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【特別企画】アナログやストリーミング再生にも効果あり

TIGLONの超薄型ボードで生演奏のようなリアリティを実現。「D-RENシート」の実力を検証

公開日 2023/11/30 06:35 林 正儀
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ティグロンの創立15周年記念モデル、その第1弾となる「D-RENシート」。わずか1.4mmの薄さのなかに、チューニングスペーサー「D-ren Pro」の複合共振抑制技術と、サンシャイン社の「Bシート」の制振効果が封入されている。その技術と音質変化を探ってみよう。

TIGLON オーディオボード「D-RENシート」

落ち着きあるブルーの薄型シート。制振と帯電防止を実現



TIGLONのオーディオボードといえば、高級ロシアンバーチとマグネシウムを複合させたプレミアム級の「TMB-300」や仮想アース付きの「TMB-DR20E」がお馴染みだが、今回は超薄型シートの新製品をレビューする。創業15周年の第1弾モデルとして登場した「D-RENシート」だ。

型名の“DRS”はD-RENシートの略。「D-REN」はダイナミックレンジエンハンサー(Dレンジを拡張する)だが、これは同社のインシュレーターの中でも世界的に評価が高いチューニングスペーサー「D-REN Pro」からの手法とコンセプトを引き継ぐものだ。高い電磁波シールド性能と振動吸収性能を併せ持つ“複合共振止め”の特効薬として、筆者宅でも活躍中である。

さて本作「D-RENシート」は落ち着きあるブルーの制振鋼板だ。厚さ1.4mm鋼板で0.8mmと0.6mmを特殊技術でプレスしたものだ。

右は大型の「DRS-50」(17,600円/税込)、左は中型の「DRS-40」(16,500円/税込)。他に小型の「DRS-20」(13,200円/税込)もラインナップ

前述の「D-REN Pro」ともうひとつ、大ヒットを記録したサンシャインのBシート(生産完了)の制振効果を複合させたのが本モデルとなる。サイズなどはすべて同じであるが、その貼り合わせの細かな技術や「マグネティックゼロプロセス」と呼ぶティグロン独自の処理技術が大きく異なる。

「マグネティックゼロプロセス」について少し補足しよう。新たな独自技術で一切非公開。ブラックボックス化した企業秘密だ。磁気を制御して鋼板の金属特性を整える装置であるらしい。価格を抑えた世界戦略モデルだが、どんなレベルに仕上がったかそれは試聴してのお楽しみだ。

わが家に届いたのは大、中、小の3モデルだ。薄いが硬く重さがある。ノックしてみるとコッコッという好ましい音が……。1.4mmという薄さでありながら、どう音をチューニングしていくのか? 物理的な効果としては強力な制振と磁気の制御。さらに帯電防止効果も期待できるという。

ノイズ成分がすっきりと消え、立体的表現も増大する



試聴は、まずCDプレーヤーの下に本品を敷く。超薄型のため、ラック内でも使えるのが便利で、隙間なくピタっと密着する。機器本体がしっかり安定する好ましい感触だ。ちなみに表裏の区別なく音質を追い込んだようで、前後や向きなど気にせずセットできるのが嬉しい。

明らかに微振動が収まる。複合共振による濁りや各種のノイズ成分がすっきりと消えてしまう感触だ。耳障りな付帯音たちは一体どこへ行ったのか。生演奏のように何もないところに声や楽器がしかるべき位置に存在するのでハッとするほど生々しい。彫りの深い奥行きと立体イメージも実にすばらしい。

最新のクラシック録音など聴くと、ローレベルが格段に澄みきる。「マグネティックゼロプロセス」が効いたのか、強弱の対比がより正確。これによって音圧が上がり、大音量域での放出エネルギーをぐっと高める作用がある。もちろん手持ちのボートとの併用もでき、ラックの隙間にさしこむだけで手軽に大きな効果が引き出せる。強力な助っ人だ。

アナログプレーヤーがまた劇的だ。LP12からナチュラルでみずみずしい弦のハーモニーを引き出し、プレーヤーをアップグレードしたかのような高揚感に浸ることができた。

最後にネットワーク再生だ。始めたばかりのamazon musicが、実に清々しくナチュラルなハイレゾ再生で、BLUESOUND+AYRE「QB9」の下に小型サイズのシートを敷くと、アナログ再生とも遜色ない。

ふんだんに技術を入れつつ、低く価格を抑えた世界戦略モデル。海外でも人気が出ているようで、15周年を祝う大ヒット作となりそうである。まずは導入し、機器や場所に応じて使いこなして欲しい。

(提供:ティグロン)

本記事は『季刊・Audio Accessory vol.190』からの転載です。

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