この音ならずっと使いたい。7.1.4ch対応サウンドバー「AMBEO Soundbar｜Mini」のトレンドに左右されない普遍的な魅力

■自然な音場を形成する密度の高いサウンド、安定感ある低音は普遍的に楽しめる

試聴では55型液晶TVに本機をHDMIで接続。Netflixでコンテンツを再生してみた。音場の広がりは自然でTVを中心に半円状に音が展開している。セリフなどの声のトーンも肉付きを確保した安定感のある描写だ。輪郭を強調することなく、密度良い表現であり、派手さはないが、映画をはじめとしたコンテンツを長時間楽しむには最適な、疲れにくいサウンドといえる。

まず5.1ch音声で配信している『ボヘミアン・ラプソディー』から、ライブエイドのシーンをチェック。呼び込みMCの声も奥の方からふわりと浮き上がり、臨場感豊か。スタジアムの歓声も極端な方向性を持たせず、頭の周囲を包み込むような聴こえ方であり、適度な厚みがある。ボーカルは低域方向まで自然に捉え、口元のハリ感もスッキリと表現。バンドのリズム隊も密度良く押し出す。エレキギターもコシが太く安定傾向だ。

続いて『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』も確認してみたが、SEの丁寧かつリアルな描写とともに、BGMの瑞々しいオーケストラが爽やかに浮かび上がり、物語の没入感をより一層高めているようだ。セリフも口元のエンハンス感を抑え、ボディが響くさまを実感。低重心で落ち着きがある。

さらにステレオ音源の『Hikaru Utada Live Sessions from AIR Studios』から「One Last Kiss」も見てみたが、シャキッと立ち上がるボーカルの凛々しさが印象的で、リヴァーブ成分も適切に聴き取れる。ボディの自然な厚みと優しいハリ感が穏やかさを演出。シンセの粒立ちの良さ、ベースラインの逞しさ、キックドラムの密度の高さもしっかりと感じ取れ、セッションの空気感を緻密に描き出す。

最後にDolby Atmosコンテンツも確認。『トップガン マーヴェリック』はBGMの回り込みや、戦闘機の回転に追随するSEの動きも自然で、ジェットエンジンの音も密度が高い。上方向の浮き上がりも適度に感じられ、没入感も十分だ。爆発音はピーキーさを抑えつつ、質感は細やかに捉えており、くぐもることはない。重低音を響かせる、派手に聴かせるという方向性ではなく、破裂音のアタックを密度良く引き出しており、低音がボンボンと過剰に主張しない。セリフも重心が低く、厚みと明瞭さをバランス良く保っている。

そして『エルヴィス』から「サスピシャス・マインド」のくだりも確認したが、ボーカルやセリフのトーンの自然さ、ハリ良く明瞭で分離も良い。ストリングスやエレキギター、女性コーラスの描写もヌケ良く細やかで、広がりも豊か。ステージ上の演奏のさらに周囲から包み込む歓声もスッキリと耳に届く。これ見よがしに音場の広さ、移動感を引き出すのではなく、過度な演出とならないよう、穏やかに包み込む音場再現を信条としているようだ。

ちなみに『Smart Control』アプリ内にあるAMBEOデモも聴いてみたが、効果のON／OFFがわかりやすく、TVの位置からさらに奥側の天井方向、頭の上方向での音の広がり、定位感も実感できるほど、ナチュラルかつシームレスな立体音場を体感できた。Dolby Atmosだけでなく、より多くのAMBEOコンテンツも楽しんでみたいと思わせるものであり、このコンパクトな筐体でも上位機に引けを取らない空間再現性を持つことにも驚いた。

AMBEO Soundbar｜Miniの持ち味である本格的なナチュラル志向のサウンドは、トレンドに左右されない普遍的なものといえる。サイズを超えた密度の高い空間の広がりも魅力であり、専用ルームではないリビング環境であっても、自然で臨場感のあるサラウンド体験をもたらしてくれるであろう。一体型サウンドバーとしては安価ではないが、上位機譲りの技術力を詰め込んだ取り回しの良い実力機として、買い替えの必要性も感じさせず、長い時間共に歩んでくれる存在と考えれば高すぎることもないはずだ。手頃感が増したAMBEO Soundbarシリーズの新たなエントリーモデルとして、注目に値する一台だ。

（提供：Sonova Consumer Hearing Japan）