプで、音質と高効率の両立を狙っている。

プリメインアンプ「SA30」



同様なアプローチは他社にも例があるが、大型のパワーアンプではなく、スリムなプリメインアンプで実現していることに注目すべきだろう。SA30はクラスG技術を導入することによってチャンネル当たり130Wの大出力を実現しており、姉妹機の「SA20」も最大出力を90Wに抑えてはいるものの、上位機種同様にクラスGアンプを載せている。いずれも実用領域の音量ではクラスAアンプならではの歪の少ないサウンドが得られ、瞬発的な大出力でもブレのない音を引き出すことが大きな強みだ。

SA30はデジタル入力が充実していることにも特長がある。同軸と光を各2系統装備することに加え、HDMI(eARC)端子を介してテレビやBDプレーヤーの音声を高音質で再生する用途にも対応する。同機能は国内メーカーの製品にも採用例が増えてきたが、SA30の方がひと足早く実現していたことになる。早い時期からAVアンプにも取り組んできたARCAMらしい視点で、リビングルームのオーディオ環境をユーザー目線で見直した成果でもある。

「SA30」背面部。豊富なデジタル端子だけでなく、 MM/MC対応のフォノ入力も備えている

SA30やSA20と同時期に発売されたCD・SACDプレーヤーの「CDS50」も、ラインナップの中心に位置する重要な製品に数えられる。最近はSACDプレーヤーの価格上昇が著しく、10万円台半ばで購入できる製品は貴重な存在になってしまっただけに、このプレーヤーの存在価値は非常に大きい。USBメモリーやネットワーク音源も楽しめるマルチソースプレーヤーなので、発売から4年を経た現在もその価値は色褪せていない。

CD・SACDプレーヤー「CDS50」



いずれのプロダクトも音楽性を第一としたブランドフィロソフィー「Music First」を体現したものとなっている。その高い音楽性は技術開発力の賜物といったところだが、ARCAMのコンポーネントを語る上では、スマートなデザインとスリムな筐体サイズも外せない。リビングルームのオーディオとして導入しやすいサイズ感、主張せずにインテリアに溶け込むデザインも、音楽を楽しむ上で重要なキーというブランドメッセージが込められているようだ。

ちなみにARCAMは2023年秋に新ラインナップとしてRADIAシリーズを発表し、その新シリーズにもプリメインアンプ、CDプレーヤー、ストリーマーが揃っている。日本でも近日中に登場する見込みなので、そちらも楽しみに待ちたいところだが、まずは現行シリーズの音を実際に聴いてみることにしよう。

グローバルでは「RADIAシリーズ」を発表。日本での展開も期待される。プリメインアンプ「A5」(写真上)CDプレーヤー「CD5」(写真下)

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