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低遅延のワイヤレス接続に対応

光らないが音の個性は光る、Bang & Olufsenの“高級”ゲーミングヘッドセットをPC/PS5で試した

公開日 2022/05/13 06:30 PHILE WEB編集部
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ゲーミングヘッドホンといえば、虹色に発光する派手なイメージや、少々ゴツい印象を持つ方も多いだろう。最近では光らない製品も増えてきたが、それでも多くが、ブラックの本体色に、頑強そうなデザインだったりする。ゲーマー目線では格好いいと感じてしまうが、ふだんの生活で使うには、やや浮いてしまうのは避けられない。

そんなところに登場したのが、北欧デンマークの高級オーディオブランド、Bang & Olufsenによるゲーミングヘッドホン「Beoplay Portal PC PS」だ。近年は有名オーディオブランドもゲーミング製品を発売しつつあるが、ここまで “ゲーミングらしくない” デザインも珍しい。

Bang & OlufsenのPC/PS5向けゲーミングヘッドホン「Beoplay Portal PC PS」、実力はいかに!?

一見するとおしゃれなヘッドホンなのだが、実際に使ってみた結果、想像以上に「ガチ」なゲーミングヘッドセットとして使えることもわかった。その上で、オーディオブランドらしく、ゲームだけでなく音楽や映像も楽しめるサウンドに仕上がっているのも魅力だと感じた。

今回は、ふだんからWindows PCでゲームする編集部員と、PlayStation 5でゲームを楽しむ編集部員の2名で、本機を試してみた。早速その使い勝手をレポートしよう。

ノイキャン搭載でおしゃれなゲーミングヘッドセット



Beoplay Portal PC PSは、PCおよびPlayStation向けのオリジナルドングルを付属し、低遅延なワイヤレス接続でゲームを楽しむことができるモデル。本体色は3色あり、今回は明るい色合いの「Grey Mist」を使用した。

PCおよびPlayStation向けのオリジナルドングルを用いて、低遅延にワイヤレス接続することができる

ほかの2色は、フェイスプレート部のゴールドも印象的な深いブルーの「Navy」、柔らかい印象も感じられる上質な黒がベースの「Black Anthracite」をラインナップ。デザインもさながら、カラー展開もいわゆる “ゲーミングヘッドセット” とは一線を画している。

「Black Anthracite」(左)、「Navy」(右)

音質面では、ネオジム磁石を使用した40mmドライバーを搭載しており、そのサウンドはエンターテインメントコンテンツに最適化したチューニングを施したという。

新世代のアダプティブ・アクティブ・ノイズキャンセレーション技術を採用した点も特徴。ゲーミングヘッドセットでノイズキャンセリングを備えるモデルは少ないが、エアコンなどの騒音に邪魔されずコンテンツに没入できるのは嬉しい。

アダプティブ・アクティブ・ノイズキャンセレーション技術を採用

ノイズキャンセリング搭載ということで、遮音性を高めるためか、ヘッドバンドの側圧はやや強めになっている。一方で、数時間連続でゲームをやっていても、痛くならなかったのは意外だった。メガネを付けていても圧迫感がない。イヤーパッドもヘッドバンドも、少しふかふかしているので、この効果だろうか。重さは279gで、ゲーミングヘッドセットとしては軽めの部類となる。またイヤーパッドはラムスキン素材で、肌触りも良い。

側圧はしっかりめ。だが、長時間の装着でも痛くなりにくい、快適な使用感

ゲーミングヘッドホンというと口元に伸びるブームマイクのイメージが強いが、本機ではハウジング内に4つのマイクを内蔵し、ビームフォーミング技術を活用することで、普通のヘッドホンと同じようなデザインを実現している。

上述したオリジナルドングルを使用することで、2.4GHzのワイヤレス接続でPCやPlayStationなどと接続可能。Bluetoothと2.4GHz接続は同時に利用できるため、たとえばゲームしながらBGMをスマホで再生するという使い方にも対応する。バッテリー駆動時間については、ドングル使用時で最大19時間、Bluetoothとノイズキャンセリングを使用した場合では最大42時間となる。

そのほか、両側のイヤーカップはダブルタップ操作でマイクのミュートやプロファイル切り替えといった操作が可能。ハウジングの両側面にはタッチバーが配置されており、ボリューム調整、ANC・透過性モード(外音取り込み)の切り替えなどが行える。

両側のイヤーカップや操作バーをタッチすることで、各種機能の切り替えなどが行える

PCゲームでテスト。アクションもFPSゲームもマルチに楽しめる



まずは、大ヒットを記録しているアクションゲーム『ELDEN RING』をWindows PCでプレイ。プレイヤーが降り立つ「リムグレイブ」の大地に出た瞬間、その空気感や距離感など、空間の壮大さに驚かされる。本作は、エリアやボスごとに設定される壮大なBGMも魅力のひとつだが、こういった音楽についてもしっかりと鳴らすため、その世界に引き込まれてしまう。

壮大なBGMも、空気感たっぷりに再現するオーディオ力の高さ

さらに、サウンドプロファイルをデフォルトの「GAME」から「RPG」に切り替えてみると、木々のざわめきや剣を振った音など、よりクリアになることでリアルさが増大する。ネタバレ防止のために細かいところは伏せるが、ボスの放つ攻撃やドラゴンの咆哮など、より迫力のあるプレイが楽しめるようになった。ぜひプロファイルを変えて使いたい。

