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フレッシュ! 深セン通信 vol.3

グラス型モバイルディスプレイ「VITURE One」にファブレス開発のいまを見た

公開日 2023/06/02 06:30 海上 忍
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■WeChatで聞いてみた



SwitchをUSB-Cケーブル1本で接続できるディスプレイは、オンライン専売モデルを中心にいくつか見かけるが、モバイルバッテリーにSwitch対応(?)機能を組み込むというアプローチはかなり斬新。視度調整機能も実用的で、メガネの二重掛けというゲームで遊ぶにはストレスな行為を回避できるから、これまでグラス型ディスプレイを忌み嫌っていた層にもアピールすることだろう。

それにしてもこのVITUREという企業、商品企画力もさることながら開発力がある。伝手を頼り開発チームにWeChatでコンタクトをとること成功したので、視度調整機能はどのように実現されているのかなど、気になった点をいくつかぶつけてみた。

VITUREの北京R&Dセンター。ファブレス企業らしく、小ざっぱりとしたオフィスで製品開発が行われている(写真提供:VITURE)

-- 本製品の特徴のひとつに「視度調整機能」があります。どのような仕組みで実現しているのですか?

VITURE:VITURE Oneでは、肉眼の約8m先に仮想映像を投影します。度付きメガネで近視の人がモノを見ることができるのは、対象物を自分に近づけるような効果があるからですが、そこで私たちは光学系を工夫することで仮想スクリーンを手前に近づける機構を開発しました。なにより大変だったのは、光学系の可動部を作ること……かなり高精度だからです。見た目はシンプルなダイヤルですが、実は技術的な工夫を凝らしたものなのですよ。

-- スピーカーの音質を向上させるために、特別な設計を施していますか?

VITURE:スピーカーモジュールとプロセッシングチップ、サウンドアルゴリズムにはHarmanの技術を採用しています。この3つは音質を左右する大切な要素ですから、高い技術力を持つHarmanと協業できたことを光栄に思っています。そして可能な限り豊かでクリアなサウンドを実現するために、キャビティデザインを慎重に設計し、テストを重ねました。

Harmanとの共同開発による超小型スピーカー。意外なほど音漏れが気にならない

-- 音漏れ対策は、具体的には何をしていますか?

VITURE:リバースサウンドフィールドと呼ばれる技術で、振動板の反対側にメッシュ素材が2つ配置されています。これにより逆音場が形成され、耳に届く方向以外の音漏れを相殺するわけです。言い換えれば、耳への指向性のあるサウンドビームを形成しているのですね。なお、我々が実施したテストでは、この技術を採用していないサウンドシステムと比較して、30cmの距離で約12dbの音圧減少が確認されました。

どのようにモバイルドックでSwitch対応を実現したかという質問には答えてもらえなかったが、やり取りの中でVITUREの開発拠点は北京にあると判明。コンシューマエレクトロニクスと聞くと、つい深センや東莞に結びつけてしまいがちだが、HUAWEIやBOEなど北京を本拠地とする企業は多く、開発拠点に至っては上海や青島など複数の都市にまたがることも。部品供給面において深セン/東莞の存在はやはり大きいとのことだが、ことファブレス企業にとって物理的な距離など取るに足りないことなのかもしれない。

本連載は「深セン」を前面に押し出しているが、VITURE Oneのようなユニークな製品であれば北京でも上海でも成都でも大歓迎。渡航しやすくなってきたこともあり、そろそろ現地取材を敢行したいと考えている。ぜひご期待いただきたい。

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