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マランツ「AV10/AMP10」は「まさにハイエンドの音」。注目AVセパレートアンプを評論家が自宅試聴!

公開日 2023/02/24 06:30 山之内 正
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司令室のレーダーや操作盤から発する音が手で触れられそうなほど近くで鳴ることがあり、不意を突かれて驚く。音がスピーカーに張り付かないというより、どこにスピーカーがあるのか、その意識が消えるといった方がいいかもしれない。

作品の印象を変えるほどの衝撃をもたらすサウンドを体感

『デューン 砂の惑星』は巨大なサンドワームと遭遇する場面を観た。砂が渦を巻いて襲ってくる描写は映像よりもむしろ音響で真に迫る恐怖を描いており、AV10とAMP10で聴いたエフェクトのリアリティはまさに別格。砂粒が当たる音やその粒の細かさ、速さの表現が際立っているので、思わず顔を覆いたくなるほどだ。

この作品でも空間の広さと同時に、リスニングポイントに近い位置に自在に定位する音像の現実感にも強い印象を受けた。例えば聴き手のすぐ脇とか手を伸ばした目の前に鮮明な音が浮かぶと、それだけで抜群の演出効果を発揮する。

ドルビーアトモスを採用した初期の作品のなかには音響効果の作り込みが際立つ例があったことを思い出し、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』を久々に再生してみると、記憶していた音響体験を大きく上回る新たな3Dオーディオの醍醐味を実感することができた。以前は派手な音に気を取られていた記憶があるが、重力の制御を失うシーンの現実感をはじめ、満身創痍のエンタープライズの軋みなど、以前は気付きにくかったディテールにも注意が引き付けられるのだ。

AVアンプを変えるだけでここまで印象が変わるとは思っていなかった。このアンプを手に入れたら、少し前の作品を見直し、聴き直すことに没頭してしまいそうだ。

ボリュームノブの操作感も良好

音楽の奥深さを引き出す実力



続いてApple Musicで配信されているワーグナー《ラインの黄金》のドルビーアトモス版を聴いた。1958年にデッカが収録したショルティ指揮ウィーンフィルの名録音だが、昨年行われた最新リマスタリングでは本来の解像度と立体感が蘇り、特にSACDで聴くステレオ音声の鮮度の高さは格別だ。

ドルビーアトモス音源もそれと並行してリマスタリングされたもので、ステレオ音声がスピーカーの位置とその周囲に歌手とオーケストラの音像が定位するのに対し、アトモスでは後方へのステージの広がりが深みを増し、収録時に歌手の配置を工夫して前後の移動や遠近感を表現していた手法を強く印象付ける表現に変わっている。

ニーベルハイムに降りていく場面では管弦楽だけで上下の移動感を再現し、金床や雷鳴など効果音自体にも耳を疑うほどのリアリティがある。その説得力と演出効果の大きさは想像を絶するもので、ワーグナーが創造した音響的世界観は現代の聴き手が想像するより遥かに激烈なものだったと思わせる。ステレオ音源で演奏の真の姿に近付いていたはずなのに、まだ別の次元で引き出せる世界があったということなのだろうか。《ニーベルングの指環》の奥の深さを思い知らされる試聴体験であった。

今回はAV10とAMP10を組み合わせ、ペアでの試聴を中心に音を確認したが、取材期間に余裕があったので、手持ちのプリアンプやパワーアンプと組み合わせ、単独でも両機種のポテンシャルを検証している。それについては機会があればあらためてレポートするが、2台を組み合わせることで発揮する良さに加え、それぞれにそなわる素性の良さを活かしたグレードアップやシステムの拡張も視野に入る。その事実を確認できたことも今回の収穫の一つだ。

(提供:ディーアンドエムホールディングス)

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