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売れ筋完全ワイヤレスイヤホンで検証

新感覚の付け心地と音調変化、オーディオテクニカのイヤーピース「AT-ER500」は使いこなしがいがある

公開日 2023/07/19 06:30 高橋 敦
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■これまでにない音調変化、使いこなしがいがあるイヤーピースだ



音質の変化は、同社完全ワイヤレスイヤホンからフラグシップ「ATH-TWX9」と重低音モデル「ATH-CKS50TW」にて、標準付属のシリコンイヤーピースとの比較にて検証。前者では付属の複数種類から軸の長さがAT-ER500に近いStandardをセレクトして比較した。

ちなみに装着互換性については「オーディオテクニカがこれまで販売した、すべての完全ワイヤレスイヤホンに取り付けることができます」とのこと。同社製モデルのノズルは段差付き形状ではあるが径や長さは標準的なので、他社イヤホンへの流用も期待は持てそうだ。

AT-ER500各サイズの寸法イメージ

ATH-TWX9との組み合わせで特に際立つ変化は高域側。音の感触をややソフトにしつつ、音像や定位の明瞭度は損ねないどころかむしろ高めてさえくれる。耳への当たりの強い成分や音のキレを鈍らせる余計な響きははよい感じに吸収され、しかし音の明瞭度に関わる成分まで吸収されることはない。そんなイメージだ。

「ATH-TWX9」と組み合わせてサウンドを確認

その変化は星街すいせい「Stellar Stellar」のようなエレクトリックサウンドでは特にわかりやすかった。標準イヤーピースでのカチッとした表現もありだが、AT-ER500では音に柔らかさが与えられて曲全体の印象もしなやかに。その上で音の配置の明瞭度は高まり、空間表現がさらに冴える。もちろんアコースティックな楽曲でも好感触。鈴木大介のソロギター演奏「Over The Rainbow」では、ナイロン弦のしなやかさとホールの響きの柔らかさをより引き出してくれた。

またダミーヘッド収録ASMRとの相性も抜群。囁き声や吐息はより柔らかな耳当たりに、ダミーヘッドマイクならではの距離感や移動感はより明瞭に、という具合だ。

ATH-CKS50TWでは低音側の変化をより強く感じられた。超低域から低域まで豊かに含むRobert Glasper Experiment「Human」では、まずベースやバスドラムのボリューム感がグッとアップ。これは耳によりフィットして密閉度が上がったからだろう。

「ATH-CKS50TW」との組み合わせでは低音側の変化に特徴が

だが大切なのはここから。そのように低音を増量しつつ、その低音がボワンモワンと飽和することはなかったのだ。豊かで良質な量感表現! この変化は重低音ホンのファンにこそ響くはず!

おそらく、密閉度向上での量感アップとアブソートマーの振動減衰性の合わせ技でこうなるのだと思う。三井化学の資料によると、アブソートマーは低い周波数に対してほどより大きな損失率を発揮するとのことで、なるほどだ。

この、これまでにない音調変化には、マニアックなイヤホンファンこそ使いこなしがいを感じられるだろう。一方、これまたこれまでにない装着感はイヤピ交換初挑戦な方でもわかりやすく体感できるはず。あなたがどちらであれ、注目に値するイヤーピースだ。ぜひその耳で試してみてほしい。

(提供:オーディオテクニカ)

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