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【特別企画】<測定と聴感>で探る最新オーディオの楽しみ

iFi audioと最新GaNデバイスでガチンコ対決!ACアダプターの音質差を徹底研究

2022/08/24 炭山アキラ
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汎用のACアダプターでも、「iPurifier DC2」の導入で音が見違える



それでは、一般的な「音の悪い」ACアダプターは買い替えなければ救済されないのかというと、iFiには有望なアクセサリーがある。「iPurifier DC2」という製品で、ACアダプターの口金へ継ぎ足して使うことにより、内部回路が電源ノイズを検知してそれを取り去るという仕組みの製品だ。要は、iPower IIや同Eliteの内部で行っている処理を、少々簡略化しつつ単体で行っているということである。

iFi audioの「iPurifier DC2」(価格:17,600円→9/1より24,200円)

テストのドナーはもちろん結果の悪かったADTEC「APD-V140AC2」を使用。iPurifier DC2を通して聴くともう完全に世界が違う。RAVPOWERを遥かに凌駕し、iPower IIへ肉薄する音の素直さとS/N感の向上が得られて感激した。単三型乾電池くらいのちっぽけな製品なのだが、これのもたらす音質向上は桁外れのものがある。文字通りの小さな大物だ。

micor iPhono3 BLの電源コネクタにiPurifier DC2を接続してテスト

菅沼さんはもう一つ、何だか凄い物を持ち込んで下さった。音の良い電源レギュレーターとしてネット上で大きな評判となっているアナログ・デバイセズの「Lt3045」というチップを10個並列で使った完成品基板をアルミケースへ収めたものである。

アナログ・デバイセズの電源レギュレーター「Lt3045」を10個並列に並べた基板。並列使用することでRMSノイズを低減する効果があるという。ケースの上にある基板が本体、箱は菅沼氏のオリジナル自作ケース

これをつないで音を聴いたら、iPurifier DC2よりもS/Nは明らかに優れているのだが、何やら少々帯域感が違ってしまったというか、高域方向へ向けて少しだけ音が寂しくなる傾向が看取される。極めて優れたアダプターだが、こと音質という面に限ってはやはりオーディオ用途に特化して設計されたiPurifier DC2に軍配が挙がる。

こちらも測定データを見てみよう。ADTEC「APD-V140AC2」にiPurifier DC2を接続した状態で測ってみると、測定のレンジが一気にiFi製品と同等になり、周波数特性を見てもピークがずいぶん抑えられたことが分かる。

iPurifier DC2の代わりにLt3045・10連レギュレーターを接続してみたら、周波数特性では特に超高域方向の成績が素晴らしく、まったくのノーノイズといってよいレベルに感銘を受けた。しかし、前述した通り音質的にはiPurifier DC2に優位性が見られたので、あくまで私の個人的な推測だが、素子の10パラ接続というのが少々やりすぎなのではないか。もっと少ない素子数の基板も販売されているようだから、そちらもちょっと試してみたくなった。

ADTEC「APD-V140AC2」に「iPurifier DC2」を接続したデータ(上)と「Lt3045・10連レギュレーター」を接続したデータ(下)。オシロスコープの縦軸はm(ミリ)のままで、ADTEC単体より1/10〜1/20ほどにノイズが下がっていることがわかる。特性的には「Lt3045・10連レギュレーター」のほうが有利に見えるが、音質的に帯域感を変えてしまうというのが炭山氏の評価



今回は試聴と測定の両面からACアダプターの重要性に迫ったわけだが、改めてオーディオ用に設計開発された製品群の優位性を強く認識するとともに、GaNタイプのアダプターの中にもそこそこ悪くない製品があり、しかしGaNだったら何でもいいというわけではない、ということも痛感した。

私自身を含め、ACアダプターの世話にならなければオーディオが構築できなくなってしまった、という人は少なくないだろう。今回最高成績を叩き出したiPower EliteもiPurifier DC2も、少しの投資で大きな音質改善効果があることが確認できた。少しずつの投資で、すべてのACアダプターにケアが行き渡った時、上手くすると高級アンプを買い替えたくらいの音質変化がリスニングルームへ到来する。いい世の中になったものではないか。

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