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PR複数台での「スタックモード」は圧巻

心震えるMarshallサウンドがどこでも聴ける!「Middleton」はポータブルスピーカーの域を超えた逸品だ

公開日 2023/08/31 06:31 草野晃輔
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「スタックモード」は一聴の価値あり。重ね置きや対角配置で迫力&没入感アップ



続いて、もう1台Middletonを用意し、スタックモードを試してみよう。2台目の電源をいれて、Marshall Bluetoothアプリから「スタックモード」を選択するか、もしくは本体のBluetoothボタンを3回押すと「スタックセッション」がスタンバイモードに入る。この時、2台目のBluetoothボタンを2回押すと、同一のセッションに追加され、この状態でスマホから楽曲を再生すると、同じサウンドが連動して流れる。

アプリ、または本体Bluetoothボタンからの操作で2台以上を接続する「スタックモード」が使用可能

スタックモードという名の通り、2台を縦に重ねて「Don’t Look Back in Anger」を再生する。1台で聴くよりも音の密度が濃く、ギターの音色もより音像が立体的に感じられる。サビでは、溢れ出すようなエネルギー感があり、迫力が数段増している。音場は一回り大きくなった印象だ。

今度は1台を壁際のカウンター、もう1台は2メートルほど離れたダイニングテーブルに向きを90度変えて置く。同じく「Don’t Look Back in Anger」を再生すると、こちらは音場の広さが格段にアップ。スピーカーの存在を感じられなくなるほど、音の中に没入する。音の密度は1台以上、2台を縦に重ねた時未満といったイメージだ。

より迫力あるサウンドを味わうなら縦に並べて、音場に入り込みたいなら離して置くといったように、気分や聴く音楽によって配置を気軽に変えるとよいだろう。

この音場を体験し、ある曲が思い浮かんだ。Marshallアンプを愛用していたことでも知られるジミ・ヘンドリックスの「Purple Haze」のライブ映像だ。1970年に行われた「アトランタ・ポップ・フェスティヴァル」を収録したもので、YouTubeの公式チャンネルで公開されている。

これをスマホから再生すると、心が震えるような荒々しい熱量たっぷりのサウンドが空間を支配する。まるで架空の怪物がステージで暴れ、咆哮しているような迫力だ。筆者の語彙力が拙く、これ以上に表現できる言葉が見つからない。論より証拠、是非一度この曲をMiddletonで聴いてほしい。

スタックしての音はまさに圧巻。是非とも試してみてほしい

近所の公園にMiddletonを持ち出し、屋外での音楽再生もテストしてみた。公園には入口付近にキャッチボールなどができる広さがあり、小中学生らしき数名が運動をしている。奥は森のように木が生い茂っており、今回は木陰にあるベンチに座って聴くことにした。

ロックからジャズまで数曲を聴いたところ、室内と同じとまでは行かないが、音場空間が広く音に浸透力があるためか、周囲の騒音に負けず音楽を楽しめた。強い風が吹くと、音がかき消されそうになるものの、まったく聴こえないということはない。ボリュームを大きくすれば解消できるが、騒々しいと迷惑になってしまう。そんなときは、本体のコントロールボタンで低音と高音を調整すると聴きやすくなるので、是非活用されたい。

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Emberton II/Willenもチェック。小さくても立体感たっぷり、演奏の厚みを再現



室内に戻り、Middletonの弟分にあたるEmberton IIとWillenも聴き比べた。Emberton IIは、Middletonより小さいものの、前後からサウンドが出力されるため、全方位に音が広がる。本体とあまり離れてしまうと、密度感や迫力が削がれるため、距離は1m - 1.5m程度までがベスト。自室や書斎で部屋の中心に置いて楽しむのにちょうど良い。

オアシスの「Don’t Look Back in Anger」は、低域が過度の主張はないものの、十分な厚みがある。ギターの音色は艶っぽく音色が艶やか。実力を伴わない製品だと、どこかぶっきらぼうに聴こえやすいボーカルは、人のぬくもりが感じられるほど立体的だった。

東京事変の「遭難」は、よどみないメロディラインと、躍動感に溢れた演奏が魅力の1曲。リードギターは、一聴するとクリーンで軽い音に感じられるが、実は重々しく曲全体に鳴り響く。この音の厚みを描く表現力を、Emberton IIが備えていることが分かる。

最後に最小モデルのWillenを試す。小さくても瞬発力のある中高域はMarshallサウンドそのもの。低域がグイグイと前に出ず、ややタイトに感じられるものの、小さいから迫力が落ちているわけではなく、聴きやすさを重視したサウンドといえる。

オアシスの「Don’t Look Back in Anger」は、中高域の表現力がないと薄っぺらな音になりやすい。その点、本機は同サイズのBluetoothスピーカーとは一線を画す、厚みと奥行のある音を味わわせてくれる。

邦楽からはASIAN KUNG-FU GENERATION「リライト」を選択。AメロとBメロは歪みの少ないクリーンな音色が中心、それ以外はディストーションをかけた分厚いサウンドが中心とメリハリのあるギターサウンドが特徴。全体的に引き締まった音像のため、このメリハリをきちんと描き分けられていた。

下からMiddleton、Emberton II、Willen。機能やサウンドはそれぞれ異なってくるが、Marshallらしいサウンドはどれも健在



Middletonが鳴らす、アタック感のある熱量高いサウンドは、聴いていて率直に楽しかった。Emberton II、Willenも、多少バランスの違いはありつつ、Marshallらしいサウンドは共通している。

圧巻はMiddletonを2台使って試したスタックモード。試聴を終えて時間が経った今でも、ジミヘンの迫り来る濃厚なサウンドが耳に残っている。予算が許すなら、ぜひMiddletonを選んでほしい。2台あればベストだが、1台でもBluetoothスピーカーのイメージを良い意味で壊してくれるだろう。

(協力:完実電気)

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