本作はあまりシビアなタイミングを求められるゲームではないものの、それでもBluetooth接続のイヤホンなどでは、ジャンプの着地の音がずれたりして、とてもやりづらい。普通のヘッドホン/イヤホンでプレイしているユーザーも少なくないと思うが、やはり専用ドングルでの低遅延通信は、ワイヤレスでゲームを楽しむ上で必要条件といえるかもしれない。

より “ガチ” なゲームでも試すべく、e-SportsタイトルになっているFPSゲーム「Rainbow Six Siege」もプレイしてみた。

まずプロファイルをFPSに設定して試したところ、足音などの細かい音が聞き取りやすく、このゲームで重要な “音情報” もしっかりと聞き取れる。デフォルト比較して、低音が抑えられるためやや音が軽くなるが、爆発音などの大きい音が小さくなるので、より足音などの小さな音が聞き取りやすくなるメリットもある。

なお、他社のゲーミングヘッドセットにもサウンドプロファイルを切り替えたり、イコライザーを調整したりする機能はあるが、基本的にはPCに専用ソフトをインストールする必要がある。一方で、本機は本体にサウンドプロファイルが内蔵されていて、左側のハウジングをダブルタップするだけで切り替えることが可能だ。1台にまとまっているのは分かりやすい。

ただ、気になった点として、ヘッドホン側で切り替えた際、サウンドプロファイル名の読み上げなどがないため、今どのサウンドプロファイルが設定されているのか分かりづらかった。そこで2.4GHz/Bluetooth接続が同時に使えるという機能を活用し、スマホのアプリで操作した結果、快適に切り替えできるようになった。

ノイズキャンセリングの効果は弱めだが、エアコンの騒音といったレベルであればかなり消してくれる。長年ノイズキャンセリングの技術開発をしてきたB&Oらしく、有効時によるホワイトノイズやサウンドの変化も感じられないので、常にオンにしていてもまったく問題なさそうだ。

プレイ中のエピソードとして、オンオフを切り替えてみたところ、部屋の騒音だと思っていたノイズが、実はゲーム中の環境音だということもあった。それにエアコンなどの騒音が減ることで、音量を過度に上げなくても、敵の小さい音が聞き取りやすくなる。ノイズキャンセリングを搭載しているゲーミングヘッドセットは希少だが、FPSにも有効なようだ。

また、せっかくなのでDiscordを用いて通話機能も試してみた。音質については一般的なブームマイクにはかなわないものの、通話相手の友人いわく、十分聞き取れるので会話には問題ないとのことだった。そして、やはりブームマイクがないのは快適で、飲み物も飲みやすいなど、メリットも大きい。

ブームマイクのない快適通話



通話機能について、ひとつ感動したことがあるので、ぜひご紹介したい。本機には外音取り込み機能があるが、これを使うと自分の声とともにマウスなど環境音が聞こえるため、 “まるでヘッドホンを付けていないような感覚” で通話しながらゲームができる。FPSのようなゲームには向かないが、圧迫感がないので、カジュアルにプレイする場合にはこちらのほうが快適かもしれない。

一般的なゲーミングヘッドセットでは、口元のブームマイクの音を耳に戻すサイドトーンという機能が用意されているが、これは環境音など入ってこない。完全ワイヤレスイヤホンでも同じような使い方が可能だが、Bluetooth接続だと通話用のHSP/HFPプロファイルを使うため、再生される音声の音質が電話レベルに下がってしまう。本機では2.4GHzの専用ドングルで接続できるため、再生されるサウンドにはそのまま、外音取り込み&通話といった組み合わせが可能なのだ。

PlayStation 5でテスト



PlayStation 5との接続は簡単だ。本体前面にUSB-C端子があるため、そこに付属の専用ドングルを接続すれば、特別な設定などを行わずともワイヤレスでヘッドホンから音が鳴るようになった。

PlayStation 5と組み合わせて使用感をチェック

『Apex Legends』で試してみたが、遅延という点ではよほど高いレベルで戦っているような人でなければ、プレイに致命的な影響はないように思える。普段はコントローラーの3.5mm端子とアナログ接続してゲーミングイヤホンやヘッドホンを使っているが、その環境に対して大きな違和感は感じなかった。

違和感があったのは、情報量だ。それも聴こえる音が増えたというより、もともと聴こえていた音の密度感というようなものが段違いに高い。例えばいま走っている地面が土なのか、金属なのか、木なのか、そういった素材感の違いで変わる足音だが、いうならば踵から着地して足全体が地面についてつま先から離れていく、その流れが見えてくるかのように、やたらと鮮明に聴こえる。ものすごいリアルさで、没入感の高まりもかなりのものだ。オープンワールドのRPGなどでは多大なる効果を発揮するはずだ。

一方でFPSにおいては、好みが出る可能性もある。確かにこの情報をプレイヤーが処理しきることができれば、敵の位置関係も詳細につかみやすくなるだろう。しかし敵の方向性や建物のどの階にいるのか、といったような部分を把握するにはオーバースペックな音にも思えるほど、よく聴こえすぎる。ほかのゲーミングモデルが定位を重視しているとすれば、本モデルは情報量を重視した設計、のような印象を受けた。音でしっかり個性を感じられるため、二台持ちの選択肢として面白いモデルといえる。



今回は2人の記者がPCとPlayStation 5でそれぞれ試してみたが、どちらも評価は上々。ゲームコンテンツを快適かつ没入感のあるサウンドで、よりリッチに楽しめた。

繰り返しとなるが、ゲーミング用のヘッドホンを選ぶとなると、派手なモデルも多く日常や仕事で使いづらい。1台で使いまわしたいユーザーにとって、デザインも見た目もマルチに使える本機は、非常に使いやすいモデルだと感じた。

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